サイファとシヴァは二人で一役ができるほど外見は似通い、また周囲に気付かれないほど性格を一致させることができます。それは二人とも役者であるからだけでなく、二人が過度に頼り合う、一種の共依存関係にあるからでしょう。二人共それぞれ辛い過去があり、お互いにその傷をかばい合って生活しているのです。
そんな二人なのですが、ある事件をきっかけにサイファはロサンゼルスへ行くことを決意し、ニューヨークに残るシヴァと離れ離れになるのでした。
愛情を抱きながらも、それでも相手を傷付けてしまった罪悪感を解消することができず、複雑な思いを抱いて悩む二人。しかし、それぞれに素晴らしい友人ができることで、二人は少しずつ自立に向けて歩き出していきます。
サイファには「ハル(竹下春臣)」。シヴァには「アレクサンドラ・レヴァイン」。この友人たちとのやり取りが、二人を大きく成長させていくのです。
そんな二人なのですが、ある事件をきっかけにサイファはロサンゼルスへ行くことを決意し、ニューヨークに残るシヴァと離れ離れになるのでした。
愛情を抱きながらも、それでも相手を傷付けてしまった罪悪感を解消することができず、複雑な思いを抱いて悩む二人。しかし、それぞれに素晴らしい友人ができることで、二人は少しずつ自立に向けて歩き出していきます。
サイファには「ハル(竹下春臣)」。シヴァには「アレクサンドラ・レヴァイン」。この友人たちとのやり取りが、二人を大きく成長させていくのです。
「罪悪感」を乗り越え、そしてハッピーエンドへ
他の登場人物たちもみな、心に問題、一種の「罪悪感」を抱えています。アニスは弟を事故に遭わせてしまっただけでなく、両親の離婚にも責任を感じています。サイファやシヴァもお互いにだけでなく、両親についても「罪悪感」を抱き、一方、彼らの両親も子供に対する「罪悪感」を持っています。友人のハルやアレクサンドラたちでさえも、そのような思いを持っています。
これらはとても重いテーマです。しかし暗い中にも、愛情という光があり、主人公たちには悩んでいても、それを乗り越えていきたいという前向きな意思があります。
そして最後はみなが成長し、その問題を乗り越えてハッピーエンドを迎えるのです。
これらはとても重いテーマです。しかし暗い中にも、愛情という光があり、主人公たちには悩んでいても、それを乗り越えていきたいという前向きな意思があります。
そして最後はみなが成長し、その問題を乗り越えてハッピーエンドを迎えるのです。
『ALEXANDRITE』1991~1994年連載
via www.suruga-ya.jp
あらすじ
『CIPHER』で重要な役をつとめたアレクサンドラ・レヴァインを主人公にしたスピンオフ作品。時系列としては『CIPHER』の後。そのため、各キャラクターたちのその後も描かれた続編的な内容にもなっている。
コロンビア大学に入学したアレクサンドラは、母親から宝石「アレクサンドライト」を譲り受けた。それは赤と緑に、光の具合で色が変わる珍しい宝石だった。それが先祖代々に伝わったきたものだと知ったシヴァは、「アレクサンドラが次の人に、つまり恋人に渡す年齢になったのだ」という証だと言うが……。
コロンビア大学に入学したアレクサンドラは、母親から宝石「アレクサンドライト」を譲り受けた。それは赤と緑に、光の具合で色が変わる珍しい宝石だった。それが先祖代々に伝わったきたものだと知ったシヴァは、「アレクサンドラが次の人に、つまり恋人に渡す年齢になったのだ」という証だと言うが……。
メインャラクターたちの特徴
アレクサンドラ・レヴァイン
コロンビア大学の学生。女性名であることと、女顔のルックスにコンプレックスを抱いている。それを克服したくて空手と柔道を習い、共に黒帯を会得するほどの腕前。ギリシア人である実父は行方不明。義理の父親との関係は良くない。
アンブローシア・ハート
アレクサンドラの幼馴で、片想いの相手。個性的で豪快な性格。最初は彼のことを友人としてしか見ていないが、次第に男性として意識していくようになる。
ストーリーの見所
