『ガンプラり歩き旅』その53 ~イデオン編・1 バンダイ ガンダムVSアオシマ イデオン~
2018年3月13日 更新

『ガンプラり歩き旅』その53 ~イデオン編・1 バンダイ ガンダムVSアオシマ イデオン~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。今回から8回 にわたって、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアの流れを、駆け足で追いかけてみたいと思います!

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しかし、1/420 イデオンは完成すると全長25㎝であり、ガンプラでは1/60スケールに相当するが、ほぼ同時期にバンダイが、やはりクリスマス商戦用に発売してきた1/60 シャア専用ザクが2000円であったことを考えると、1/420 イデオンの存在感とギミックの多さ、そして1000円という安さは、後のイデオンプラモコンセプトの展開を考えると、大きなフックになっていたと考えることは妥当だ。

また、1/420 イデオン(当時小売り向けカタログ表記商品名「ニューイデオン」)には、バンダイの「ベストメカコレクション」に対抗して、その時販売展開寸前までこぎつけていた、アオシマの「アニメスケール」シリーズの冠がいちはやく記されているが、これは完全にティーンズ対象のアニメロボットプラモという商品カテゴリを対象にもたないアオシマでさえ、そろそろ業界全体がガンプラブームを無視できずにきていた証拠でもある。
「開脚ができない」という点では1/144 ガンダムと同...

「開脚ができない」という点では1/144 ガンダムと同じだが、この1/810 イデオンの股関節の構造概念は、これ以前にも以降にも見られない、珍しい発想である

その『ガンダム』を、追従し追い越すだけの作品ポテンシャルがあるコンテンツは、1980年というこの時期まだ『伝説巨神イデオン』しか存在せず、ガンプラユーザーの中軸の、ティーンズに対する求心力を蓄えた作品もまた『イデオン』しか存在しなかったのは事実であっただろう。

アオシマは、1981年明けすぐに、『イデオン』のメインスポンサーでもあるトミーが『奇跡合体』の冠で挑戦し、しかし完全には再現しきれていなかったイデオンの3機変形合体を、あくまで児童層のスキルでも簡易的に雰囲気を再現できる「合体ロボット 合体巨神イデオン」と、その一方でイデオンのイデオンガンや、全身に内蔵された武装を、アーリーデザインやイメージからディフォルメ再現した「合体ロボット 機動合体イデオン」を、それぞれ700円で発売(この2つもイデオン本体を構成するほとんどの部品に共通ランナーを使っているため、1年後の1982年1月には部品が統合され「合体ロボット イデオン」として1000円で再発売された)。
しかし、アニメ『伝説巨神イデオン』は、視聴率の不振から、その直後に打ち切りで放映終了を余儀なくされた。
こちらは1/144 ガンダムの股関節。前後に軸でボディ...

こちらは1/144 ガンダムの股関節。前後に軸でボディに固定するV字型パーツは、ガンプラモデラーには懐かしい。現行キットでも、この構造概念の発展形で股関節が成り立っているガンプラもある

一方のガンプラは、そのタイミングでとうとう真打登場の1/60 ガンダムを発売してきており、アオシマは続いて、おやこマシンシリーズとマイクロプラモデルシリーズでイデオンの幼児向け商品を展開。

と同時に、バンダイのガンプラに対抗すべく、かねてから準備を進めていた、ティーンズ層向け「アニメスケール」正式シリーズ化の販売を、『イデオン』放送終了後の1981年2月から、一気に展開し始めた。

その作りと可動ギミック等は、先行したバンダイよりもまだまだ拙いものの、合体等のギミックは排除で、アニメーションに近いプロポーションとポージングをという、1/144 ガンプラ模倣路線で企画された。
ガンプラモデラーであれば誰もが記憶しているように、股関...

ガンプラモデラーであれば誰もが記憶しているように、股関節の開脚は1/144 旧ザクや、1/144 ドダイYS付属パーツなどから改善される発展性があった。イデオンの股関節を開脚可能にするには、根底から構造を変えなければならない

まずは、自社が保有する日本サンライズロボットアニメの、どれがポストガンダムとして需要があるかが、アオシマ自身にも絞り込めていない段階だったので、アニメスケールシリーズ展開開始と同時に、バンダイのベストメカコレクション同様に、箱サイズ統一規格で無理矢理アニメ設定に対するスケールを付加した、1/920 ダイターン3、1/460 ザンボット3、1/440 トライダーG7、そして1/810 イデオンを、300円という初期ガンプラ1/144と同じサイズ、価格でシリーズ展開開始。
両者の脚を比較してみる。膝の曲がり角度はイデオンの方が...

両者の脚を比較してみる。膝の曲がり角度はイデオンの方が上だが、ガンダムの劇中再現の、流れるような安彦ラインを、無粋に分断することなくどの角度でも成立させたガンダムの側の方がすごいか

しかし、時代は一年前のガンプラブームを忠実になぞるかのように、『イデオン』も『ガンダム』同様に、テレビ放送打ち切り終了直後からファンの声が大きく響くようになっており、「バンダイが模型化版権を所有するアニメなどのメカを、統一サイズで商品化していたベストメカコレクションが、やがてガンプラ一色に塗り替えられていった」一年前のバンダイの現象そのままに、アオシマのアニメスケールもまた、イデオン以降は他作品を差し置いて、『イデオン』に登場する敵重機動メカや戦艦ソロ・シップ等、イデオン関連のメカで占められるようになっていった。
1/144 ガンダムの方の脚部は、膝こそ70度前後にし...

