永遠の名作「長いお別れ」の映画化「ロング・グッドバイ」の名探偵フィリップ・マーロウは一味違うんです
2017年5月26日 更新

永遠の名作「長いお別れ」の映画化「ロング・グッドバイ」の名探偵フィリップ・マーロウは一味違うんです

「長いお別れ」といえば、「ギムレットには早すぎるね」の名セリフで有名ですが、映画化された「ロング・グッドバイ」にはこのセリフは出てきません。そして、ボギーをはじめとして何人もの役者が挑んだ名探偵フィリップ・マーロウも異色といってよいでしょう。何というか煙草ばかりふかしてダラダラしています。しかし、しかしです。そこがカッコいいのです。真夜中にキャットフードを求めてうろつく姿がこの上なくカッコよく見えるのです。ハードボイルドという男の世界をぜひ女性にも味わってもらいたいです。

7,777 view

The Long Goodbye

映画「ロング・グッドバイ」は、言わずと知れたレイモンド・チャンドラーの小説が原作です。最近では村上春樹訳により小説も「ロング・グッドバイ」とタイトルを変えましたが、映画は「ロング・グッドバイ」、小説は「長いお別れ」の方がミドルエイジ以上の方にはしっくりきますよね?!
因みに「長いお別れ」は、清水俊二訳によるものです。
レイモンド・チャンドラー

レイモンド・チャンドラー

誕生:1888年7月23日
死没:1959年3月26日(満70歳没)
活動期間:1933年~1959年
「長いお別れ」の主人公は、世界一美しい名前を持つ私立探偵のフィリップ・マーロウです。レイモンド・チャンドラーにとってというよりも、おそらくハードボイルド小説史上もっとも有名なセリフであると思われる「ギムレットには早すぎる」が出てくることでも知られた名作ですね。
もっともこのセリフはフィリップ・マーロウが言うのではなく、友人のテリー・レノックスの言葉です。

1973年に映画化された「ロング・グッドバイ」では、主人公こそフィリップ・マーロウですが、小説とは随分印象が違っており、「ギムレットには早すぎる」は出てきません。
ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

監督:ロバート・アルトマン
脚本:リイ・ブラケット
原作:レイモンド・チャンドラー
製作:ジェリー・ビック
製作総指揮:エリオット・カストナー
出演者:エリオット・グールド
音楽:ジョン・ウィリアムズ
撮影:ヴィルモス・スィグモンド
編集:ルー・ロンバード
製作会社:E-K-Corporation、ライオンズゲート
上映時間:112分
ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムをはじめとしてフィリップ・マーロウ役にはケーリー・グラント、ジェームズ・ガーナー、ジェームズ・カーンなどなど多くの役者が挑んでいます。今回のフィリップ・マーロウ役のエリオット・グールドは異色といっていいかと思います。とにかくよく煙草をふかしています。むしろ煙草を咥えていないシーンの方が少ない、というよりもないくらいです。
こういったところが今回の独特のフィリップ・マーロウになっているのでしょう。

The Long Goodbye Official Trailer #1 - Elliott Gould Movie (1973) HD

公開当初は「マーロウ物を愚弄した剽窃作」などと酷評された「ロング・グッドバイ」ですが、いえいえ何とも雰囲気があってカッコイイです!むしろこれこそがハードボイルドの見本のような映画に思えます。

あらすじ

ロサンゼルスで私立探偵をしているフィリップ・マーロウが、真夜中に飼い猫に起こされカレー印のキャットフードを買いに行くという何ともとぼけたシーンから物語は始まります。

Marlowe tries to feed his cat

家に戻ると友人のテリー・レノックスがやって来てメキシコまで行きたいと言います。フィリップ・マーロウはテリー・レノックスをメキシコ国境まで車で送り届けるのですが、これが事件の始まりとなるとは思いもよりませんでした。
 (1870665)

フィリップ・マーロウの家にやってきた警官
翌朝、警官がやってきてテリー・レノックスは妻を殺して逃亡しているのだと告げます。
その後、テリー・レノックスがメキシコで自殺したことが分かったために釈放されたのですが、フィリップ・マーロウはテリー・レノックスを匿っていると疑われ留置場に入れられたのでした。友人の情報を渡さずシラを切り通した結果ではあったのですが。。。

