実話を基にした映画「八甲田山」 決死の撮影と演技の結晶です!
2017年1月31日 更新

実話を基にした映画「八甲田山」 決死の撮影と演技の結晶です!

100年以上も前に起きた雪山「八甲田山」での遭難事故。軍の演習計画から悲劇は始まった・・・。

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雪山を舞台に、実在の事件を基にした超大作!高倉健の決死の演技も光る作品です

案内人の村人と隊員

案内人の村人と隊員

1902年(明治35年)に青森の連隊が雪中行軍の演習中に遭難し、210名中199名が死亡した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)を題材に、一部創作を加えた作品である。
極限状態での組織と人間のあり方を問いかけ、短い上映期間にもかかわらず日本映画として配給収入の新記録(当時)をマークした。
高倉健、北大路欣也、三國連太郎主演。北大路欣也の台詞「天は我々を見放した」は当時の流行語になった。
監督は森谷司郎、音楽は芥川也寸志で翌1978年3月の第1回日本アカデミー賞音楽賞を受賞している。

映画『八甲田山』 予告篇 - YouTube

北大路欣也の台詞は、当時の流行語にもなりました

天はわれわれを見捨てたらしいっ。
俺も死ぬから、全員昨夜の露営地に帰って、枕を並べて死のう!
[神田大尉]

「八甲田山」のあらすじ

極寒と飢えと恐怖が交錯する八甲田山

極寒と飢えと恐怖が交錯する八甲田山

青森歩兵第5連隊は、中隊編成で青森市から八甲田山に入り、
八甲田山中にある田代元湯(現在は廃湯)に一泊し、
さらに野営一泊後に帰営するという雪中行軍を
計画する。

しかし、準備と経験とを欠いた状態のまま
難所に差し掛かり、猛吹雪により進路を見失い
遭難してしまう・・・

また、もう一方では
弘前歩兵第31連隊が地元出身者を主体に
編成され、徳島大尉は一年前に雪中行軍演習を行った
経験を持っていた。

作品データ

原作 新田次郎
監督 森谷司郎
脚本 橋本忍
製作 橋本忍、野村芳太郎、田中友幸
出演 高倉健、北大路欣也、加山雄三、三國連太郎等
公開  1977年(昭和52年)
配給 東宝
時間 169分

原作完成までの道のりも困難を極めました

新田次郎『八甲田山死の彷徨』新潮社

新田次郎『八甲田山死の彷徨』新潮社

新田次郎さんは偶然に手にした『遭難始末』をもとに短編小説『八甲田山』を書き上げました。そしていつか、この事件を題材にした長編小説を書くのだと思い続けていました。

人気小説家であるためその時間はなく、なかなか着手できないでいた頃、八甲田山雪中行軍遭難事件の最後の生存者・小原忠三郎さんの死を新聞で知りました。

新田次郎さんは長編小説を書くことを決心し、小笠原弧酒さんに連絡をとりました。

小笠原弧酒さんの案内で現地をして、独自に資料を入手した新田次郎さんは、ついに長編小説『八甲田山死の彷徨』を書き上げました。

小説はベストセラー(売上げ部数不明)になり、さらに映画化が決定しました。

映画の製作費は当時では破格の7億円。撮影期間は3年間。豪華なキャスト、大規模な宣伝活動で映画「八甲田山」は公開されました。
小笠原弧酒さんは元新聞記者であり、八甲田山事件の研究者でもありました。
両隊のルート図

両隊のルート図

八甲田山のれん

八甲田山のれん

この絵だけ見ると、ほのぼのとした雰囲気なんですが。

撮影エピソード

野村芳太郎さんの「映画には空気が映る」は名言

野村芳太郎さんの「映画には空気が映る」は名言

当初、撮影は他のロケ地を想定していました。
森谷司郎、野村芳太郎が実際に八甲田の山々を歩き、ロケ地はやはり八甲田しか無いと判断したとの事。
その説得時に、野村芳太郎さんから「映画には空気が映る」と言われたそうです。
精神力だけでは克服できない。しかし、それを狙って行ったのだからやらなければと・・。
人は目を開いていられないが、キャメラは瞬きもせず写している。メカニックの限界。しかし、キャメラも止まった。
キャメラはヒーターを付けて完全装備をしている。
ただ、コードは厚くゴムを巻いてやったんだけれども耐えられず、スイッチが凍結。
電気が通らない。そこでキャメラ助手が木下藤吉郎みたいに、懐に10本位コードを入れて暖めている。
ここでと思う時カメラが止まって しまうので監督は腹が立つ。「コード換えて・・」絶叫しながらの撮影であった。
座談会「雪と寒さの地獄から」より抜粋。

監督や撮影、助監督等の撮影秘話に震えましたっ。

八甲田山の怪談話

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