ナンシー・ケリガン殴打事件直後に放送された幻の映画『氷上の疑惑』!あの伊藤みどりも登場!
2019年10月2日 更新

ナンシー・ケリガン殴打事件直後に放送された幻の映画『氷上の疑惑』!あの伊藤みどりも登場!

1994年、リレハンメル・オリンピックの選考会となる全米選手権の会場で「ナンシー・ケリガン襲撃事件」が発生した。オリンピック代表を巡る一大スキャンダルが幻のTV映画となっていたのはご存知ですか?1994年に放映された幻ともいえる作品を紹介します。

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現在絶賛公開中の映画『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』が、実はミドルエッジ世代を中心に話題を集めている。
『アイ、トーニャ』ポスター

『アイ、トーニャ』ポスター

『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』予告編

実際、朝のワイドショーでも本作の紹介VTRや観客へのインタビュー映像が放送されたほどなのだが、当時リアルタイムでこの事件報道を見た我々ミドルエッジ世代にとっては、どうしてもトーニャ・ハーディングが一方的に悪役にされ、逆にケリガン側が悲劇のヒロインとしてクローズアップされていた印象が強かった、この世界的な大スキャンダル!

現在公開中の映画『アイ、トーニャ』では、あくまでもハーディング側の視点から真相が語られるのだが、実はもう1本の実録映画、しかも事件直後にアメリカで放送されたTVムービーがあるのをご存知だろうか?
『氷上の疑惑』VHSビデオ

『氷上の疑惑』VHSビデオ

そのタイトルは『氷上の疑惑』。『アイ、トーニャ』とは違い、ちゃんとケリガンとハーディング二人の視点から事件が描かれ、公開中の映画では語られていない重大な事実も赤裸々に描かれているこのTVムービーを、今回は是非取り上げてみたいと思う。
だがその前に、ここでもう一度ケリガン殴打事件の方を振り返ってみることにしよう。

あのナンシー・ケリガン殴打事件とは、いったい何だったのか?

因縁の二人、ハーディング(左)とケリガン(右)。

因縁の二人、ハーディング(左)とケリガン(右)。

1994年の、リレハンメル・オリンピックの選考会となる全米選手権の会場で、当時代表選手の最有力候補だったナンシー・ケリガン選手が、会場に侵入していた不審者により膝を殴打され、そのせいで全米選手権を欠場するという事件が発生!

その結果、ハーディングはこの大会で優勝を果たし、見事にオリンピック代表選手に選ばれることになったのだが、発生から2週間後、事件はハーディングの元夫であるジェフ・ギルーリーらが逮捕されるという、驚くべき展開を見せることになる。その後、次第にハーディングにも疑惑の目が向けられ始めたが、彼女はそのままオリンピック代表として出場。負傷したケリガンも奇跡の回復を見せて同じくオリンピック代表として出場し、見事総合で2位の銀メダルに輝いている。一方のハーディングは、事件の余波に苦しめられたためか、結局8位入賞に留まった。

オリンピック終了後の1994年3月16日、ついに自身の罪を認めたハーディングは、3年間の執行猶予、500時間の奉仕活動、罰金16万ドルの判決を受けることになった。

その後、全米スケート協会は、1994年全米選手権での優勝と1999年までの公式大会出場権やコーチになるための権利を剥奪。1998年には、アメリカのテレビ番組でハーディングがケリガンと対面して直接謝罪したことで、ついに両者の間に和解が成立することとなり、こうして史上最大のスキャンダルは、遂に収束することになったのだった。

映画でこの事件に興味を持たれて、もっと詳しく知りたいと思われた方は、以下のリンクからどうぞ。

幻のTVムービー『氷上の疑惑』の概略

日本版VHSソフトのジャケット

日本版VHSソフトのジャケット

この作品がアメリカで放送されたのは、襲撃事件の判決が出た直後の1994年4月30日のこと。日本でビデオリリースされた時の邦題は『氷上の疑惑』だが、原題『TONYA AND NANCY:INSIDE STORY』の通り、被害者と容疑者の二人を同時に描いた内容となっているのが特徴だ。事件直後の放送ということもあり、今回の映画化では語られていない部分や人物についても、隠さず赤裸々に描かれている本作は、正にこの事件の背景と真相を知るための最良のテキストと言えるだろう。
しかし残念ながら、現在に至るまでDVD化が成されていない本作。

幸いアマゾンなどではプレミアも付いておらず、当時のVHSソフトが数百円で入手可能なので、興味を持たれた方は是非入手して頂ければと思う。

TVムービー『氷上の疑惑』の内容紹介

本作の進行は、この事件を取材しているジャーナリストが観客に語りかける形で物語が進むという形で進むのだが、途中で関係者のインタビューが挟み込まれる形式を取っており、この部分は現在公開中の『アイ、トーニャ』でもちゃんと踏襲されている。
本編のタイトル部分。

本編のタイトル部分。

原題は、『TONYA AND NANCY:INSIDE STORY』。
この男が本作の進行役

この男が本作の進行役

母親はやっぱりソックリ!

母親はやっぱりソックリ!

父親に銃を教わるハーディング。

父親に銃を教わるハーディング。

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