映画「タクシードライバー」 アメリカン・ニューシネマの傑作であり、大統領暗殺未遂事件の遠因にもなった狂気の映画でもありました。
2017年1月31日 更新

映画「タクシードライバー」 アメリカン・ニューシネマの傑作であり、大統領暗殺未遂事件の遠因にもなった狂気の映画でもありました。

映画「タクシードライバー」。ロバート・デ・ニーロ主演で1976年の作品。本作はアメリカン・ニューシネマの最後の傑作とされています。また、その後の大統領暗殺未遂事件にも影響した映画でもありました。

8,103 view
 (1575720)

根暗で不眠症 トラヴィス・ビックル。
心の闇を抱えながら、同じような毎日を生きていた。

そうした主人公はこれまでのハリウッドにはないタイプでした。
ニューシネマは、別に若者の無秩序を描いただけではなく、それまでのハリウッドの、キレイなドラマに対する反逆だったので、「タクシードライバー」のような、その当時の若者が抱える鬱屈した感情なんかも、テーマとしてはありえました。
 (1575746)

段々と、社会に対しての不満が増幅していく。

「アメリカ映画の名セリフベスト100」

「俺にしゃべってんのか?」

徐々に狂人へと変貌していくトラヴィスが、鏡に向かって一人芝居をするシーン。
デ・ニーロのあまりにも有名なシーンです。
 (1575754)

「You Talking to me?」
デ・ニーロが鏡に向かい「You talkin' to me?」と呟きながら自分の鏡像に銃を向ける場面は、脚本には書かれておらず、監督とデ・ニーロが即興で様々な試みを行った。

「You talkin' to me?」は、2005年にアメリカ映画協会が選出した「アメリカ映画の名セリフベスト100」で10位にランクインした。

デ・ニーロの鍛錬シーンが魅力

タクシードライバーTaxi Driver 1976 - YouTube

※英語での予告

映画がきっかけとなった重大な事件

普通の人は映画を観ても「あくまでフィクションだから」と割り切ることができるのですが、ジョン・ヒンクリーはそうではない人間でした。

ヒンクリーは「タクシードライバー」に登場するアイリス役のジョディ・フォスター(当時12)に入れ込み、スターであるフォスターと同等の立場になるために大統領暗殺を計画しました。当時の大統領ジミー・カーターを狙ったヒンクリーは重火器不法所持によって逮捕されます。

釈放後も計画は続き、ヒンクリーはカーターを破って大統領となったレーガンを狙うようになります。1981年3月30日、計画は実行に移されましたが(レーガン大統領暗殺未遂事件)、暗殺は未遂に終わりました。ヒンクリーは精神異常を理由に無罪となりました。

作品データ

監督 マーティン・スコセッシ
脚本 ポール・シュレイダー
俳優 ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ハーヴェイ・カイテル、ジョディ・フォスター等
公開  1976年(昭和51年)
配給 コロムビア映画
時間 114分
 (1575872)

若きロバート・デニーロ
鬱屈した空気感に包まれている本作。
1970年代に隆盛を極めた「アメリカン・ニューシネマ」の代表作の一つとして未だに挙げられます。
前述の大統領暗殺未遂事件は極端な例ではありますが、ある種のアンチ・ヒーローのように捉えられた側面もありました。

また、デ・ニーロの狂気を内包した乾いた演技も、ある種の中毒性をはらんだものとなり、何度も見直してしまいます。
1976年のカンヌ国際映画祭ではグランプリにも輝いた本作で、当時のハリウッド映画の空気に触れるのもいいかも知れませんね。
35 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

実際の銀行強盗事件を題材に、アル・パチーノが主演した映画『狼たちの午後』

実際の銀行強盗事件を題材に、アル・パチーノが主演した映画『狼たちの午後』

1975年製作のアメリカ映画で、日本では翌1976年に公開された映画『狼たちの午後』。監督はシドニー・ルメット。映画中で実在の銀行強盗犯を演じたアル・パチーノの演技が高く評価されている。実際の銀行強盗事件が題材となっている。
ひで語録 | 2,785 view
本当の殺人シーンが写っているとされた映画。一度はお蔵入りにもなった殺人フィルム映画「SNUFF(スナッフ)」。初のR指定(外国映画として)となりました。

本当の殺人シーンが写っているとされた映画。一度はお蔵入りにもなった殺人フィルム映画「SNUFF(スナッフ)」。初のR指定(外国映画として)となりました。

映画「SNUFF(スナッフ)」は、本当の殺人シーンが入っていると噂になった怪作です。一度はお蔵入りになるも、再編集と綿密なマーケティングを用いて、ヒット作となった映画です。1976年の日本でも話題となりました。
ひで語録 | 83,431 view
映画「グリズリー」を知っていますか?国立公園に大熊が出現し、公園を恐怖のどん底に包む映画です!

映画「グリズリー」を知っていますか?国立公園に大熊が出現し、公園を恐怖のどん底に包む映画です!

1976年に公開「グリズリー」。公園に大熊が出現するというパニック・ホラー。映画「ジョーズ」の影響も存分に受けているエピゴーネン(模倣)作品。その内容を見てみましょう。
ひで語録 | 15,976 view
アーメン!じゃなくて「オーメン」が懐かしい!

アーメン!じゃなくて「オーメン」が懐かしい!

「オーメン」って観てないけど、なんだか不気味な映画でしょ?はい、そうです!内容をまとめてみましたので、ぜひ一読下さい。
ひで語録 | 4,447 view
『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』など、名優「ロバート・デ・ニーロ特集」が6夜連続で放送決定!!

『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』など、名優「ロバート・デ・ニーロ特集」が6夜連続で放送決定!!

BS松竹東急(BS260ch・全国無料放送)の放送枠「よる8銀座シネマ」と「土曜ゴールデンシアター」にて、10月28日(月)より「世界の名優シリーズ 生ける伝説 ロバート・デ・ニーロ特集」と題した特集が放送されます。
隣人速報 | 161 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト