第3の宇宙刑事は青き若獅子「宇宙刑事シャイダー」
2017年1月31日 更新

第3の宇宙刑事は青き若獅子「宇宙刑事シャイダー」

「『宇宙刑事シャイダー』は1984年(昭和59年)3月2日から1985年(昭和60年)3月8日まで毎週金曜日19時30分から20時にテレビ朝日系で放送された全49話と劇場版2本公開の東映制作特撮テレビ映画。「宇宙刑事シリーズ」の第3弾である。では、その詳細を今一度見てみよう」

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番組解説

 本作は『宇宙刑事ギャバン』に始まる「宇宙刑事シリーズ」三部作の第3弾であり、現在では「メタルヒーローシリーズ」の第3弾とされる。
 シャイダーの名前の由来は映画『ジョーズ』などに出演した俳優ロイ・シャイダーから。
 過去の2作品は主演にJACのアクション俳優を起用していたが、『宇宙刑事シャイダー』では前二作と変化をつけるべくパートナーの女宇宙刑事をJACから抜擢することになった。主演のシャイダー=沢村大には円谷プロダクション芸能部からの売り込みで主演オーディションに参加していた円谷浩が、メインライターの上原正三が強く推薦したこともあって選ばれた。
 円谷プロで脚本家デビューを果たした上原にとって、円谷プロの社長を務めていた円谷一は恩人でもあり、息子の浩を主演へと推薦することで円谷一の恩に報いたかったのが、最大の推薦理由でもあったという。特撮監督を務めていた矢島信男は、松竹の社員時代における円谷英二や、『ミラーマン』などにおける円谷一、そして本作における円谷浩との出会いを指して、「親子三代に渡る不思議な縁ですね」と当時の感想を述べていた。
 円谷浩を主役に推薦したことも手伝って、上原は東映のスタッフに対し『宇宙刑事シャイダー』における全話の脚本を、一人で執筆してみせることすら約束した。そして上原は、同時期に開始された『星雲仮面マシンマン』や『ビデオ戦士レザリオン』『北斗の拳』の脚本も兼ねながら、本作における全49話を一人で執筆し続けることで、東映と円谷への恩返しをも同時に果たしている。
 アクション俳優ではないことを逆手に取って「訓練学校を卒業したばかりの、未熟な戦士の成長物語」を課せられた円谷浩も、一年間に渡る過酷な撮影生活を全うすることで、俳優として更なる成長を遂げた。一方でパートナーであるアニー役の森永奈緒美によるミニスカート姿でのアクションも人気となった。
 パイロット監督は前作までの小林義明に代わって吉川進プロデューサーの意向により澤井信一郎が登板している。小林と同じく東映の社員監督であった澤井だがこれまで特撮番組に携わった事がなかったため、最初は依頼を固辞した。しかし、前作『宇宙刑事シャリバン』の完成度の高さに感心し、参加を決意したという。「不気味」ではなく「不思議」な世界観作りに拘った澤井監督の意向は、不思議ソングや神官ポーといったイメージやキャラクターにも強く反映され、宇宙刑事シリーズにまた違った新風を吹き込んだ。同時期の『星雲仮面マシンマン』終了後は日笠淳がプロデューサー補として参加。

 本作の特徴として、敵組織である不思議界フーマが、人間の心を支配することで侵略を進める戦略をとったことが挙げられる。「地球を傷つけずに征服するため直接的な武力に訴えない」という説得力ある理由づけがなされていたが、このため衣食住や娯楽、教育などが侵略作戦に利用され、身近なところにまで魔手を伸ばし人間の心の闇をえぐるフーマの魔性が強調された。「百点源太の正体」をはじめ、高い社会風刺性を持ったエピソードも多い。また、作戦の性質上しばしば子どもがターゲットとされるため、子どもが絡んだエピソードも増えた。

オープニング主題歌「宇宙刑事シャイダー」

作詞・山川啓介
作曲・渡辺宙明
歌:串田アキラ

あらすじ

 武力だけではなく、精神的な攻撃をも交えて人々を苦しめ堕落させる不思議界フーマの不思議旋風が銀河に吹き荒れる。銀河連邦警察での訓練半ばで各惑星に赴任する宇宙刑事達。太陽系第3惑星・地球を担当するのは地球出身の沢村大。フーマに故郷・マウント惑星を滅ぼされたアニーと共に防衛の任に就く。
 その地球を最重要侵略目標としたフーマが不思議ソングと呼ばれる曲を流す時、それは侵略行動の兆し。その行動を察知して焼結し、コンバットスーツで敵不思議獣を打ち倒す大=シャイダー。アニーもその卓越した身体能力とメカニック操縦テクニックで共に戦う。厳しい戦いを経て成長して行く若き宇宙刑事。
 その中で過去の因縁が浮かび上がる。以前フーマはムー帝国として地球上に君臨していた。それを打ち倒したのが伝説の戦士シャイダー。大は銀河連邦警察の祖とも言える彼の遠い末裔かも知れないのだ。その事実を知ったフーマは、大及びアニーへの攻撃をより激化させる。
 そして全銀河への侵略が開始され、地球以外の惑星が次々と滅ぼされていく。大、アニーと同期の宇宙刑事たちも倒されていく中、勝利の鍵が、大が宇宙刑事になる前に調査した遺跡にある事が判明する。