しかし、どうしてもテリー・レノックスが妻を殺害したことも、自殺したことも信じられないフィリップ・マーロウでした。
 (1870614)

アイリーン・ウェイドとフィリップ・マーロウ
翌日、フィリップ・マーロウはアイリーン・ウェイドという女性から行方不明となった夫を探してほしいと捜査を依頼されます。アイリーン・ウェイドの夫は、有名な作家のロジャー・ウェイドでした。
フィリップ・マーロウはこの依頼を受けることにします。ウェイド夫妻はテリー・レノックスと同じ高級住宅街に住んでいたのです。

ロジャー・ウェイドが残したメモからフィリップ・マーロウは神経科医・ヴェリンジャー博士の存在を突き止め、アルコール中毒となっていたロジャー・ウェイドを連れ戻すことに成功します。
 (1870751)

ヴェリンジャー博士とフィリップ・マーロウ
その後、ギャングがフィリップ・マーロウのもとに、テリー・レノックスが盗んだ35万ドルを返せとやってきます。ギャングはフィリップ・マーロウがテリー・レノックスの仲間だと思っているようですが、もちろんフィリップ・マーロウには身に覚えがありません。

そんな折、ロジャー・ウェイドが自殺します。
 (1870752)

アイリーン・ウェイドは「テリーの妻と夫(ロジャー・ウェイド)は浮気をしていた」とフィリップ・マーロウに告げます。そのことでテリー・レノックスは無実だとフィリップ・マーロウは確信するのでした。

フィリップ・マーロウがギャングのもとへ向かい事情を説明している最中に盗まれていた35万ドルが届けられ、フィリップ・マーロウはギャングから解放されます。

その帰り道、フィリップ・マーロウはアイリーン・ウェイドの乗った車を目撃して追いかけるのですが見失ってしまいます。
33 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

もしかすると「スペンサー・コンフィデンシャル」は原作の方が面白いかも?!70年代に発刊されたスペンサー・シリーズはお勧めですよ。

もしかすると「スペンサー・コンフィデンシャル」は原作の方が面白いかも?!70年代に発刊されたスペンサー・シリーズはお勧めですよ。

2020年、マーク・ウォールバーグ主演による「スペンサー・コンフィデンシャル」が製作されました。ロバート・B・パーカー原作によるこの映画をより楽しむには、やはり原作を読まなくては!原作は最高ですよ。特に70年代に発刊されたスペンサー・シリーズ、これを強くお勧めします!!
obladioblada | 1,221 view
いろいろあった!ピンク・レディーグッズあれこれ

いろいろあった!ピンク・レディーグッズあれこれ

女性アイドルデュオとして一世を風靡したピンク・レディー。その爆発的人気に伴い、巷では様々なピンク・レディーグッズが販売されていました。この記事では、ほんの一部ではありますが懐かしのピンク・レディーグッズを振り返ってみました。
ハナハナ | 442 view
昭和から続くテレフォンサービス「リカちゃん電話」とは?

昭和から続くテレフォンサービス「リカちゃん電話」とは?

昭和の子供たちに大人気だった電話サービス「リカちゃん電話」。専用の電話番号にかけると、リカちゃんが対応してくれ、録音メッセージが再生されるといった内容。電話する度にとても楽しい会話を楽しむことができました。同サービスについて簡潔に紹介します。
【懐かしのドラマ】『Gメン'75』の第1話を振り返る!寺田農も出演!出演者の近況は?

【懐かしのドラマ】『Gメン'75』の第1話を振り返る!寺田農も出演!出演者の近況は?

『Gメン'75』は、1975年から1982年まで7年間放送された人気刑事ドラマ。土曜日の夜、『8時だョ!全員集合』が終わってもテレビはつけっぱなしで、そのまま『Gメン'75』を視聴していたという人は多いのではないでしょうか。今回は、現在無料公開中の第1話を振り返ります。
izaiza347 | 714 view
大ブレイクするまでの“甲斐バンド”のシングルがこれだ!!

大ブレイクするまでの“甲斐バンド”のシングルがこれだ!!

甲斐バンドは1975年2ndシングル「裏切りの街角」がヒットした後、1978年に11thシングル「HERO(ヒーローになる時、それは今)」で大ブレイクしるまでの約3年間、不遇な時期を過ごしています。が、その間に出た9枚のシングルも素晴らしいものばかりなんですよ!
obladioblada | 587 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト