若者の人気を集めた小さなスポーツカー、ワンダー・シビック
2017年9月29日 更新

若者の人気を集めた小さなスポーツカー、ワンダー・シビック

ホンダ・シビックが復活しました。新型は3ナンバーで価格も280万円と、高級車のようですが、我々ミドルエッジ世代にとっては小さくてスポーティなクルマ、というイメージが強く、最初のマイカーという人も多いはず。そのルーツ、ワンダーシビックを紹介します。

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ホンダを盤石なメーカーにしたシビック

近年はコンパクトカーと呼ばれている1200~1600ccクラスは、長いこと大衆車と呼ばれてきました。代表格はトヨタのカローラと日産のサニーで、販売台数は1位、2位を占めてきました。

そのようなマーケットに、新興メーカーのホンダが挑んだクルマがシビックでした。1972年に初代がデビュー。カローラ、サニーがセダンボディの中で、シビックは2ドアセダン(ハッチバックのような2ボックスボディですが、ハッチバックのようにリアは上から開かず、リアウインドーの下が開く)でした。
斬新なデザインで人気を集めた初代シビック

斬新なデザインで人気を集めた初代シビック

環境エンジンCVCCで、シビックの名を世界に知らしめた。
既存のこのクラスにはない若々しさが好評で、新興4輪車メーカーであるホンダのポジションを確立。後に3ドアハッチバックや4ドアセダン、5ドアハッチバック、5ドアのライトバンが追加されました。

特筆すべきは、世界一厳しいアメリカの排気ガス規制「マスキー法」を、シビックがCVCC技術によって世界で初めてクリアしたことです。
キープコンセプトだった2代目シビック

キープコンセプトだった2代目シビック

「スーパーシビック」のキャッチコピーが付けられた。
初代シビックは1979年に2代目にフルモデルチェンジ。3ドア・5ドアハッチバックのほか、初めて大きなトランクが付いたセダンスタイルの4ドアセダンが設定されました。また、後にはライトバンをベースにしたステーションワゴンが「シビックカントリー」として追加されました。

また、シビックのみを対象にしたワンメイクレース「シビックレース」も始まり、シビックのスポーティなイメージの定着に貢献しました。
2代目シビックに追加されたノッチバックタイプの4ドアセダン

2代目シビックに追加されたノッチバックタイプの4ドアセダン

凡庸感は否めない。

創業者のMM思想を最も具現化した3代目シビック

ホンダの創業者、本田宗一郎は、自動車設計の哲学として「マン・マキシマム・メカ・ミニマム」というものを持っていました。これは、居住スペースは大きく、エンジンなどのメカはコンパクトに、というもので、その頭文字から「MM思想」と呼ばれています。この思想は今日のフィットやN BOXなどにも引き継がれています。

シビックは初代からこの思想を持っていましたが、1983年9月にフルモデルチェンジした3代目は、特に具現化されたモデルとなりました。3ドアハッチバック、トランク付きの4ドアセダン、5ドアワゴンのシャトル、ライトバンがラインナップされ、「ワンダー・シビック」のコピーで発売されました。
「ワンダー・シビック」のキャッチコピーで発売された3代目

「ワンダー・シビック」のキャッチコピーで発売された3代目

2代目から一気に近代的なデザインになった。
1982年に登場した2代目プレリュードのイメージを継ぎ、ラジエータグリルは最小になり、ノーズは低く、車高は1340mmに抑えられました。3ドアハッチバックは長いルーフと小さなハッチバックからなる台形のボディで、後席でも十分なルーフ長を確保しながら、スタイリッシュなデザインでまとめられました。
直線的な台形デザインの3ドアハッチバック

直線的な台形デザインの3ドアハッチバック

「ワンダー・シビック」の特徴ともいえるリアスタイル

「ワンダー・シビック」の特徴ともいえるリアスタイル

ブラックアウトされたガラスやライトまわりのデザインは、当時の超先端だった。
3代目シビックのメカニズムを描いた透視図

3代目シビックのメカニズムを描いた透視図

ホンダ ワンダー・シビック 第1弾CM(1983年) ワンダーシビック誕生

ワンダー・シビック登場時のCM。ルイ・アームストロングの「What a wonderful world」と妙に合っていた。

専用ボディの採用で各ボディの個性を際立たせる

2代目までは3ドアと4ドア(5ドア)で多くの部品を共通にしていましたが、3代目ではイメージを共通としつつ、部品は異なるものを使用しました。

4ドアセダンは、専用のフェンダーパネルを使用して、1385mmの車高と立ち気味のCピラーにより広大なキャビンを確保しました。コンパクトさと広大なキャビンをスタイリッシュにまとめたデザインは、いま見ても斬新なものがあります。
ハッチバックと共通のデザインテーマ、イメージを持ちつつ...

ハッチバックと共通のデザインテーマ、イメージを持ちつつ、異なるフェンダーで独自のボディをまとった4ドアセダン。

ステーションワゴンのシャトルは、さらに吹っ飛んでいました。MM思想を究極まで極めたような設計で、車高は当時では珍しいほどハイトな1480mm。荷室には縦長の独特な窓を設けました。ボディは3ドアハッチバックと同様に直線的で、スクエアな台形をしていました。1984年11月には、シャトルにパートタイム式の4WDが追加されました。
立ち気味のCピラーと大きな窓ガラスで、明るく広いキャビ...

立ち気味のCピラーと大きな窓ガラスで、明るく広いキャビンが特徴。

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