ナージム・ハメド Fall of the Prince 王子の転落
2021年9月12日 更新

ナージム・ハメド Fall of the Prince 王子の転落

ナジーム・ハメド(Naseem Hamed、نسيم حميد‎)、「Prince」「悪魔王子」164cm、世界フェザー級(~57.153kg)、世界バンタム級(~53.524kg)2階級制覇 37試合36勝31KO1敗 KO率84% 1997年のケビン・ケリー戦から引退まで

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このナジーム・ハメド vs マルコ・アントニオ・バレラ戦は、漫画「はじめの一歩」の中のブライアン・ホーク vs 鷹村守戦のモデルとなったといわれている。
ハメドのトリッキーなボクシングに対して、バレラは超正統派のボクシングでつけ入る隙を与えなかった。
しかしもちろんバレラは優秀なボクサーであることに間違いないが、全盛期のハメドなら変則スタイルのままハバレラに勝ったのではないかという人も多い。
リング上で手を挙げるバレラに、8年間、無敗だったハメドは目を潤ませながらグローブをつけた両手で拍手を送った。
そしてリング上のインタビューでは笑顔で前向きなコメントを強気を貫いた。
『王子、タフな試合でした』
「もしアッラーが書いた筋書きがこうであれば文句はありません。
それを受け入れます。
私は幸せです
まだ自信はあります
俺を倒すこと、KOすることはできなかった
チャンピオンの誇りを持ってリングを退場します
最後に、彼におめでとうございますといいたいです。
彼の未来に、成功を祈っています
なんていえばいいのかな
すぐにジムに戻ります
チャンピオンらしくまた挑戦します
戻ってまた戦います」
『彼が突進してこなかったのは意外でしたか?
ボクシングスタイルで戦ったことは予想外でしたか?』
「突進してこないことはわかっていました。
もししていたら必ずKOされていた。
でも彼の完勝です
おめでとうございます
彼のボクシング技術が成果を生み出しました」
『これはキャリアにどう影響しますか?
最も偉大だというセルフイメージを、無敗で引退するはずですが、どう影響しますか?』
「アッラーが最も偉大です。
ムハンマドが最後の預言者です
12ラウンド戦えてうれしいです
(ここで涙ぐみ、言葉を詰まらせる)
ケガもないです
この試合に向けて頑張りました
『キャリアにどう影響すると思いますか?』
「選手は負けます
彼もKO負けしています
2回負けています
自分は初めてです
戻って勝ちます
問題ないです」
『リターンマッチを希望するということでしょうか?』
「それを聞く?
リマッチは契約書に書いてあります。
(世界戦では契約の中で、挑戦者が勝ち、元チャンピオンが再戦を求めた場合、受けなくてはいけないという条項が含まれることがある)
必ずやる」
『いつ戦いたいですか?』
「戦いたいじゃなくて必ず戦う。
いつ?
今年の終わりのほうかな?
まあとりあえず妻と子供とゆっくりして・・・
今の僕の気持ちは、12ラウンド戦って無事終わってうれしいです。
結果は負けです。
受け入れます
それこそ本物のファイター、本物の男、真の王者です
必ず戻ります」
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2001年9月11日、バレラ戦から約5ヵ月後、アメリカ同時多発テロ事件が発生。
それ以降、世界的にアラブ系の人々への偏見が増大し、イギリス育ちのイエメン人、ハメドとバレラのリターンマッチも流れてしまったといわれている。
その一方で契約書には「再戦契約は試合(4月7日)から2ヵ月以内」とされていたが、その期間内にハメドサイドからオファーがなかったともいわれている。
2002年5月18日、バレラ戦から13ヵ月後、ハメドはイギリスで空位のヨーロッパフェザー級の王座を懸け、マヌエル・カルボ(スペイン)と対戦。
ハメドは、33勝14KO4敗、34歳のマヌエル・カルボにレベルの差をみせつけ、一方的な展開で判定勝利(3-0、119-109、119-109、120-110)
ヨーロッパ、フェザー級チャンピオンとなったが、かつての王子ではなく、期待していたパフォーマンスをみることができかったファンからブーイングを浴びた。
負けたカルボにさえ
「バレラの試合をみたからハメドは全く怖くなかった」
といわれてしまった。
ハメドは
「2ヵ月後に試合をする」
と宣言。
しかし2度とリングに上がることはなかった。
2005年5月、マヌエル・カルボ戦から3年後、地元、シェフィールドで、ベンツを140km/h以上で走らせていたハメドは、対向車と衝突事故を起こしてしまい、相手に重傷を負った。
以前にも160㎞/hを出していてスピード違反で検挙されたこともあったハメドは、裁判で執行猶予なしの15ヵ月の実刑判決を受け、3人目を身篭るワイフを残し、刑務所に入った。
1年3ヶ月後、娑婆に出てきたとき、ハメドの肉体は、ヘビー級になっていた。
164cmで100kgを超える巨体は、フェザー級時代から50kg以上の増量に成功していたが、それは戦うための体ではなかった。
2007年10月、引退を発表。
27歳で初めて敗れ、ラストファイトが28歳。
36勝31KO1敗
32歳であっさりと引退した。
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  • 犬マン 2022/3/11 20:33

    メイウェザーもハメドの素質を認めててvsバレラ戦はハメドの勝ちを予想したような・・・
    歴史を変えれるボクサーだっただけに残念

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