初恋~別れ
生い立ちで幼少期からの家庭環境がよくなかったことで人格形成の時期が不幸だったかもしれませんが...。
バンディの学生時代にさかのぼります。
学校に行くようになると、バンディは成績もスポーツもよくできたと言います。ただ、私生児だとひた隠しにしていたせいか、自分に自信が持てないという点から社会性に欠けていたようです。
今でいう陰キャという感じでしょうか。そして覗きと盗みの常習犯だったようです。女性寮の覗もしていたとか。
そんなバンディでしたが、10代後半で初恋が訪れます。相手は裕福な家庭のお嬢様でとても美人のステファニーという女性でした。2人は婚約までします。
バンディはステファニーの両親の信頼を得るため、カリフォルニア州のスタンフォード大学に転入する頑張りを見せます。しかし、別れはステファニーのほうから告げられます。
失恋により、大学の成績も落ち失意のどん底状態になり大学を辞めてしまい、残ったのはステファニーへの憎しみでした。
普通で考えても男女の仲で心変わりはよくある話です。ただ、相手に執着してしまうと別れても心に残るものがいい思い出などではなく「恨み」「憎しみ」というのはあまりにも自分勝手なものでしかありませんね。
新たな出会いと悪夢の再会
バンディはエリザベスとの交際期間中に連続殺人鬼として犯行を重ねていっています。二人の交際はバンディが捕まるまで続いていますが、エリザベスはバンディが犯人ではないかと疑いを持っていたと言われています。
ステファニーとの交際で失恋し、自分に自信を無くしていたバンディですが、好青年へと変わっていったきっかけが共和党ワシントン州副知事候補の選挙ボランティアになったことでした。
一生懸命活動に参加したバンディです。自身も取り戻していったようです。
ただこの時は素敵になったバンディにステファニーのほうから惹かれたようでした。でも今回はバンディのほうからステファニーを振ります。まるで7年越しの恨みを晴らしたかのように...。
実は、このステファニーとの再会で今度はバンディがステファニーを振ったことでバンディの中で何かスイッチが入ったのでしょうか。恐ろしい犯行が実行されていく事になります。
しかも襲う女性はステファニーと似た黒髪で真ん中から分けている髪型の女性でした。やはり眠っていたバンディの中の脅威はステファニーとの失恋から沸々と目覚めていっていたのでしょうか。
映画自体がフィクションの部分もあるのか?実際のテッド・バンディそのものを描いていくのかと興味がわきます。
テッド・バンディ題材の映画
映画「テッド・バンディ」本予告|12月20日全国公開
IQ160とも言われ、弁護士に頼らず自ら法廷で自己弁護を繰り広げた米シリアルキラー“Ted Bundy”。映画『テッド・バンディ』は最愛の恋人であったリズの視点からバンディを描いた作品で、彼女の混乱が伝染してくるような感覚に陥る。最後の面会室、隠されていた悪意が解放された瞬間は本気でゾッとした。 pic.twitter.com/0ndXcozuto
— INSPI. (@inspi_com) January 19, 2020
シリアルキラー・テッド・バンディの映画ですが、バンディが唯一、殺さなかった女性で一時は結婚まで進みかけたシングルマザーのエリザベスの視点で描かれているということです。
原題は、『Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile』。
日本語に訳すと「極めて邪悪、衝撃的に凶悪で卑劣」ということです。
これがタイトル?と思う方も少なくないかもしれませんね。これはテッド・バンディに死刑判決を下したエドワード・コワート判事が実際に口にした言葉です。
シリアルキラーと言われたこの連続殺人鬼のテッド・バンディを映画化することで決して何一つ美化することはできない犯罪者ですが、実際にこの連続殺人鬼と接して唯一、手をかけられなかった立場の女性からどんなふうに彼が映っていたのか知りたい気もします。
●本作には、テッド・バンディという男を理解しようと心の闇へ潜り込んだものの、
戻れなくなってしまった恋人、弁護士、裁判官の
悲痛な叫びが静かに反響している。石井光太(作家)
●テッド・バンディという男を、どう理解すればいいのか。
この迷宮に補助線はあるのか。
僕が見る赤色はあなたと同じ赤色かどうかわからない。
これを確かめることは永久にできない。彼はまったく違う世界で生きていた。そう解釈するしかないのか。森達也(映画監督・作家)
●史上初のテレビ中継された裁判
自分で自分を弁護するテッド・バンディ
最後まで無実だと多くの人々が信じていたであろう。
単なる連続殺人犯を描いた映画や推理を楽しむ範疇ではない。
この映画が日本の劇場で公開されることには感謝しかない。
一見の価値あり!小川泰平(犯罪ジャーナリスト・元刑事)
●小説で連続殺人鬼を頻繁に書いてきたから、
テッド・バンディについては知っていた。
だが、ここまで魅力的な奴とは思わなかった。
悪い奴だと知っていたにも関わらず、最後まで彼を本気で応援してしまった。
危険な映画だ。大石圭(作家)
テッド・バンディの最期
「ルイーズ・バンディ」。アメリカのシリアルキラー、テッド・バンディの母親が息子に電話で「あなたはいつも大切な私の息子です」と語りかけています。女性を殺害し死体を陵辱し三回の死刑判決を受けたテッド・バンディはその数分後に処刑されました。書肆ゲンシシャでは犯罪の歴史書を扱っています。 pic.twitter.com/knexZcqUSI
— 書肆ゲンシシャ/幻視者の集い (@Book_Genshisha) March 19, 2021
母親の愛はバンディに伝わっていたのでしょうか..。
最後の悪あがきだったのか、改心したのか?処刑の数日前に「全てを話す」と自らいい、刑の執行延期を求めています。実際は却下されています。
ただ最後にバンディが言ったのは「自分は暴力の中毒なんだ」。
これが本当に最後の自己弁護?自己分析?でもどんな言葉を持ってきても彼がした罪は消えないということです。
まとめ
この事件を知って日本でも同じようなシリアルキラーの事件は...?と記憶をたどると、ミドル世代だと思い浮かぶのは、戦後最大の連続女性誘拐殺人事件と言われた「大久保清事件」ではないでしょうか。
2度と同じような残虐な事件が起こりませんようにと願う反面、時代は変わってもシリアルキラーはまた現れるのではないかと....。
日本でもその昔、女性に振られたことをきっかけに恨みつらみで村人を次々殺していった映画「八つ墓村」のモデルとなり実際に起こった事件「津山三十人殺し」。
また令和の時代になって2017年に日本でも起こり、世間を震撼させた「座間事件」があります。
ただ思うのは、そんな犯罪者を作り出さない社会になり、人との繋がりが決して犯罪に繋がらない人の心が育つ世の中になってほしいということだけです。
でもそれが私生児だったという心の奥にあった劣等感。そこから自分に自信が持てなかったこと。そして一気に噴き出した失恋からの恨みという連鎖がバンディの中で起こったというのでしょうか。
犯行に及んだ背景とはなんだったのか。