ビッグバン・ベイダー物語は猪木秒殺事件から始まった!空飛ぶ巨漢が新日UWF全日ノアで大暴れ!
2016年11月25日 更新

ビッグバン・ベイダー物語は猪木秒殺事件から始まった!空飛ぶ巨漢が新日UWF全日ノアで大暴れ!

日本マット界にビッグバンを起こした皇帝戦士ベイダー。170キロの巨漢で空中殺法を炸裂させるプロレスラーは他に類例がない。ベイダーの新日本マット登場から、UWFインター、全日本プロレス、プロレスリング・ノアでの激闘を振り返り、強さの秘密に迫る。

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長州力と藤波辰巳の猪木越えへの執念の凄まじさが見えた試合がある。
1987年10月19日、アントニオ猪木、山田恵一VS長州力、藤波辰巳のタッグマッチ。
長州が山田からリキラリアットでピンフォールを奪うと、猪木が2対1でやると言い出す。
怒った長州と藤波が受けて立ち、ハンディキャップマッチが行われる。しかし2対1ではさすがに苦しい。藤波のジャーマンスープレックスホールドで猪木がカウントスリーかと思った瞬間、長州が藤波にキック!
怒りの藤波は半失神の猪木を場外に放り投げ、長州と対峙。セコンド陣が両者を分けた。
2対1で猪木からフォールを奪っても猪木越えにならないことは明らかだが、自分が先に首を獲るという執念は凄まじい。
だが、両国でビッグバン・ベイダーが猪木をフォールしたことを考えると、そのベイダーを倒して新日本プロレスの牙城を守ることこそ、猪木越えの一要素といえる。

1988年、実質的に新日本プロレスに参戦したビッグバン・ベイダーは、その強さを発揮する。
パワーとスピードは文句なし。しかも170キロの巨漢で空中殺法を繰り出すのだから相手選手はたまらない。
またベイダーハンマーも厄介だ。たまにベイダーハンマーと見せた単なるパンチも混ざっているので、あの重い連打で試合の流れが変わってしまう。
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1988年6月26日、名古屋レインボーホールで行われたIWGPヘビー級選手権。
藤波辰巳は、ビッグバン・ベイダーの猛攻に耐えに耐え、最後は逆さ押さえ込みでベイダーからカウントスリーを奪う。
炎の飛龍・藤波辰巳が猪木越えに一歩近づいた。
ベイダーは1985年のデビューなので、経験は圧倒的に藤波のほうが上なのだ。
しかし、ベイダーは藤波や長州、そして猪木と対戦していくうちに、いろいろな技や駆け引きを覚え、隙がなくなっていく。
もともとパワーは文句なしだが、それに小技や駆け引き、試合運びの上手さが加わっていったのだ。
あのハルク・ホーガンが猪木との闘いで日本式のプロレスリングを吸収したように、ベイダーの急成長は著しかった。
1989年4月24日、東京ドーム。藤波は、さらに強くなってしまったビッグバン・ベイダーと闘うことになる。

ビッグバン・ベイダーVS藤波辰巳

1989年4月24日、東京ドーム。
1989年4月24日、東京ドーム。
この日は、新日本プロレスが「闘強導夢杯争奪トーナメント」と銘打ち、ビッグバン・ベイダーも参戦。
トーナメントの1回戦で蝶野正洋をビッグバンクラッシュで破り、2回戦は藤波辰巳と対戦。公式戦30分1本勝負。
藤波がヘッドロックするとベイダーはいきなり強烈なバックドロップ! たまらず場外にエスケープする藤波。
ベイダーはフロントヘッドロック、ヘッドバット。ロープに飛ばしてベイダーラリアット! 飛ばしまくる。
藤波もバックを取ってバックドロップ・・・はさすがに無理か。行った。藤波はベイダーの巨体をバックドロップ!
ローキック連打で攻める藤波だが、すぐにベイダーがアームロック。グラウンドで腕を攻め、その腕にニードロップ! 170キロの巨漢がやるとつなぎ技も必殺技になりかねない。
ベイダーが行く。ベイダーハンマーからブレーンバスター・・・は藤波がブレーンバスター返し! さらにドロップキックでベイダーは場外へ。
藤波が場外を見る。勢いよくロープに飛んでまさかのドラゴンロケットかと思ったが、ここは慎重に思いとどまる。
ベイダーがスライディングして藤波を転ばし、脚を極める。何というクレバーなベイダー。
ラフファイトも得意だ。藤波に痛烈な張り手。藤波も張り手で返す。ベイダーの顔面に張り手連打。 
ベイダーもボディスラム、ベイダーアタック。しかしベイダータックルを藤波がホイップして腕ひしぎ逆十字固め! 大歓声。ロープブレイク。
ベイダーのブレーンバスターを藤波がバックに回ってバックドロップ! カバーに入ったが、ベイダーが返すと藤波は宙に浮いてしまった。
藤波は腕を攻める。ベイダーが叫び声を上げて痛がるが演技か本気か。
ベイダーは一本背負いで藤波を投げ、ベイダーハンマーからロープに飛ばしてベイダーラリアット!
場外乱闘はベイダーが攻勢。藤波を鉄柱に叩きつけ、リングに上げる。
藤波はベイダーの腕にキック連打から延髄斬り! そして腕固め! 決まるか。ベイダーはロープ。
ベイダーは藤波をコーナーに投げてベイダーアタック! 
藤波もドロップキック。コーナーポスト最上段からダイビングボディアタックはベイダーが受け止めて、そのまま藤波の首をトップロープにギロチン!
ベイダーが攻める。藤波をロープに飛ばしてショルダースルーを藤波がローリングクラッチホールド・・・を粘りヒップドロップ!
藤波が苦悶の表情で立てない。チャンスだ。ロープに飛んで170キロのビッグバンクラッシュ! カウントスリー!
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蝶野正洋、藤波辰巳を撃破したビッグバン・ベイダーは決勝で橋本真也と激突。
決勝は闘強導夢杯&IWGP王者決定戦、60分1本勝負。
ベイダーは見事にベイダーラリアットで橋本真也を破り、優勝とベルトを勝ち取った。
ビッグバン・ベイダーは第4代IWGPヘビー級チャンピオンに君臨した。

