【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ
2022年7月23日 更新

【東京5戦5勝】実は安定して強かったプレクラスニーと江田照男の名コンビ

メジロマックイーンが降着した時の天皇賞馬、として語られることの多いプレクラスニー。実は、15戦7勝、2着3回、東京コース5戦5勝、GI、GII、GIII各1勝ずつと、安定感抜群の強い馬でした。江田照男が主戦騎手になってからは、特に力を発揮しています。そんな実力馬の足跡を振り返ります。

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芝コースで好走

プレクラスニーは、1987年6月10日、
父 クリスタルパレス 母 ミトモオー
の間に誕生した芦毛の牡馬で、生産は嶋田牧場です。

デビューは1990年、明け4歳の新馬戦でした。最初の2戦はいずれもダートで、3着と5着。3戦目から鞍上は名手増沢末夫に代わり、芝コースで2連勝します。1991年の明け5歳には、若潮賞(900万下)を勝利。1500万下のレースも連続2着と好走を続けます。

結局、凡走したのはダートコースの3戦だけで、芝コースは一度も着外になることなく、着実に力を発揮していきました。

江田照男との名コンビ誕生

増沢末夫の引退に伴い、主戦騎手が19歳の若き江田照男に替わります。新コンビは、初戦の晩春ステークス(1500万下)を圧勝。いよいよ初の重賞レースに臨みます。

ハンデ戦のエプソムカップ(GIII)では、直近レースの好走を買われ、斤量56kgの1番人気に推されます。レースは、2番人気のトウショウバルカンが逃げ、プレクラスニーは、3番人気のメイショウビトリアとともに2番手につける展開。道中は、最終コーナーまで好位を維持します。最後の直線では、残り400メートルで先頭に立ち、その後は後続に差を詰められることなくゴール。2着とは1馬身半差でしたが、着差以上の強い競馬を見せました。

続く毎日王冠(GII)も、有力馬の多い中で2番人気に支持されます。レースは、後のGI馬ダイタクヘリオスが逃げる展開で、プレクラスニーは少し離れた2番手につけます。快調に逃げるダイタクヘリオスは、最後の直線でもバテることなく先頭を快走。後続ではプレクラスニーだけが残り200メートルで追いつき、ゴール手前で交わし、半馬身差で勝利しました。

GIII, GIIと連勝。次は、天皇賞・秋(GI)。ついに初のGIレース出走です。

1991 10 毎日王冠 プレクラスニー

素直に喜べなかった天皇賞

天皇賞・秋(GI)では、GIII、GIIと連勝した上り調子から、メジロマックイーン、ホワイトストーンに次ぐ3番人気に支持されます。

レースは、他に有力な逃げ馬がおらず、プレクラスニーが逃げる展開に。不良馬場も相まって、レースはスローペースになります。2番手にホワイトストーン、3番手にメジロマックイーン、4番手にカリブソング、カミノクレッセがつけ、人気馬がレースをリードします。最後の直線に入っても、逃げ粘るプレクラスニー。しかし、最後はメジロマックイーンが交わし、6馬身差の圧勝に終わりました。マックイーンの底知れぬ強さが光ったレースでした。

ところが、このレースは「審議」。発走直後に審議の青いランプが点灯しており、その対象がまさかのメジロマックイーンでした。長時間の審議の結果、スタート直後にプレジデントシチーの進路を妨害したとの理由で、メジロマックイーンは18位に降着。一転して、波乱のレースとなりました。この裁定はその後も物議を醸し、英断を下したJRAを評価する声と、マックイーンに厳しすぎるという両方の声があがっています。

レース結果は、2着プレクラスニーが繰り上がり、優勝。勝利騎手インタビューには江田照男騎手が呼ばれ、テレビ中継のスタジオからは驚きの声が流れていました。江田は「本当に勝ったわけじゃないですから、嬉しいってことはない」と、終始複雑な表情。皮肉にも、GI初挑戦初制覇、史上最年少での天皇賞制覇、そして、GI史上初の1位入線降着という記録ずくめのレースとなりました。

1991年 天皇賞(秋)(GⅠ) | プレクラスニー | JRA公式

抜群の安定感

その後、GIホースとして迎えたその年の有馬記念(GI)。ダイユウサクが勝利する波乱もありましたが、結果は3番人気の4着。連勝は止まったものの、お約束通りの好走を見せました。しかし、有馬記念以降は脚部不安との戦いが続き、結局その後一度もレースに出ることなく、翌年引退を余儀なくされました。

引退後は種牡馬入りしましたが、種付けの希望はほとんどなく、1998年に種牡馬も引退。余生を過ごす中、不運にも放牧中に骨折し、1998年1月30日安楽死処分となりました。

15戦7勝、2着3回、芝コース着外なしと、抜群の安定感。特に、東京競馬場の芝コースは5戦5勝で、GIII→GII→GIと3戦連続でグレードを上げながら重賞を制しました。天皇賞だけでなく、毎日王冠やエプソムカップの強い勝ち方も含めて、語り継がれていくべき名馬でしょう。

プレクラスニーが引退して、早30年。江田照男騎手は、現在も現役騎手として活躍中です。
2012年日経賞表彰式 江田照男騎手

2012年日経賞表彰式 江田照男騎手

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