留まることを知らないのは性への探求心だけではありません。シリーズも底なしのエマニエル夫人
2020年2月26日 更新

留まることを知らないのは性への探求心だけではありません。シリーズも底なしのエマニエル夫人

独特の映像の美しさ で70年代に大きな話題となった官能映画エマニエル夫人。当時としてはセンセーショナルだった性の解放というテーマが受け、パリにある「凱旋」という映画館では11年間も上映を続けました。その後、数々の続編が作られていきますが、エマニエルと名のつく作品は全世界で70を超えるほどになっています。

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いくら人気があるとはいえ、同じような内容でのシリーズには限界があったのでしょう。シルビア・クリステルは相変わらず美しいとはいえ流石に飽きてきます。
しかし、ここで終わらないのが「エマニエル夫人」の面白いところです。ここから「エマニエル夫人」は迷走ともいえる予想外の展開をみせます。

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実は「エマニエル夫人」には原作があります。エマニュエル・アルサンが書いた小説「エマニエル夫人(原題はエマニエル)」がそれで、日本では浪速書房より1970年に発行されています。

この小説を原作として映画は作られているのですが、シルヴィア・クリステル主演の「エマニエル夫人」の何と5年も前の1969年に日本では未公開ながらイタリアで「アマン・フォー・エマニュエル」という映画が製作されており、これが最初の映画「エマニエル夫人」です。

さて、「さよならエマニエル夫人」で最後と思われたシリーズですが、エマニエル人気は衰えることがなく新作が7年後の1984年に「エマニュエル(原題:Emmanuelle 4)」として公開されます。
エマニュエルを演じるのは、シルヴィア・クリステルとミア・ニグレンのダブルキャストです。
ミア・ニグレン

ミア・ニグレン

何故エマニエル(この作品ではエマニュエル)が2人登場するのかといいますと、かつての恋人を見かけたシルビア・クリステル演じるエマニュエルは、歳を取った容姿に不安を覚え美容整形手術を行い、ミア・ニグレン演じる若々しいエマニュエルとして生まれ変わって登場するという驚きの展開となります。驚愕といっていいかもしれません。

永遠ともいえる若さを手に入れたエマニエルは、主演女優を変えながら次々と新作を発表していきます。

1986年「エマニエル ハーレムの熱い夜(Emmanuelle 5)」 監督:ヴァレリアン・ボロヴツィク 主演:モニーク・ガブリエル
1988年「エマニエル カリブの熱い夜(Emmanuelle 6)」 監督:ブルーノ・ジンコーネ 主演:ナタリー・エール
1992年「エマニエル パリの熱い夜(Emmanuelle 7)」 監督:フランシス・ルロワ 主演:アニー・ベラック
エマニュエル・ザ・ハード

エマニュエル・ザ・ハード

7作目の「エマニエル パリの熱い夜」ではヴァーチャル・リアリティ器械を使って快楽を得るまでになっています。なんとも凄まじい限りですね。しかし、本作にはシルヴィア・クリステルが出演しているのがファンには嬉しいところです。

世界を飛び回って大活躍のエマニエルですが、1993年にはついに「エマニュエル・ザ・ハード (Emmanuelle made-for-TV films)」というフランスのテレビシリーズとなります。

テレビシリーズは、1994年にはアメリカでも「アメリカ・スペースシリーズ -Emmanuelle in Space series」として制作されるようになり、2000年「アメリカ・2000シリーズ -Emmanuelle 2000 series」、2004年「プライベートコレクションシリーズ -Emmanuelle Private Collection series」、2011年「スルータイムシリーズ -Emmanuelle Through Time series」とその人気は衰えていません。

その他にも、世界各国でエマニエル名義の作品が作られており、Black Emanuelle(1975年)」があれば、「White Emmanuelle (1976年)」も「Yellow Emanuelle(1977年)」あり、「Hong Kong Emmanuelle (1977)」とくれば、「Tokyo Emmanuelle (1975)」といった具合に70作品以上に上るとされています。
もう、何が何だか分からなくなりますが、「エマニエル夫人」という言葉にはいつの時代にも人々を惹きつける魔力が潜んでいるということなのでしょうね。
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