ペールワンは
スタンド(立ち技)ではしっかりと組んだが
グラウンドでは猪木に押され気味だった
猪木はグラウンドで
ペールワンの首とフェイスロックを狙い
執拗に左右からペールワンの顔面をこすり上げた
これが執拗に何度も何度も繰り返され
2Rは終わった
ペールワンのセコンドがリングに入り
猛抗議した
「猪木はサミング(指を眼に入れる行為)した!」
血の滲んだ前腕をアピール
「向こうが先に噛み付いた!」
猪木のアームロックを完全に極まるがペールワンはギブアップしない
猪木はペールワンの肩を折った
藤原は猪木の弾よけになるためにリングに上がった
が、猪木はそれを制して両手を上げて叫んだ
「ダーッ!!」
会場は
暴動が起きかねない状況だったが
猪木のその仕草がアラーへの祈りのポーズにみえ、
「ダー」声が「アラー」に聞こえ
観客はおさまった
「(アントニオ猪木は)不器用だけどコレ(ハート)があったからな
パキスタンの時も堂々と行く訳だよ
成り行きみたいな
死んだら死んだでしょうがねーよって
試合じゃグルッと銃持ってるヤツらがリングを囲んでて
俺、そのビデオ持ってんだよ
貰って10年くらい経つけどおっかなくて観れないんだよな
あの時の恐怖があって
観衆が総立ちになって
軍隊みたいなヤツが銃構えて
ドンってなったら殺されるって思ったよ
俺は猪木さんを守らなきゃいけないって思うんだけど
次の瞬間にはシーンってなったんだ」