『ガンプラり歩き旅』その79 ~リアルガンプラ派も必読! SDガンダムプラモにしかない、お宝パーツを備えたSDサザビー!~
2021年6月22日 更新

『ガンプラり歩き旅』その79 ~リアルガンプラ派も必読! SDガンダムプラモにしかない、お宝パーツを備えたSDサザビー!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!

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「行け! ファンネル!」深紅のモビル・スーツにシャアが...

「行け! ファンネル!」深紅のモビル・スーツにシャアが乗る! SDサザビー

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私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回紹介するのは、この連載では今まで取り上げたことがない、しかしガンプラの歴史を語る上では外すことの出来ない「SDガンダム」から、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場した、サザビーの紹介です!(読者氏の中で「いや、俺、SDガンダム世代じゃないから」という方も、どうか最後の『回答編』までお付き合いください! 特に、HGUCのサザビーやνガンダムを持っている方はぜひ)
(註・今回のキットのチョイス、組み立て、撮影、レビュー執筆は、2018年8月発売の、RGサザビーのリリースを知る前に書かれた物です。RGサザビーがリリースされ、今回のレビューで提起した問題の半分ほどは解決しましたが、それでもRGサザビーの仕様を見る限り、当初に提起した問題は解決していないようなのでレビュー文章も、そのまま掲載することにしました。どうかご理解を承りたく存じ上げます)

サザビー SDガンダム Gジェネレーション 02 1999年6月 400円(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)

パッケージアート。ゲーム『スパロボ』シリーズ等を親しん...

パッケージアート。ゲーム『スパロボ』シリーズ等を親しんでいると、こちらの方がカッコよく感じるかもしれない

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いきなり私的な話だが、大河さん今回このキットで、生まれて初めてSDガンダムのガンプラを手に取ったのだ。
ときは80年代中盤を過ぎて、『ガンダム』及びガンプラというコンテンツ、商品は広く世間に認知を得たが、そのファン、ユーザー間でも世代間格差が発生していた。
ここは細かいので読者諸兄も帰属する世代によって細分化されているだろうが、筆者の場合は、中学生という時期に最初のガンダムブームに直撃したため、ちょっと上の年齢層のモデラー諸氏が入れ込み、ガンプラブームを牽引していた「リアルスケールモデル主義」には乗り切れず、それゆえMSVまでガンプラを追いかける意気込みはなく、リアルタイムでテレビで放映されている他のロボットプラモへ移行していった。
キットの構成全て。これなら組立説明書がなくても組み立てられる

キットの構成全て。これなら組立説明書がなくても組み立てられる

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同時に、ガンダムがシリーズを重ねていくと同時に、筆者も年齢を重ねるので、徐々にハイブロウになっていく物語やガンプラにも喜んでついて行けたのだが、こと『ガンダムZZ』後半から『逆襲のシャア』への流れは、富野由悠季総監督がどう願おうとも、児童層には理解しにくい作劇と作りにくいガンプラが続いていたのも事実だった。
ガンダムは売れる。ガンダムはメジャーコンテンツだ、に間違いはないのだが、それは既に、本来「ロボット漫画」にのめり込むべき児童層に対してうまくコミットが取れなくなっていた時代になっていた。
SDサザビーの完成品。手癖で接着剤は使ったが、塗装はせ...

SDサザビーの完成品。手癖で接着剤は使ったが、塗装はせずにシールだけ貼って、組立時間は10分程度

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そんな中、『Zガンダム』放映中から、カプセルトイのガシャポンで商品展開が始まったのが、SDガンダムというカテゴリだった。
当時、カプセルトイは、ウルトラ怪獣やキン肉マンの超人等、どれもディフォルメされて商品(主に塩ビ製)が出来ており、それは商品の小ささを逆手に取りつつ、カプセルに収まりやすく、作り易いというのもあってお約束であったが、SDガンダムはその後ファミコンゲーム化されるなどして、武者頑駄無という戦国風や、騎士ガンダムというファンタジー(当時で言えば「ドラクエ風」)などの派生商品を生み出し、どんどん児童層のトップコンテンツ化していったのだ。
黎明期のSDガンダムガシャポン商品。これは百式と思われ...

黎明期のSDガンダムガシャポン商品。これは百式と思われる(塩ビ製)

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そのブームの最初のピークである1988年に、『逆襲のシャア』と同時上映で、初のSDガンダムアニメ『機動戦士SDガンダム』が上映され、その後もOVAなどでアニメが展開。続くガンダム映画の『機動戦士ガンダムF91』(1991年)の時も『武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃』なる、タイトルを見るだけで理解できる一大ムーブメントを作り上げており、商品展開的にも、初映画版と同時に発売され始めたガンプラSDガンダムシリーズ「SDガンダム BB戦士」シリーズの売り上げが好調で、その後のテレビシリーズ『機動戦士Vガンダム』(1993年)頃には「SDガンダム世代に、どうすればリアルタイプガンプラが売れるか」が試行錯誤されるという本末転倒な状況が出来るほどであった。
しかし、大河さんからすると、もうその頃は20歳をとうに過ぎており、さすがにその年齢でSD玩具にハマることもなく(「リアルタイプガンプラも、世間様から見ればどっちも玩具だ」は禁句(笑))、かといってなにか嫌う、憎むというわけでもなく、同じガンダムを素材としながらも果てしなく自分とは縁が遠いクラスタだと受け止めて、今の今までがあったことは事実。
SDサザビーのサイドビュー。シールドの紋章などはシール

SDサザビーのサイドビュー。シールドの紋章などはシール

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しかし、今にして思えば、筆者のような懐古厨ロボットマニアを虜にしたバンプレストのゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズ等も、このSDガンダムブームに寄り添う形で出てきたコンテンツであり(だからスパロボシリーズでは、なぜかガンダム系のモビル・スーツだけ、アニメではなかった「瞳」が描かれていたのである)、やがてガンプラメインストリームはMG、HGUCで「かつてのガンプラ少年」達を再び呼び戻せたのであるが、SDガンダム世代も着実に年齢を重ねながらもSDガンダムのサポートをし続けた結果、1999年からは改めて、「SDガンダム GGENERATION-0」「SDガンダム GGENERATION-F」というガンプラのシリーズが2002年までかけて展開された。
SDサザビーのバックビュー。肉抜き穴が目立つとはいえ、...

SDサザビーのバックビュー。肉抜き穴が目立つとはいえ、ファンネルコンテナもプロペラントタンクもしっかり造形されている

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今回紹介するSDサザビーは、そのGジェネレーションシリーズの商品No.02を選んだ。
「SDガンダム Gジェネレーション」は、No.01のνガンダムからNo.19のケンプファーまでは、1988年から展開していた最初のSDガンダムガンプラ「BB戦士」版に新規パーツを追加したものである。
ちなみにGジェネは、No.20のGアーマー付きガンダムから新規金型商品となる。

さて、本題に入ろう。
「なぜSDガンダムなのか?」
確かこの連載は、私、市川大河がシミルボンで連載している(現在休載中)『機動戦士ガンダムを読む!』で再現画像に用いるガンプラを紹介する連載枠だったはずである。
まさか『逆襲のシャア』サザビーの再現に、SDガンダム版を使う気か?
NO!
まさか、ミドルエッジの読者層がSDガンダム世代だからって、再現に使いもしないSDガンダムの紹介をして、媚を売ろうというのか?
NO!
その回答は、今回を最後まで読んでいただければ分かるだろう。
種を明かすのは簡単だが、名探偵だって事件の真相を暴くのは、たいてい最後、関係者一同を集めて「さて皆さん」と言ってからだ。
ちょっと今回は、大河さんの戯言にお付き合いください。

そしてまた、今回提示する「一つの回答例」が、実はリアルタイプ派ガンプラマニアにとって、「コロンブスの卵」的意味合いをもたらすかもしれないという前提でお読みくださいませ。
可動は、肩が回転、首が上下可動と回転をする程度。足首や...

可動は、肩が回転、首が上下可動と回転をする程度。足首やファンネルコンテナなども微妙に動く

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では、軽くキットの紹介を。
このSDサザビーのキット、1999年に発売された物だが、元の金型はSDガンプラ最初期の1988年のものに新規パーツのランナーを追加した物で、それゆえイマドキの「HGUC並みに色分けと可動がされているSDガンダム」とは程遠く、正直ノスタルジィの対象以上のポテンシャルはないキットである。
であれば、金型が同じであれば、1988年版のSDサザビーを買えばいいではないかという意見もあるかもしれないが、実は「それ」では「今回の目的」には使えないのである。
今回の唯一の購入条件は、1999年版新規ランナーの追加パーツにあるのだから。
Gジェネ版新規ランナー

Gジェネ版新規ランナー

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「なぜ?」への回答を一度そらしてキットの解説に戻ろう。
このキットは、さすが児童層を対象にしただけあって、可動も色分けも殆どない代わりに、パーツ数も少なく、これなら小学生低学年児童でも楽に組み立てられる。
この時期、スナップフィットへ向かっていた『逆襲のシャア』リアルガンプラが、組立にドライバーまで持ち出さなければいけなかった事と比較すると好対照である。
可動箇所は、両肩の回転と脚部一括でのハの字回転の他は、首が回転しながら多少上下に振れる程度。
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