もしかすると「スペンサー・コンフィデンシャル」は原作の方が面白いかも?!70年代に発刊されたスペンサー・シリーズはお勧めですよ。
2020年12月25日 更新

もしかすると「スペンサー・コンフィデンシャル」は原作の方が面白いかも?!70年代に発刊されたスペンサー・シリーズはお勧めですよ。

2020年、マーク・ウォールバーグ主演による「スペンサー・コンフィデンシャル」が製作されました。ロバート・B・パーカー原作によるこの映画をより楽しむには、やはり原作を読まなくては!原作は最高ですよ。特に70年代に発刊されたスペンサー・シリーズ、これを強くお勧めします!!

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スペンサー・コンフィデンシャル

2020年3月6日からマーク・ウォールバーグ主演で米国小説家ロバート・B・パーカーの人気ハードボイルドシリーズ「スペンサー」が映画化されました。

マーク・ウォールバーグ主演!『スペンサー・コンフィデンシャル』予告編 - Netflix

ロバート・B・パーカー、スペンサー。。。小説、それもハードボイルドに興味がない方にとっては何の事やらでしょうね。
スペンサーとはロバート・B・パーカーが生み出した私立探偵です。で、ロバート・B・パーカーとは泣く子も黙り、村上春樹も愛読者というほどの巨匠です。

とはいえ、パーカー作品は人気の割には余り映像化されていないんですよね。なので、その巨匠の作品の映像化ということで盛り上がるところでは盛り上がったわけです。
パーカー作品の映像化というと1980年代に「私立探偵スペンサー」として3シーズンにわたって放送され、1993年に「私立探偵スペンサー 儀式」と言う映画があるくらいではないでしょうか。
私立探偵スペンサー

私立探偵スペンサー

監督: バージル・ボーゲル
監修: ロバート・B・パーカー
出演: ロバート・ユーリック/エビリー・ブルックス/バーバラ・ストック
ロバート・B・パーカーを、スペンサーを少しでも多くの方に知ってもらいたい!ということで、70年代に刊行されたスペンサー・シリーズを紹介します!!

ロバート・B・パーカー

私立探偵スペンサーを主人公にしたスペンサー・シリーズは、全部で40作品あります。
生み出したロバート・B・パーカーは、1932年アメリカ生まれでスペンサーさながらのナイスガイです。おそらく、今後誰にもまねのできない、金字塔を打ち立てた作家といえるでしょう。
ただ、残念なことに2010年1月18日、心臓発作を起こし急死しています。

Robert B Parker by: Marilyn Escobedo

ロバート・ブラウン・パーカー(Robert Brown Parker)

誕生:1932年9月17日 アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 スプリングフィールド
死没:2010年1月18日(77歳没)

活動期間:1973年~2010年
デビュー作:ゴッドウルフの行方(The Godwulf Manuscript)
実はこのスペンサー・シリーズ、ロバート・B・パーカーの死後はエース・アトキンスという作家が引き継いでいるんです。映画「スペンサー・コンフィデンシャル」は、かなりポップでコミカルなのですが、それはパーカーではなくエース・アトキンスの作風を基にしているためと言われています。

ポップでコミカル。う~ん、まぁ、それはそれで良い。しかし、オリジナルの素晴らしさを知るには小説を読んでもらうしかないということになります。

ゴッドウルフの行方

小説を読まない方に小説を勧めるというのは、なかなか難しいですねぇ。それもハードボイルド。難しいなぁ。読書好き、ハードボイルドは特に!という方はとっくに読んでいるに違いないスペンサー・シリーズですが、読書は嫌いという方にこそ是非とも読んでもらいたいんですよね。特に70年代に刊行された7作品、これがもう絶品なんですから。

ということで、1973年に刊行されたシリーズ第1作「ゴッドウルフの行方」から行ってみましょう。
ハードボイルドを確立した作家といえば、それはもう泣く子も黙るレイモンド・チャンドラー。多くの同業者、作家志望者たちに多大なる影響を与えました。若き日のロバート・B・パーカーも例外ではなく、パーカー曰く「第1作目と第2作目の半分」はレイモンド・チャンドラーの影響下にあったと語っています。
なので、この作品はシリーズの中でも感じがちょっと違うんですよね。
ゴッドウルフの行方

ゴッドウルフの行方

刊行:1973年
大学の図書館で厳重に保管されていた中世の稀覯書〈ゴッドウルフ彩飾写本〉が何者かに盗まれた。総長の依頼で調査を開始したスペンサーは、容疑がかかっている学内の過激派組織SCACEの書記をつとめる女子学生テリイと接触する。その深夜、彼女からの電話で駆けつけたスペンサーが見たものは、射殺死体の傍に呆然と立ちつくすテリイの姿だった!テリイを殺人容疑から救おうと奔走するスペンサー。が、事件の裏には意外な陰謀が…。
このシリーズの大きな魅力は、スペンサーを中心とした登場人物たちの会話にあります。しゃれているというか、ユーモアがあるというか、面白いんですよ。なので読みやすいということでもあります。て言うか、スペンサーがようしゃべるんです。
そして料理。自分でも作りますし、外食もバンバンしていて描写が細かいので思わず食べてみたくなります。例えばノース・ショアというところまでわざわざ買い行った自家製のドイツ・ソーセージから出る油で緑のリンゴを一緒に炒め、フランスパンにソーセージを6本もはさんで食べたりしています。この作品では貝柱を利用したフランス料理のスカラップ・ジャック、サブマリン・サンドウィッチ、スパニッシュ・オムレットなどなど色々と出てきて楽しませてくれます。
スペンサーが大食漢なのか、アメリカ人は皆そうなのかは分かりませんが、スペンサー、よく食べます。マックのハンバーガーを6個買ってきて一人で食べてますしね。

誘拐

1974年刊行の「誘拐」。まだ半分ほどはレイモンド・チャンドラーの影がちらつくという2作目ですね。残りの半分にはロバート・B・パーカーのオリジナリティが顔を出しているということになるわけですが、それは登場人物にも表れているかと思います。何と言っても「誘拐」は、シリーズのヒロイン、スーザン・シルヴァマンの初登場作として知られています。
誘拐

誘拐

刊行:1974年
ボストン北方の町スミスフィールドで建設業を営むロジャー・バートレットの息子が家出して一週間たった。単なる家出か、それとも…?両親の依頼で15歳の少年ケヴィンを捜すことになったスペンサーは、彼が飼っていたモルモットだけを持って家を出たことに疑問を抱く。几張面な彼がモルモットの餌やケースを忘れるはずがない、きっと遠くへは行っていないはずだ…そう考えて少年の調査を進めているうち、こま漫画形式の身代金要求状が送られてきた!
スーザンをはじめとして登場人物がレギュラー化していくのですが、それもまたスペンサーシリーズの面白さのひとつですね。
因みに、まだスーザンとは深い関係には至っておらず、スペンサーはブレンダ・ローリングとスーザン・シルヴァマンに二股を掛けている感じです。
ロバート・B・パーカーもまだ構想が固まっていなかったのでしょうね。40年近くも続くシリーズになるなんて、この時点では作者も読者も想像できなかった筈ですよ。
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