蜷川幸雄は言わずと知れた日本を代表する演出家ですが、脚本には「スローなブギにしてくれ」の内田栄一、撮影は「五番町夕霧楼」の坂本典隆という実力者たちが集結しています。内容的には鶴屋南北の「四谷怪談」を原作としているものの、青春群像ドラマとして描いています。ちょっと毛色の変わった「四谷怪談」です。
魔性の夏 四谷怪談より 予告編
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関根恵子は美しい。しかし貴重なのは夏目雅子の入浴シーンかもしれませんね。森下愛子も出てるでよ!
忠臣蔵外伝 四谷怪談
そして90年代は、監督:深作欣二、伊右衛門:佐藤浩市、お岩:高岡早紀による1994年10月22日公開の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」です。忠臣蔵外伝?というところに違和感を感じる方もいるかともいますが、これまた一風変わった「四谷怪談」となっています。
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あらすじ
時代は江戸中期・元禄時代。浪々の末、ようやく赤穂藩浅野家の家臣に取り立てられた民谷伊右衛門。そんな伊右衛門を、そして赤穂藩を突然襲った悲劇…。再び浪人となり、琵琶の門付けに立つ伊右衛門の前に現れた一人の女─―。
お岩さんといえば武家の子女なわけですが、ここでは何と娼婦です。しかも幽霊となったお岩さんは超能力を使います。無敵でしょうね。そして、そうですタイトルが示すように、伊右衛門は赤穂浪士であり、相手のお梅、伊藤喜兵衛、お槇は吉良一門と繋がりがあるということになっています。
忠臣蔵外伝 四谷怪談(予告)
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なんだこれは!この設定は!大人の事情か?!大人の事情なのか?!変化球にも程がある!とお叱りを受けそうな感じですね。推測すると、つまらん映画という感じがしますが、そうではありません。この映画は第18回日本アカデミー賞において、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞、優秀助演女優賞、優秀音楽賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、優秀録音賞、優秀編集賞、新人俳優賞を受賞しているんです。逆にいうと、この年他の映画がどれだけつまらなかったんだということにもなるわけですが、まぁ、そこは、大人の事情というヤツでしょう。
この後は、京極夏彦原作の「嗤う伊右衛門」が2004年に映画化され、「四谷怪談」の流れを繋いでいますが、やはり次は鶴屋南北原作の正統「四谷怪談」をお願いしたいものです。
この後は、京極夏彦原作の「嗤う伊右衛門」が2004年に映画化され、「四谷怪談」の流れを繋いでいますが、やはり次は鶴屋南北原作の正統「四谷怪談」をお願いしたいものです。
脚本:古田求・深作欣二
製作:櫻井洋三
出演:佐藤浩市、高岡早紀、荻野目慶子、渡辺えり子、津川雅彦
音楽:和田薫
撮影:石原興
配給:松竹
公開:1994年10月22日
上映時間:106分
配給収入:3億3000万円