『CIPHER』は、それぞれのキャラクターが心に問題を抱えていてそれが大きなテーマだったのですが、本作では主人公の交代によって性格が明るくなったため、作品の雰囲気も明るくなりました。それでも、それぞれコンプレックスなどを抱えているのは、やはり作者の味なのでしょうか。
「ニューヨーク、好きだぜ!」
名シーンはいくつもあるのですが、最初の方では、アレクサンドラがニューヨークマラソンに参加する場面が印象に残っています。
沿道のボランティア参加者たちがランナーを応援する姿に、彼は「ふだんいがみ合ってたやつも、明日は殺し合うかもしれないやつも」関係なく応援しているのだと感じ、「ちくしょー、ニューヨーク、好きだぜ!」と思うシーンです。
どんな人間にも、目の前の相手を思いやれる気持ちがあるのだという、美しいシーンだと思います。
沿道のボランティア参加者たちがランナーを応援する姿に、彼は「ふだんいがみ合ってたやつも、明日は殺し合うかもしれないやつも」関係なく応援しているのだと感じ、「ちくしょー、ニューヨーク、好きだぜ!」と思うシーンです。
どんな人間にも、目の前の相手を思いやれる気持ちがあるのだという、美しいシーンだと思います。
懐かしいポイント
作者が当時ハマっていたミュージシャンの名前がたくさん出てきます。
トンプソン・ツインズ、ビリー・ジョエル、マイケル・ジャクソン、フィル・コリンズなどなど。これらは大きな扱いではありませんが、その名前だけでも懐かしく思う方がいらっしゃるのではないでしょうか。
他、『グレムリン』のギズモなども登場するのですが、今回再読して印象深かったのはツイン・タワーこと、ワールドトレードセンターです。これは2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロで、標的となって崩壊してしまいました。マンガの中での健在な姿に、犠牲者のことを思わずにはいられませんでした。
トンプソン・ツインズ、ビリー・ジョエル、マイケル・ジャクソン、フィル・コリンズなどなど。これらは大きな扱いではありませんが、その名前だけでも懐かしく思う方がいらっしゃるのではないでしょうか。
他、『グレムリン』のギズモなども登場するのですが、今回再読して印象深かったのはツイン・タワーこと、ワールドトレードセンターです。これは2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロで、標的となって崩壊してしまいました。マンガの中での健在な姿に、犠牲者のことを思わずにはいられませんでした。
メッセージの深さ
『CIPHER』も『ALEXANDRITE』も、各々が心の問題を解決して一人の人間として「成長」し、そして今までうまく関係を築けなかった他人との関係が「再生」していく物語だと言えるのではないでしょうか。
成田美奈子は、あるテレビ番組で「前作『エイリアン通り(ストリート)』の愛読者が、いじめを苦に自殺したことを知り、メッセージを込めた『CIPHER』を描いた。生きてさえいればいつか問題は解決するんだと伝えたい」というような発言をしていました。
この明るさと強さこそが、成田美名子の、そしてこの2作品の最大の魅力ではないかなと思っています。
アメリカに熱心に取材旅行もして描かれた本作を通して、アメリカに興味や憧れを抱いた方も多いと聞いています。
絵の美しさだけでなく、読み応えのあるマンガとして魅力的ですので、懐かしく思われた方も再び、そしてまだ読んだことのない方にも、ぜひ手に取っていただけたらと思います。
成田美奈子は、あるテレビ番組で「前作『エイリアン通り(ストリート)』の愛読者が、いじめを苦に自殺したことを知り、メッセージを込めた『CIPHER』を描いた。生きてさえいればいつか問題は解決するんだと伝えたい」というような発言をしていました。
この明るさと強さこそが、成田美名子の、そしてこの2作品の最大の魅力ではないかなと思っています。
アメリカに熱心に取材旅行もして描かれた本作を通して、アメリカに興味や憧れを抱いた方も多いと聞いています。
絵の美しさだけでなく、読み応えのあるマンガとして魅力的ですので、懐かしく思われた方も再び、そしてまだ読んだことのない方にも、ぜひ手に取っていただけたらと思います。