不思議ソング

作詞・上原正三
作曲・渡辺宙明
歌・こおろぎ’73

 番組世界を象徴する曲。
 元々歌手(こおろぎ’73)の手本用に作成した渡辺宙明自演の〈本来なら番組で使われる事の無い筈の〉デモテープを澤井信一郎監督が気に入り、1話に使用した。
 これ以降、こおろぎ版と宙明版が幾度となく使用され、クリスマス時期には「聖歌隊バージョン」も新たに作られた。

キャラクター

沢村大(さわむら だい)

沢村大(さわむら だい)

演・円谷浩
 主人公。地球人。2年前の大学生時にナスカ平原の図形の解読に成功、イースター島の洞窟にある古代遺跡を発見した推理力と行動力を買われ、銀河連邦警察に宇宙刑事候補生としてスカウトされて訓練生となり、宇宙刑事となる。
「シャイダー」はコードネームで、伝説の勇者・戦士シャイダーに由来する。
 訓練半ばで着任したために苦戦を強いられるが、不屈の闘志で何度も試練を乗り越え戦士として成長していく。
 理論的であり客観的で冷静な判断を下す。基本的な性格は優しいが、フーマに対しては決して負けない不屈の闘志を見せる。
 後にいくつかのきっかけから、戦士シャイダーの末裔かも知れない事が判明する。
 沢村大の激しいアクションシーンは前期はJACスタントマンが担当していたが、中期以降は円谷氏も果敢に挑戦。説得力ある画面を生み出していた。
シャイダー

シャイダー

スーツアクター・柴原孝典
        清水朗
        円谷浩(第49話のみ)
声・円谷浩
『宇宙刑事シャイダーは僅か1ミリ秒で焼結を完了する。では、その原理を説明しよう。』「焼結!」『宇宙刑事シャイダーは、バビロス号から発射されたプラズマブルーエネルギーを浴びて、僅か1ミリ秒で焼結を完了するのだ』(焼結時説明ナレーション)
 沢村大がコード「焼結」を発すると、母艦バビロス号よりプラズマ・ブルーエネルギーが放射され、これによって構成された特殊軽合金グラニュームα製のコンバットスーツによりシャイダーへと変身する。装着に要する時間はシャリバン同様、わずか1ミリ秒(千分の1秒)である。両腕両脚部には小型の高性能サーボコンピュータが配されており、戦闘経験の浅い大をサポートする。胸のディメンションコントローラーにより、異次元や宇宙空間でも活動可能。音声によるコード認識が出来ない場合は、アニーが手動操作で焼結を起動させることも可能。
焼結時の身長:210cm / 体重:90kg / ジャンプ力:250m
 姿を消した敵等を索敵する透視装置「シャイダースコープ」、高性能銃「ビデオビームガン」、鞭状に変化し敵を絡め捕る機能をも有する剣「レーザーブレード」等を駆使し、不思議時空で4倍のパワーを持つ不思議獣と戦う。必殺技は発光させたレーザーブレードで真一文字に敵を斬る「シャイダーブルーフラッシュ」。
 
 シャイダー後方のマシーンは、超次元マシーン「ブルホーク」。不思議時空発生時にシャイダーが呼んだ後バビロスから発進され、翻弄されるシャイダーを乗せ不思議時空へと運ぶ。
武装はホークレーザー、ホークミサイル。
アニー

アニー

演・森永奈緒美
左写真・前期コスチューム(1話~15話)
右写真・後期コスチューム(16話~49話)
 シャイダーのパートナー。
 フーマに滅ぼされた惑星・マウント星出身の女性。
 元々はシャイダー同様に宇宙刑事候補生であり、捜査官としての力量及び戦闘力は高い。テレパシー能力も持つ。武器は2丁のレーザーセンサーガン(別名・バードニアブラスター)。戦闘母艦バビロスや戦車シャイアンの操縦も単独でしばしば行う。
 変身前後に関わらず、大の事をコードネーム「シャイダー」と呼ぶ。
 フーマの手で故郷と家族を失ってしまったために天涯孤独の身の上となり、第2の故郷とした地球を守るためにもフーマとの戦いに身を投じる。序盤には故郷と家族を失った心の隙をつかれて罠にかけられたこともある。マウント惑星の子供の教育方針を示して幼稚園受験に批判的な意見を口にしたり、マウント惑星人の体質に命を救われるなど、地球人とは異なるという描写も数回行われた。
コム長官(画像右)、マリーン(画像左)

コム長官(画像右)、マリーン(画像左)

コム長官 演・西沢利明
マリーン 演・名代杏子
 バード星から指揮を執る銀河連邦警察の最高責任者。大が未熟だからとて甘やかしたりはせず、厳しく接することで、彼の成長を促す。第19話『アニー危機一髪』における「シャイダー、滝を斬れ」は当番組の世界観を象徴するセリフ。「ギャバン」「シャリバン」から引き続き登場。
 秘書のマリーンも引き続き登場、戦士達の戦いをサポートしている。
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