FM音源は1980年代の音楽やゲームサウンドに取り入れられ、当時を象徴するサウンドと評されました。
2016年5月22日 更新

FM音源は1980年代の音楽やゲームサウンドに取り入れられ、当時を象徴するサウンドと評されました。

ファミコンより高価なゲーム機では搭載されていたFM音源。ゲームの世界をよりリッチに表現してくれたFM音源は、ゲームのみならず1980年代の音楽シーンを代表する音源でした。

10,290 view

FM音源

PCM音源以前の代表的な音源でした

FM音源とは

FM音源とは

FM音源は、Frequency Modulation(周波数変調)を応用する音色合成方式を用いた音源。
スタンフォード大学のCCRMAで開発されたものを、日本ではヤマハがライセンスを受けて実用化。

複雑な倍音を発することが可能。また、有限個のパラメーターに基いて波形をリアルタイムに生成するため、PCM音源と比べ生楽器の再現性は低いが、演奏に合わせて波形生成のパラメーターを変化させることにより音色を劇的に変化させることが可能。

独特の硬質感に富む「ギュイーン」という感じのシャープな音色は、金属的とも表現される。
FM音源が奏でる特徴的な響きは1980年代のポピュラー音楽に多く取り入れられ、当時を象徴するサウンドとも評されている。

FM音源の音色の定義に要するパラメーターはせいぜい数十バイト程度でありパソコン、家庭用ゲーム機、携帯電話などに広く利用されている。

イース メドレー 【FM音源サンプリング】 - YouTube

「ギュイーン」という独特な硬質感がたまりませんでした。
FM音源を駆使してメロディアスなゲームサウンドを生み出す、古代祐三さんのようなゲーム作曲家も登場しました。

FM音源の原理

FM音源の原理

FM音源の原理

自然音のような動的に変化する複雑なスペクトルが、2つの発振器からの合成で現れる、変調合成の手法。
FM合成器(オペレータ)のキャリア、モジュレータの波形を正弦波とすると、合成される信号波 FM(t) は左の式となる。
FM合成波形

FM合成波形

FM合成で得られた出力のスペクトルは、C±nM (n = 1, 2, 3, ...) という、キャリアの周りに、モジュレータ周波数の整数倍で側波帯が現れたものとなる。側波帯成分の振幅はベッセル関数で表すことができる。

シンセサイザーや音源チップでは、複数個の合成器を直列あるいは並列につなぎ、様々な合成結果を得る。このつなぎかたはアルゴリズムと呼ばれる。

FM音源の応用と発展

特にエレクトリックピアノの音色は秀逸

特にエレクトリックピアノの音色は秀逸

ヤマハは、FM方式の特許のライセンスを取得し研究開発を進め、1980年にGS1ステージピアノを発表。1983年に発売されたシンセサイザーDX7によって、一般に耳にする音楽で広く使われるようになる。

音源チップは1980年代のパソコンやアーケードゲーム機、家庭用ゲーム機セガ・マークIIIのFMサウンドユニット、マスターシステム、メガドライブの内蔵音源として大量に使われ、これらから発せられる音としても聞かれることとなった。

特にエレクトリックピアノの音色は秀逸で、PCM音源にサンプリングされ今でもよく使用されている。マリンバやオルガンの音などはPCM音源に負けないほどリアルな音が出せる。アコースティックピアノの音のシミュレートは苦手であり、PCM音源に押されて、一時はシンセサイザー市場から消えかけた。しかし、FM音源独自のベロシティによる音色のダイナミックな変化が見直され、ソフトウェアシンセサイザーのFM7やヤマハのDX200やPLG150-DXなど近年もFM音源の機種が発表されている。
携帯電話の着信メロディとしても活躍

携帯電話の着信メロディとしても活躍

発声用のキャリアに加えて、変調用のモジュレータにもエンベロープの設定が可能。
そのため、倍音構成の時間変化を伴う音色を作成出来た。
極端な倍音変化を設定すると、「ギュイーン」というような金属的な「FM音源らしい音」を生み出すことが出来る。

PCMなど録音済み波形を用いる音源に比べれば再現度は劣るが、必要な計算リソースも少ないため、現在でも低コストで多彩な音色が得られる音源装置として有用な選択肢である。

