リレハンメル五輪直前に起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」疑惑のライバル、ハーディングのお騒がせ女ぶり
2021年4月30日 更新

リレハンメル五輪直前に起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」疑惑のライバル、ハーディングのお騒がせ女ぶり

1994年に開催されたリレハンメルオリンピック。その直前に、女子フィギュア・アメリカ代表権をかけて一つの事件が起きます。それが「ナンシー・ケリガン襲撃事件」でした。ケリガンのライバルであるハーディングの元夫が起こした事件についてまとめます。

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90年代のアメリカのトップスケーターだったトーニャ・ハーディングの元夫が起こした「ナンシー・ケリガン襲撃事件」

1994年に開催されたリレハンメルオリンピック。ノルディック複合団体で日本が金メダルを獲得するなど大盛り上がりとなりましたが、その大会直前に当時アメリカで注目度の高かった女子フィギュアの選考会である事件が起きました。それが世に言う「ナンシー・ケリガン襲撃事件」です。
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これはオリンピックのアメリカ代表の出場権をかけた「全米女子選手権」の期間中に、フィギュアスケーターのトーニャ・ハーディングの元夫が起こした事件で、当時宿敵であったフィギュアスケーターのナンシー・ケリガンを襲撃し、ひざに怪我を負わせました。
ひざを殴打された影響で、ケリガンは大会を欠場してしまいます。
トーニャ・ハーディング

トーニャ・ハーディング

「【UACCRD】トーニャハーディング直筆サイン■フィギアスケート」
ナンシー・ケリガン

ナンシー・ケリガン

「私は敗けない―ナンシー・ケリガン」
当初はケリガンは練習中に何者かに襲われたとされましたが、事件から2週間後にハーディングの元夫ジェフ・ギルーリーらが逮捕されます。
この事から当然ハーディングにも疑惑の目が向けられ、元夫がハーディングに不利な証拠と共に司法取引を受け入れました。
リレハンメルオリンピック時は日本でも関心事となった!

リレハンメルオリンピック時は日本でも関心事となった!

「ヴィジュアルマガジン『月刊スポーツアイ』1994年4月号」
疑惑の張本人であるハーディングはこの大会で優勝を飾り、出場権を獲得しましたが、全米スケート協会とアメリカオリンピック委員会は、彼女をオリンピックチームから追放しようとします。しかし、ハーディングは法的措置をほのめかしてそのまま留まる事に成功します。

記者会見を開いたハーディングは「襲撃事件を直前に知っていたという事実はありません」「オリンピック代表に是非残してください」と述べている。
ミシェル・クワン

ミシェル・クワン

「◆直筆サイン◆ ミシェル・クワン ◆ フィギュアスケート」
また、一時アメリカ代表には全米選手権2位で、その後アメリカの国民的大スターにまで成長するミシェル・クワンに決まりかけていました。しかし、特例でケリガンが選ばれてしまい、クワンは補欠となり、結局事件に翻弄されただけとなりました。

リレハンメルオリンピックでは明暗が分かれたケリガンとハーディング

ケリガンは襲撃されてから約1ヵ月後のリレハンメルオリンピックに強行出場。開会式も欠席し、演技に集中したケリガンは、会場で温かい拍手に迎えられ、怪我の影響を感じさせない見事な演技でなんと銀メダルを獲得します。

一つ一つの技に大歓声が上がり、笑顔で伸び伸びと演技するケリガンがとても印象的で、フリーの演技終了後には実況のアナウンサーが「ナンシー・ケリガン、パーフェクトな演技です!」とやや興奮気味に伝えていました。

ケリガンはリレハンメルオリンピック後、現役を引退してプロスケーターへと転向しています。

[HD] Nancy Kerrigan - 1994 Lillehammer Olympic - Free Skating

一方のハーディングは、ここでもまた”お騒がせ女”ぶりを遺憾なく発揮します。

伊藤みどりに続き、世界で史上2番目にトリプルアクセルを飛んだハーディング。事件への関与をハーディングが頑なに否定し続けた中で行われたリレハンメルオリンピック。

前回のアルベールビルオリンピックでは4位に入るも、以降成績が下降し、事件の黒幕という”疑惑”までかけられてまで出場しましたが、テクニカルプログラムでのコンビネーションジャンプで、トリプルルッツが両足着氷となるミスを犯し10位と出遅れます。
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VHS「氷上の疑惑 ケリガン殴打事件の隠された真実」
フリーでは、本番直前の練習後に靴紐に問題が起き、自身の出番になってもなかなか姿を現さず、周囲を騒然とさせます。失格となる2分ギリギリの1分50秒過ぎにようやくリンクへと入り、事なきを得たかに思われましたが、ここはさすがのハーディング。演技中にも問題を起こします。
ハーディング

ハーディング

フリー演技が始まってから最初のトリプルルッツが1回転となり失敗。すると突然泣き始め、わずか40秒で演技を中断してしまいます。

さらに審判団の元へいき、リンクの縁に右足スケート靴を載せながら、靴紐の不具合を訴えます。
結局、審判団はフリー演技のやり直しを認め、この組の最終滑走者になります。
ちなみに次の出番だったカナダの選手ジョゼ・シュイナールは、予定外の事態にすぐリンクに登場して、演技を開始しますが、9位となり入賞を逃しています。

実はハーディング、以前も同じような理由で演技を中断しており、それを知る人々は「またか」と思った事でしょう。そして、最終滑走者としてリンクに再び登場します。

奇跡体験!アンビリバボー! フィギュアスケート選手!トーニャ・ハーディング 転落した銀幕の女王!

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