ハードボイルド・セクシーコミック『実験人形ダミー・オスカー』って知ってる?
2017年9月16日 更新

ハードボイルド・セクシーコミック『実験人形ダミー・オスカー』って知ってる?

原作・小池一夫×作画・叶精作の漫画『実験人形ダミー・オスカー』。“ハードボイルド・セクシーコミック”とのうたい文句で、男性向け雑誌『GORO』に連載していた本作のナンセンスかつエロティックだったその内容についてまとめてみました。

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巨匠・小池一夫が原作をつとめた

『子連れ狼』で知られる漫画家の小池一夫。「キャラを起てろ。ストーリーは後から付いてくる」という「キャラクター原論」の提唱者としても知られる彼が、1977年から1984年にかけて原作をつとめた漫画が『実験人形ダミー・オスカー』です。
小池一夫

小池一夫

小池一夫 公式ブログ より

伝説の男性雑誌『GORO』に連載されていた

載雑誌は小学館の『GORO』。1974年から1992年にかけて発行された同誌では、篠山紀信の激写シリーズなど、アイドルのグラビアページが人気を博しました。
同時に読み物ページも充実しており、新車情報、音楽、スポーツ、女性の口説き方テクニックについての記事から、山口瞳の「礼儀作法」、安岡章太郎の日記スタイルの論文「新アメリカ感情旅行」、筒井康隆の小説「十二人の浮かれる男」などの連載ものまで、幅広い内容となっていました。
GORO 1983年1月13日号

GORO 1983年1月13日号

二重人格の天才人形師が活躍するハードボイルドエロ漫画だった

『GORO』では長きに渡る歴史の中で漫画作品もいくつか掲載されており、その中の一つが『実験人形ダミー・オスカー』でした。原作・小池一夫、作画・叶精作によるこの作品は、20代向け男性雑誌の連載だけあって、かなりエロティシズム満載な内容となっています。
実験人間ダミー・オスカー

実験人間ダミー・オスカー

人呼んで「ハードボイルド・セクシーコミック」。二つ名からしてクセの強そうな本作の主人公は、ホンモノの人間とまったく見分けがつかないほどに精巧な人形(ダミー)をつくる天才人形師・渡胸俊介(ときょうしゅんすけ)。彼は気が弱くていつもオドオドした小男であり、ナニも極小サイズ。当然、女性からもソッポを向かれる非・モテ男なのですが、精神的ショックを受けると別人格「オスカー」に変身します。

「オスカー」は渡胸とは真逆の性格。ワイルドで暴力的な自己チュー野郎です。しかも人格が変わるだけではなく、なぜか人相はイケメンに、体型は筋肉質にと外見的にも変容を遂げ、そして何より驚くほどの巨根になるのです。なんとも奇想天外なキャラ設定。「キャラを起てろ」という小池先生の理念・思想がビンビンに伝わってくるというものです。
渡胸俊介(オスカー)

渡胸俊介(オスカー)

オスカーが手当たり次第に女を襲いまくる!

ストーリーは、渡胸が人形師としての天才的な腕を買われて、ドイツ・フォルクスワーゲン社から、事故対策実験用のダミー人形をつくるために招聘されるところから始まります。ヨーロッパ渡った彼は、事故に巻き込まれたり、秘密結社に追われたりとさまざまな目に遭いますが、やはり一番の見どころといえば、「オスカー」に変身したときの暴れん坊っぷり。とにかく、あたり構わずいろいろな女を犯しまくるその様は、ハードボイルド・セクシーコミックというよりは、ナンセンスなエロ漫画といったほうが正しいかも知れません。

ちなみに、小池作品にはこうしたセックス&バイオレンスな表現と共に、男が多くの女からモテる「ハーレム展開」が多いことでも知られています。小池先生曰くこうした描写は男性読者の「夢」であり、一種のファンサービスなのだとか。

勃起⇒エレクチオン、射精⇒イジャキュレイションなど、言葉遊びも多数

この作品におけるもうひとつの注目ポイントが、個性的な表現の数々です。特に性描写に関しては、独創性豊か。男性器を野球用バットで表現してみたり、男性器でテーブルを持ち上げてようとしてみたり、性行為の背景になぜか新幹線が横切っていたりと、とにかく多種多様。また、「性交」と書いてファック、勃起と書いて「エレクチオン」、「射精」と書いて「イジャキュレイション」という、小池流言葉遊びも随所で堪能できます
【お題】このお題でボケて - ボケて(bokete) (1920205)

出典 bokete.jp
また、本作においては「デラべっぴん」という言い回しも頻繁に登場します。「デラべっぴん」というと、英知出版から発行されていたアダルト雑誌をイメージする方も多いでしょうが、『ダミー・オスカー』のほうが発表時期は先(『ダミー・オスカー』の連載時期は1977年から1984年で、『デラべっぴん』は1985年創刊)。もしかしたら、この漫画から影響を受けて、雑誌名が決まったのかも知れません。なお、「デラべっぴん」という表現は今でもギャグ漫画などで散見されます。小池先生の影響力、恐るべしです。

エロいだけじゃなくて、意外と深くていい話だった?

こう書くとただエロくて荒唐無稽なことを書きたいだけの漫画のように感じるかも知れませんが、それなりにイイことを言っている箇所もあったりして、「読ませる作品」になっています。たとえば、渡胸の二重人格が愛情の希薄な家庭に育った孤独感と
学生時代に経験した教授の裏切り行為によるもので、さまざまな女性との関係を経ることにより本来の人格を取り戻し、また、女たちも彼との交わりを通して人生の気づきを得たり…。こうしたストーリーパートとエロパートの絶妙なあんばいによって、『ダミー・オスカー』は大人気作品となったのでしょう。
その人気を受けて『GORO』で連載終了後は、『コミックシュート』にて『NEW 実験人形ダミー・オスカー』(1989年~1991年)のタイトルで新編が連載されたりもしています。
そんな魅力たっぷりの『験人形ダミー・オスカー』。まだ読んでいない方はぜひご一読を。
実験人形ダミー・オスカー

実験人形ダミー・オスカー

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