1989年に発売されたヤマハのシンセサイザーSY77ではAFM音源へとアップグレードされ、PCM音源を変調させることも可能となる。その完成形が1991年に発売されたSY99。

その後、1998年に登場したFS1Rではフォルマントシンギング音源と呼ばれる人の声をもシミュレートできる音源とハイブリッドとなり、オペレータもDX7の6機から8機と増え、変調させられる幅が広がった。
近年では携帯電話の着信メロディ再生用に使用された。

引用:wikipedia
日本ファルコムの名作RPG「ソーサリアン」などは、いかにFM音源らしい魅力的な楽曲が数多く採用されています。
日本で携帯電話が普及した2000年前後頃から携帯機器用音源チップ(MAシリーズ)に組み込まれ、主にKDDI(auブランド)やSoftBank、イー・モバイル(現・ワイモバイル)等の携帯電話に内蔵された。

現代のパソコンには原則的に搭載されていないが、拡張ボードとして別途購入、搭載は可能。更に、各種コンピュータのエミュレータソフトの流行と共に、PCM音源を使いソフトウェアで波形合成して再生するドライバが有志により開発されている。

【動画】FM音源講座

FM音源講座 - YouTube

FM音源を使ったゲームサウンド

GRADIUS メドレー 【FM音源】 - YouTube

25 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。

コナミがMSX向けに開発したSCC音源はFM音源にも負けない!PSG音源に甘んじていたMSXユーザーに希望を与えてくれました。

MSXに力を注ぎ、専用のゲーム音源「SCC音源」を開発してくれたのがコナミ。当時のMSXユーザーはファミコンをはじめとするゲーム専用機とPC-88などの本格派パソコンの狭間で不遇の思いをすることが多く、他のパソコンゲームからの移植版ゲームで、オリジナルとのクオリティの差に溜息をつくことがよくありました。MSXユーザーはコナミの尽力をいつまでも忘れません。
青春の握り拳 | 39,690 view
パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。

パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。

ゲームなどに欠かせないBGM。これを支える音源には大きく分けて「内蔵音源」「外部音源」「ストリーム再生」とがありますが、現代においてはもはやストリーム再生が当然の世に。しかしメモリに制限のあった時代、内部音源にどんなチップを搭載しているかで、そのマシンが表現するゲームの世界観は大きく変わったものですね。かつてのゲーム表現に大きな影響力を持っていた「内蔵音源」について振り返りましょう。
ゲームの世界観を広げてくれるBGM、ゲームサウンド(音源)の歴史と代表的なゲームを振り返る。

ゲームの世界観を広げてくれるBGM、ゲームサウンド(音源)の歴史と代表的なゲームを振り返る。

ファミコンなら”ブピブピ”、FM音源なら”ギュイーン”。ゲームサウンドには音源ごとの特徴や代表的なゲームがあり、私たちはいまでもそれらのBGMを憶えていたりするものです。そんなゲームサウンドの歴史、名曲と呼ばれたゲームを振り返っていきましょう。
青春の握り拳 | 19,424 view
MSX2(エムツー)ユーザーにしか分からない「パナソニックorソニー」アナタはどっち?

MSX2(エムツー)ユーザーにしか分からない「パナソニックorソニー」アナタはどっち?

かつてホビーパソコンとして人気だったMSX。ゲームではゲーム専用機に及ばずパソコンとしては8bit御三家に及ばなかったこのMSXに、愛着を感じたユーザーがそれなりにいたものです。そんなMSX派だった人ならば、MSX2の普及に大きく貢献した2台のマシンを憶えていることでしょう。エムツー派にしか分からない「パナソニックorソニー」アナタはどっちだった?
青春の握り拳 | 28,437 view
ハドソン初期の名作「ロードランナー」と「ナッツ&ミルク」、EDIT機能で盛り上がりました。

ハドソン初期の名作「ロードランナー」と「ナッツ&ミルク」、EDIT機能で盛り上がりました。

1983年にハドソンから発売されたロードランナーはファミコンゲームでも人気となりました。初期ハドソンの代表作と言ってもよいでしょう。また、同時期の発売となった「ナッツ&ミルク」も人気のゲームでした。この2つのゲームには「自作(EDIT)機能」がついていましたね、難しいステージを作ってはクリアして遊んだものです。調子に乗ってクリア不可能なステージもよく作ってました。
青春の握り拳 | 13,107 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト