アルバム・ジャケットを元ビートルズのリンゴ・スターが撮影していることでも話題となりましたが、当時のT・レックス人気はもの凄いものがありました。
この年には初来日を果たし、日本武道館などで公演しています。
この年には初来日を果たし、日本武道館などで公演しています。
'72年、T.Rex全盛時のアルバムです。
'71~'72年のイギリスのアーティストとその廻りを取り巻くプロデューサーやエンジニアの音楽表現に対する探求心と自己表現に対する向上心、またロックファンのレベルの高いニーズなど当時の環境が生み出したといえるアルバムです。
この時代のアーティスト、EL&Pの「TARCUS」、第2期JEFF BECK GROUPの「ROUGH AND READY」、DEEP PURPLEの「MACHINE HEAD」なども同様に生み出されたような印象があり、アーティストの”力”以上のものが内に入れ込まれていて、絶対的な存在意義を感じます。
T.Rexはシングル制作に対するコマーシャルな方向性とアルバム制作での音楽表現の追及、と方向分けが明確にコントロールされていて、アルバム作りに真摯に取り組んだ結果がそのままアルバムに反映しています。
単純なブギのリズムとコード展開で、幅広い音世界を作りだしてる本作は、とてもシンプルで心地よく感じます。
タンクス - Tanx
前作があまりにも煌びやかだったこともあり、落ち着いた感じがするアルバムです。
原因のひとつには「ブロークン・ハーテッド・ブルース」や「レフト・ハンド・ルーク」といった素晴らしいスローバラードが入っていてその印象が強いからかもしれません。
原因のひとつには「ブロークン・ハーテッド・ブルース」や「レフト・ハンド・ルーク」といった素晴らしいスローバラードが入っていてその印象が強いからかもしれません。
「電気の武者」「スライダー」と連続して名アルバムをリリースしたあとに出たアルバムです。時期的には名曲「20センチュリーボーイ」とだいたい同じ時期に出たアルバムです。前作との音での一貫性というものも少し感じます。特に際立って新しいことをしているわけでもなく、かといってマンネリしている感じもしない、非常に創作意欲があり、マークボラン自身の安定期に作られたアルバムだと思います。
ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー
この時期、T・レックスは低迷期を迎えていました。
トニー・ヴィスコンティがプロデュースした最後の作品にして、オリジナル・メンバーとしても最後となった作品です。
ひとつの時代が終わろうとしているといった印象を受けます。
トニー・ヴィスコンティがプロデュースした最後の作品にして、オリジナル・メンバーとしても最後となった作品です。
ひとつの時代が終わろうとしているといった印象を受けます。
ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー - Zinc Alloy And The Hidden Riders Of Tomorrow Or A Creamed Cage In August
(1974年発売)
彼自身がこの当時流行し始めていたブラックミュージックを最も取り入れたアルバムです。これ以降の彼のアルバムでも随所に見られ始める女性コーラス。これは以前の彼のアルバムではそれほど見られなかったものです。(コーラスといえば大抵低い男性コーラスだった)
「電気の武者」などのシンプルで素晴らしい曲と比べると、若干女性コーラスが煩わしく聞こえる人もいるかもしれません。しかし、このアルバムでの女性コーラスは大変重要な役割を果たしていると思います。
若干ディスコティックな感じがする曲もあるのですが、彼がやるとそれも不思議と全く別な「ありそうでない音楽」に聞こえるのです。
地下世界のダンディ - Dandy In The Underworld
「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」の頃から、どっぷりと低迷期に入ってしまったT・レックス。
「ブギーのアイドル」、「銀河系よりの使者」とコンスタントにアルバムを発表していますが、どうしてもグラム・ロック終焉とともにT・レックスも終わってしまうのかという感が拭えませんでした。
しかし、そんななかメンバーも一新して心機一転、起死回生のアルバムを発表します。
「ブギーのアイドル」、「銀河系よりの使者」とコンスタントにアルバムを発表していますが、どうしてもグラム・ロック終焉とともにT・レックスも終わってしまうのかという感が拭えませんでした。
しかし、そんななかメンバーも一新して心機一転、起死回生のアルバムを発表します。
前作までのイメージを完全に払拭した正に新生T.Rexという感じの作品です。実際にボラン以外のメンバーは一新されています。シンプルで引き締まった演奏は新メンバーの力量も大きいのでしょうが、今聴いても全く古さを感じられないほど洗練されています。使用されている楽器・・・特にキーボード類の変化が曲そのもののイメージの変化にも大きな影響を与えています。従来ならメロトロンや生のストリングスが被せてあるであろう部分はソリーナに変わり、リードやベースなどではミニムーグと思われるシンセが頻繁に出てくるのですが、この音色のセンスがすこぶる良い。シンセと気が付かないほどうまく使用されています。珍しいところでは曲によってはクラビも登場してきます。ハモンドやサックスも従来とは聞こえ方が全然違います。やはり無駄な音を省いたことが良い結果を生んだのでしょう。変則的なリズムを取り入れた Jaaon B. Sad や従来通りのブギ、I Love To Boogie など全曲に変化があって、かつ統一感があるという典型的な名盤ですが、今までの重圧なアレンジがされていない (いわゆるT・レックスのイメージとはちょっと違う) のでこれがT・レックスの代表作とは言いにくいのですが、それでもどこをどう聴いても紛れもないT・レックスのサウンド。特にT・レックスの食わず嫌いの人にお薦めしたいと思います。
このアルバムで、人気・評価は徐々に持ち直しつつあったのですが、残念ながら発売の年に自動車事故で亡くなってしまいます。
しかし、いつ聞いても全盛時のT・レックスはキラキラとしていて素晴らしいですね。
しかし、いつ聞いても全盛時のT・レックスはキラキラとしていて素晴らしいですね。
T.Rex - 20th Century boy
Yet another brilliant track from the same album
via www.youtube.com
マーク・ボランは若い頃、フランスで魔女と同棲していて、その魔女に“あなたは若くして大成功を収めるが、30歳までに血まみれになって死ぬだろう”と預言された。ファンタジーの大好きなマークらしい作り話であると大方の取り巻きは信用しなかったのだが、現実は小説より奇なりの言葉通り、その預言は現実のものとなる。
30歳になる2週間前の’77年9月16日、内縁の妻であったグロリア・ジョーンズが運転する紫のブリティッシュ レイランド/275Gが木立に激突し、マークは還らぬ人となった。