1959年には、「四谷怪談」はもう1本、映画化されています。それが中川信夫監督の怪談映画の最高傑作として知られている「東海道四谷怪談」です。
この「四谷怪談」、新東宝としては2度目の映画化であり、鶴屋南北の原作としては実に21回目の映画化だそうです。
そして本作こそが初の「四谷怪談」のカラー映画です。
この「四谷怪談」、新東宝としては2度目の映画化であり、鶴屋南北の原作としては実に21回目の映画化だそうです。
そして本作こそが初の「四谷怪談」のカラー映画です。
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浪人の伊右衛門は、お岩との仲を引き裂かれたことを恨んでお岩の父を斬殺する。しかしその所業を直助に目撃され、弱味につけこまれていく。他の罪人に罪を擦り付けた伊右衛門は、その仇討ちを口実にお岩たちを連れて江戸へと向う。
しかしお岩と念願の所帯を持ち子供も生まれたものの、仕官の口も無く日々の生活にも困窮するのだった。
次第に伊右衛門の焦りは、お岩への虐待へと変質していく。そして、遂には立身と金の誘惑、そして直助の謀計によりお岩の殺害を決意する。
もう何というか、怨念と狂気の世界。怖い。と言うか面白い。流石に今でも高い評価を得ている作品だけのことはあります。クールな二名目俳優、天知茂の伊右衛門は素晴らしい。実はこの役、当初は嵐寛寿郎の予定だったのだとか。次いで丹波哲郎が候補にあがった後、天知茂に落ち着いたのだとか。
中川信夫監督「東海道四谷怪談」1959年 名場面
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映画「地獄の黙示録」などで知られるフランシス・フォード・コッポラ監督が、「世界のオカルト映画の中で最高傑作だ」と本作を高く評価しています。
お岩の亡霊
1961年、加藤泰監督、主演は若山富三郎に藤代佳子によって、1961年「怪談お岩の亡霊」が公開されました。東映映画です。
怪談 お岩の亡霊 予告篇【1961年 東映版】
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毒を盛られて顔が醜く変形し、斬殺されたお岩。夫であった伊右衛門と金貨しの娘・お梅との祝言の夜から、彼女は亡霊となって伊右衛門に付きまとう。
この映画の特徴はですね、お岩さんよりも伊右衛門の方が怖いというところです。2度目の伊右衛門役ですが、若山富三郎、やってくれました。勝新太郎のお兄さんだけのことはあります。流石です。この伊右衛門は只のロクデナシです。サムライから遠く離れたヤクザです。そういった意味では勝新太郎が演じても面白かったかもですね。
この後、仲代達矢主演で「四谷怪談(東京映画)」が1965年に公開され、1969年に同じようなタイトル「四谷怪談 お岩の亡霊」が大映で制作されています。タイトルは変えた方が良かったんじゃないでしょうかね?監督は森一生、主演は佐藤慶と稲野和子のコンビです。
この後、仲代達矢主演で「四谷怪談(東京映画)」が1965年に公開され、1969年に同じようなタイトル「四谷怪談 お岩の亡霊」が大映で制作されています。タイトルは変えた方が良かったんじゃないでしょうかね?監督は森一生、主演は佐藤慶と稲野和子のコンビです。
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遠州相楽藩士四谷左門の娘、お岩とお袖は藩の相楽藩の没藩後、不幸の極みに。婚約者と生き別れたお袖は、老父を支えるため体を売り、お岩は同藩の民谷伊右衛門と所帯を持ったものの、江戸で惨めな浪人生活を送っていた。献身的に尽くすお岩を疎ましがり、自らの出世ばかりを考える伊右衛門は盛り場で素封家の娘に取り入ろうとする。妨げになる舅左門を斬り、お袖に横恋慕する直助と共謀し、お岩を不義密通のかどで離縁する手段を実行する
天知茂、若山富三郎、仲代達矢、佐藤慶と、60年代は伊右衛門役にビッグスターが名を連ねていますねぇ。流石に皆さん素晴らしいです。同じ役であるにかかわらず、しっかりと個性を出しています。
四谷怪談 お岩の亡霊 予告篇【1969年 大映版】
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で、戦後ここまで飛ばしてきた「四谷怪談」ですが、70年代には1本も制作されていません。
魔性の夏 四谷怪談より
70年代に映画としては制作されたなったとはいえ、四谷怪談をモチーフとした「新怪談色慾外道 お岩の怨霊四谷怪談(1976年)」は制作されていますし、1970年にはテレビドラマとして田村高廣主演で「日本怪談劇場 四谷怪談 稲妻の章・水草の章」が制作されています。
そして、待ちに待った映画は、伊右衛門:萩原健一、お岩:関根恵子、蜷川幸雄がメガフォンをとって、1981年「魔性の夏 四谷怪談より」として公開されました。
そして、待ちに待った映画は、伊右衛門:萩原健一、お岩:関根恵子、蜷川幸雄がメガフォンをとって、1981年「魔性の夏 四谷怪談より」として公開されました。
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ある夜、伊右衛門は、自分の旧悪を知っている妻、いわの父、四谷左門におどされ、闇討ちにした。その頃、伊右衛門の仲間の直助は、恋の遺恨から、佐藤与茂七を殺そうとした。しかし、殺されたのは、人違いで与茂七の仲間だったが、直助は気づかなかった。いわとその妹で与茂七の妻のそでは、父や良人を失って悲しむが、伊右衛門と直肋は、何喰わぬ顔で仇討の助太刀を約束する。しかし、伊右衛門といわの仲は次第にまずくなっていく...
脚本:大貫正義、石川義寛
原作:鶴屋南北
製作:大蔵貢
出演者:天知茂、若杉嘉津子、江見俊太郎
音楽:渡辺宙明
撮影:西本正
編集:永田紳
配給:新東宝
公開:1959年7月14日
上映時間:76分
製作費:1800万円(当時)