ビッグバン・ベイダーVS長州力

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ピストル音が鳴り、パワーホールが流れると、場内は嵐のような大長州コールが巻き起こる。
カリスマ性でも人気でもアントニオ猪木と肩を並べる唯一の存在が長州力なのだ。
1989年8月10日、因縁の両国国技館。チャンピオンの長州力は、ビッグバン・ベイダーの挑戦を受ける。
しかし、ビッグバン・ベイダーは、まさかのローリングクラッチホールドで長州力からカウントスリーを奪い、IWGPヘビー級チャンピオンに返り咲く。
これでベイダーは、第4第、第7第と二度もIWGPヘビーのベルトを腰に巻くことになる。
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ビッグバン・ベイダーは、チャンピオンとして防衛戦を重ねる。
クラッシャー・バンバン・ビガロ、橋本真也、スタン・ハンセンと強豪を退け、強さを証明していく。
しかし、ハンセン戦で目を負傷してしまったことが痛い。これは明らかに試合に支障をきたしてしまうからだ。
1990年、8月19日、縁深き両国で、チャンピオンのビッグバン・ベイダーに挑戦する長州力。
新日本プロレスの最後の砦として、長州力が必勝の決意で臨んだ。

ビッグバン・ベイダーVS長州力

1990年8月19日、両国国技館。IWGPヘビー級選手権。
甲冑姿で入場して来たチャンピオンのビッグバン・ベイダー。花道で白煙を上げ、リング上でもコールされる時に白煙を上げた。
マスクを被ったベイダー。ゴング。長州はいきなり張り手! 怒ったベイダーもベイダーハンマー。パンチが混ざっている。
長州をロープに飛ばすと見せかけて腕を取ったままのベイダーラリアット! カウントツー。
ベイダーは寝ている長州の脚を極めながら上からパンチ。そして掟破りのサソリ固めに行こうとする。長州が苦しい表情。
ベイダーハンマー連打で長州は場外転落。長州はキレたか。エプロンに立ち、ベイダーが襲いかかるところをベイダーの右目にヘッドバット!
ロープをくぐった長州は猛然とベイダーにパンチ連打。ダウンするベイダーにキック連打! 「テメーこらあ!」と目を剥いてパンチ連打。ベイダーは場外へエスケープ。
場外乱闘。ベイダーは長州をフェンスに叩きつける。そして鉄柱! 長州が流血。リングに上がったベイダーはマスクを外す。
リングに上がろうとする長州にベイダーがブレーンバスター! 
長州はまだ宿敵ベイダーから一度もピンフォールを奪ったことがない。ベイダーは長州から二度もフォール勝ちをしている。
ベイダーラリアット! 流血している長州の額にサイドキック! ボディスラムからのビッグバンクラッシュ! カウントツー。大長州コール。
ロープに飛ばすと見せかけてのベイダーラリアット! エルボードロップ! カウントツー。やはり強いベイダー。長州苦しいか。
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ベイダーがコーナーポスト最上段に上る。危ない。しかし長州が素早くコーナーポストに上り、ベイダーの巨体を雪崩れ式ブレーンバスター!
形勢逆転か。長州が延髄斬り! ロープに飛んでリキラリアット! 右腕を押さえて痛がる長州。もう一度リキラリアット! 腕が痺れる。
ベイダーの太い両足を取りサソリ固め! 大歓声。ベイダーはロープをつかむ。
ベイダーも右目を痛がる。長州をコーナーに投げてベイダーアタック! パンチが混ざったベイダーハンマー連打をレフェリーのタイガー服部が注意する。
もう一度長州をコーナーに飛ばしてベイダーアタックを狙って突進したところを長州がカウンターの右目パンチ!
怯むベイダーにリキラリアット! 倒れないベイダー。ロープに飛んでリキラリアット! 倒れない。ロープに飛んでぶん殴りラリアット! 今度は後頭部ラリアット!
四つん這いの形でダウンするベイダー。長州は渾身のリキラリアット! カウントスリー!
パワーホールが流れ、嵐のような大長州コール。悔しがるベイダー。
IWGP王座がついに移動。ベイダーは5度目の防衛に失敗。しかしベイダーの強さを嫌というほど思い知らされた試合だった。

ビッグバン・ベイダーはこのあとも、1991年1月17日、横浜文化体育館で藤波辰巳をベイダーラリアットで撃破し、第10代IWGPチャンピオンとなる。
結局新日本プロレスで3度もIWGPベルトを腰に巻いたのだ。
IWGPタッグもクラッシャー・バンバン・ビガロとのコンビで獲得している。
 

ビッグバン・ベイダーVSアントニオ猪木

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両国の初対決でビッグバン・ベイダーに秒殺されたアントニオ猪木。もちろんあのまま終われるわけがない。
猪木とベイダーはその後も名勝負を繰り広げるのだ。
1988年7月29日、有明コロシアム。アントニオ猪木はビッグバン・ベイダーと対戦する。
あの時は長州力と一試合闘ったあとでスタミナを消耗していたのは間違いない。ベストコンディションで臨むシングルマッチ。猪木は喧嘩殺法でベイダーを攻めまくり、最後は16分45秒、必殺腕固めでベイダーに勝利した。
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