パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。
2017年7月22日 更新

パソコンやゲームマシンが奏でるBGMを支えた「内蔵音源」について。

ゲームなどに欠かせないBGM。これを支える音源には大きく分けて「内蔵音源」「外部音源」「ストリーム再生」とがありますが、現代においてはもはやストリーム再生が当然の世に。しかしメモリに制限のあった時代、内部音源にどんなチップを搭載しているかで、そのマシンが表現するゲームの世界観は大きく変わったものですね。かつてのゲーム表現に大きな影響力を持っていた「内蔵音源」について振り返りましょう。

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FM音源をはじめとした「内蔵音源」

「内蔵音源」はパソコンやゲームマシン、後に携帯電話に標準で搭載されたシンセサイザー機能を指しています。

なお内蔵音源対して、シンセサイザーをMIDIケーブルやUSBケーブルなどで接続して使用するものは「外部音源」。

CDやDVDのゲームソフトでCD-DAなどの音声データで録音済みの楽曲が再生される場合は内蔵音源とも外部音源とも分類されず、音声データを逐次読み込みながら間断なく再生を行う「ストリーム再生」と称されます。

Ys II 音楽集(PC-8801版)

多くの人が耳にした「FM音源」が主だった時代、懐かしいですね。
初期のコンピュータにはエラー出力のため、単音でブザーのようなBEEP音発生装置が組み込まれていました。これが内蔵音源の元祖とも言うべき音源です。
音源のトレンドについては下記引用が分かりやすいかと思います。
初期のパソコンには内蔵音源が存在しないか、もしくはビープ音のみが搭載されていた。これは元々楽曲の演奏用に用意されたものではないが、音程を変えることのできる機種では、単音ながら演奏に用いられることもあった。 初期から1980年代は内蔵音源の性能は比較的低かったが、主にゲームメーカーのコンポーザの工夫により、仕様を逆手に取った音楽表現が行われた。また内蔵音源の性能も向上していったが、次第に、CD-ROMのCD-DAトラックやMP3等のコーデックを音源とし、PCMでの再生への移行(これに伴い、例えば現在のWindows用パーソナルコンピュータでは、PCMのみの搭載が一般的である)、さらにハードウェア自体の性能向上に伴い、内蔵音源の利用の場は据え置き機器より小容量・低性能な携帯機器へと移行しつつある。
それでは「内蔵音源」について、まずは往年のパソコンに搭載されていた音源を確認していきます。
まずパソコンに搭載されていた主な音源を振り返り、その後にゲームマシンをみていきましょう。

同一のゲームで多くの内蔵音源が紹介されている日本ファルコムの「ソーサリアン」を中心に、比較しやすい動画を転載させていただきます。

PSG(Programmable Sound Generator)

PSGは単純な矩形波を3チャンネル演奏出来るサウンドチップ。
PC-6000シリーズやMSXといった初期のホビーパソコンやゲーム機で広く用いられました。

最も多く使われたAY-3-8910では出力ポートのうち、ひとつをノイズと排他利用が可能で、ドラムや効果音(例えば爆発音など)に用いられました。
どこか透き通っていて物悲しい高音と「ズチャッ」とでも表現したくなるドラム音が特徴的な音源でしたね。

[BGM] [msx2] [PSG] ソーサリアン [Sorcerian]

MSXといえば、当時はコナミが独自に開発したSCC音源もユニークな表現力を持つ音源でした。

YM2203(OPN)

80年代、多くのパソコンキッズにとってFM音源といえばこの「YM2203」を指したことでしょう。
このヤマハのFM音源は少ないメモリ使用量で多彩な音色を表現できるため、80年代から90年代にかけてのパソコンなどで広く普及しました。
「FM音源3音、PSG3音」をモノラル出力可能で、PC-8801mk2 SR以降で搭載された音源です。
「ギュイーン」なFM音源の元祖、的な位置づけだったといえるでしょうか。

[BGM] [PC-8801mkIISR] ソーサリアン [Sorcerian]

多くのサウンドクリエイターがFM音源を駆使した美しいBGMを作り上げました。
なかでも著名だった一人が、当時日本ファルコムに在籍されていた古代祐三氏かもしれません。

YM2608 (OPNA)

FM音源6音並びにADPCM、チップ内にROMとして波形を持っている六種のリズム音をステレオで、PSG3音をモノラルで再生可能なOPNの後継チップ。よりリッチなサウンドを奏でることが出来ました。
主な搭載機種はPC-8801用「サウンドボード2」及び、PC-9800シリーズ用「PC-9801-86」ボード(通称、86ボード)。個人的には友人が持っていたPC-88VAのBGMを聴いたとき、その厚みに驚いた記憶がありますがOPNほどの普及はみませんでした。

OPNとOPNAのソーサリアンBGMを聴くと、当時やたらとたくさん機種が存在していたPC-88でも別格だったVAを思い出すことが出来ます。
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