【前編】『昭和の中坊』誕生から次世代へ~中坊生活、昭和から見るか平成から見るか、男性から見るか女性から見るか~
2018年5月7日 更新

【前編】『昭和の中坊』誕生から次世代へ~中坊生活、昭和から見るか平成から見るか、男性から見るか女性から見るか~

時間の流れが早い。 子供のころはもっとのんびりしていた。馬鹿なことを考える余裕があったと、通勤時間に思うあなた。“あの時代”を懐かしむ漫画から、今回、吉本浩二先生の名作『昭和の中坊』(原作・末田雄一郎)に着目する。また、昭和の漫画界の名物編集長を追う『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』もご紹介。吉本先生の漫画への愛情を平成の世に引き継いだ新鋭、地球のお魚ぽんちゃん先生の人となりにも触れたい。さあ、夕焼けの彼方へ旅立とう。

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一同

(爆笑)

――憧れていた女性に見合う強い男になるためにバイクで日本一周する『日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜』は、完全に実話なのだそうですね。驚きました。

『昭和の中坊』の単行本に付箋をびっしり付けて対談に臨む...

『昭和の中坊』の単行本に付箋をびっしり付けて対談に臨むぽんちゃん先生

『昭和の中坊』誕生

吉本

平田さんと、漠然とした新作の相談をしたのが始まりでした。

編集長

そのときは“ダメな『三丁目の夕日』”みたいなものをやりたくて、相談をしていました。その直後に、漫画原作者の末田雄一郎さんから同様の企画を頂いたんです。「あ、これは2人を組ませると面白いかも」って思いました。結果、大正解でしたね。

吉本

僕が考えていたのは80年代、90年代が舞台の話で、末田さんは70年代だったんですよね。それで、70年代の方が面白いなと考えました。

編集長

描きたいことは昔のバカな男子の日常だったので、時代が違うだけでやりたいことは同じだったんです。まずはト書きになっている原作を頂いて、吉本さんに投げて、ネームを作ってもらうのですが、最初は四苦八苦していたのがだんだんと阿吽(あうん)の呼吸に変わっていきましてね。

ネームは大変苦労されていて、吉本さんは“中学生の自分”が降りてくるのをひたすら待っていました。締め切りが迫って焦って中学生の吉本さんが降りてこないうちに書くと、変なネームになりましたね。大人が考えた中学生の話になっちゃうんです。

吉本

サイゼリアでネームをしてました。中学生がいるので。あと、中学生時代の同級生に電話をしたのを覚えています。

左から主人公のニゴシこと猿田清志、滝沢、丸木

左から主人公のニゴシこと猿田清志、滝沢、丸木

『昭和の中坊』とは

1977年、昭和でいうなら52年。東京の架空の町・野川区にある野川台中学の生徒たちの日常を追った青春漫画である。
PCも、携帯電話も、ネットもない時代だが、中学生の興味の対象は今と大差ない。 中学1年の猿田清志(さるたきよし)、通称・ニゴシを中心にした中坊たち、 マドンナの岩渕などの女子生徒、親、教師、先輩などで構成されたミニマムな人間関係のなかで、「包茎」「コンドーム」などへ の好奇心に誘われて失敗や挫折を味わいながら、中坊たちは成長していく。
『ウイークエンダー』『イヤハヤ南友』『オールナイトニッポン』『キャンディーズ』といった、当時ならではの固有名詞に覚えがある読者は必読。 「成人雑誌の自動販売機」「成人雑誌のインチキ広告」など、当時を知らない世代には、貴重なカルチャーギャップを楽しめる作品になるはずだ。

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『昭和の中坊』執筆当時を振り返る吉本先生

『昭和の中坊』執筆当時を振り返る吉本先生

原作者との二人三脚

編集長

ニゴシがお父さんの実家に帰省する話(第21話「黒部の太陽娘」)を作るときに、末田さんは山育ちなので山奥を舞台に原作を書いてもらったんです。しかし吉本さんは海育ちなので、漫画では海辺の話に“超訳”してもらいました。末田さんと吉本さんのコンビネーションが神がかっていたので、そういうことができたんだと思います。

吉本

すごく楽しかったですよ。

編集長

毎回、ゲラゲラ笑いながら作ってました。

――「読者の食いつきが良いな」と感じられたのは、いつですか?

編集長

連載スタート前に、まず読み切りで掲載したんです。すると反応が良くて、当時の編集長が連載にしようと。当時、吉本さんは2本の連載があったんですが、そこに追加させてもらいました。

吉本

こんなことを言うとなんですが、あの時期のことは『昭和の中坊』しか、ほとんど覚えていないです(笑)。

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