『子供達を責めないで』名優・伊武雅刀のエキセントリックな演説ソング

低く響くバリトンと渋い演技。名優や怪優と呼ばれる俳優・伊武雅刀が1983年に出した『子供達を責めないで』。歌というより演説風なスタイルと秋元康による斬新で強烈な詞で物議を醸した異色のシングルについて振り返る。

2008年、『子供達を責めないで』などを含む、伊武雅刀による歌を集めたアルバム『伊武のすべて』が発売された。
このライナーノーツにて、伊武雅刀は1983年の発売当時に『子供達を責めないで』を聴いていたかつての子供たちに向けて興味深い言葉を残している。

当時シャレの分からない大人達から本当に子供が嫌いなのかと問われた。
シャレの分かる大人になった方々に今こそ是非聴いてもらいたい。
私が本当に責めていたものが何だったのかを。
via 『伊武のすべて』より一部抜粋

「シャレ」という言葉を二度も使っているのが特徴的。
私はシャレの分かる大人だろうか？
思わず考えさせられる。

1980年代前半、第二次ベビーブーム世代（団塊ジュニア世代）の子供たちが町に溢れて活気に包まれていた。
しかし、出生率はどんどん下がり2016年に国内で生まれた赤ちゃんは100万人を下回り、第二次ベビーブーム時の半分以下となってしまった。

少子化により、子供は従来にも増して貴重な存在になっている。
にもかかわらず保育園の騒音や、電車内のベビーカーなど子供に対して冷たい意見は無くならない。
そんな現代だからこそ、多くのオトナにこの『子供達を責めないで』を聴いて欲しい。