1/144 ガンダムの方の脚部は、膝こそ70度前後にしか曲げられないが、足首の可動が上手くフォローして、どんなポーズを付けても違和感のないラインを築いている

ベストメカコレクションのガンプラと、アニメスケールのイデオンプラモデルの、顕著な違いは2つあって。
一つはなぜか、アオシマのアニメスケールでは、並み居るメカ群を差し置いて、No.7からNo.10までを、コスモやシェリル、ギジェやカーシャなど、8人のキャラクターの固定ポーズフィギュア模型がいち早く商品化されているのだ。
これはガンプラが、アムロやシャアのキャラクターをガンプラ化する「キャラコレ」よりも半年早い商品戦略である。
それに対して1/810 イデオンの脚は、それこそ昭和の...

それに対して1/810 イデオンの脚は、それこそ昭和のロボット的に「折れ曲がる」だけだが、ふくらはぎの「湖川ライン」は、実は他のキットの方でより忠実に再現されている。ちなみに、足首は爪先しか動かないので、接地性にメリットは与えない構造

それは多分、『イデオン』という作品が『ガンダム』以上に、メカよりも人間ドラマに比重を置いていたことを前提にした、アオシマの判断があったからであろうし、実際に『イデオン』は、SFメカ戦としては優れた演出は多々あったが、なにせ味方メカがイデオンとソロ・シップしか存在しない作品世界なので、『ガンダム』のようなミリタリーメカロマン色とは、ちがったテイストに仕上がっていたことも関係しているだろう。

そして、その「ガンダムとは違うメカ戦テイスト」の象徴が、敵の量産型や試作型の、数々の重機動メカの設定の独自性であった。
『ガンダム』は、敵味方両軍兵器を双方大量に駆使しての戦争という構造が尊重されたため、一部のモビル・アーマーを除けば多くのモビル・スーツが同じスケールで肩を並べることができたが、『イデオン』では、『ガンダム』とは戦闘ビジュアルの趣向を変えるためか、毎回登場する敵の重機動メカが、イデオンとほぼ同サイズというメカが割と少なく、物によってはイデオンの数倍もボリュームがあるメカもあれば、イデオンから見た時に、小動物か虫にしか見えない敵メカが群れを成して襲ってくるという画面作りも多かった。
1/810 イデオン(に限らず殆どのイデオンプラモデル...

1/810 イデオン(に限らず殆どのイデオンプラモデル)が優れていたのは、ガンプラがともすればおざなりにしていた「足の裏のモールド」を、300円サイズからいち早く取り入れていたことだろう

なので、いきおい箱サイズ統一のアニメスケールプラモデルシリーズも、そこでのスケール縮尺が一致するものが一組も存在せず、メカスケールとしては1/30のガタッカから、プラモデル史にそのスケール故に名を刻み込んだ、1/20000のバイラル・ジンまで、千差万別のシリーズとなってしまった。それはつまり、シリーズを買いそろえて並べても、何一つスケールが合ってない状況には、モデラー達は満足しないという反応が立ちふさがってしまい、ガンプラの1/144という発想が如何に偉大かが、その後のイデオンプラモデル展開の重要課題継続案件となったのである。

やがて、1981年の年末を迎える直前。
ガンプラはGアーマーを含めて、アニメ登場モビル・スーツの1/144キット化をほぼ出し尽くし、イデオンのアニメスケールも、ギド・マックやアブゾノール等の、超巨大重機動メカしか残らなくなったタイミングで、『伝説巨神イデオン』の劇場版映画化が決定。

そこでアオシマは満を持して、これまでにアニメスケールシリーズで発売したメカの全てを含んだ、アニメ登場全メカの1/600統一スケール模型化企画を立ち上げた。
若気の至り。今から20年近く前に、ガンプラのZZガンダ...

若気の至り。今から20年近く前に、ガンプラのZZガンダムやザクⅢやマラサイ、そして1/600 イデオンを駆使して、漫画家の長谷川裕一氏がコミックアンソロジーで描いた、タイトルもズバリ『機動戦士VS伝説巨神』(コミックスタイトル『逆襲のギガンティス』)を、立体で再現してみたことがある。メガゼータもスザクもジオン改修版イデオンも、結構作り込んである

この1/600シリーズとアニメスケールシリーズとの関係は、単純なガンプラの1/144と1/100の差異の模倣に陥らない覚悟と気合が込められていたことが、そのシリーズの幕開けの、もちろん主役のイデオンが、まず先陣を切って、1600円という過去のイデオンプラモデル群最高額で発売されたことでも伺える。

この1/600 イデオン。今ではモデラー諸氏の評価は低いかもしれないが、アオシマが初めて、自社のスケールモデルの部署のスタンスとクオリティで、アニメ版のイデオンのプロポーション、3機3段階変形、3機合体の完全再現に挑んだ傑作キットである。
これまでの自社イデオンプラモデルにありがちだった、アニメにない余計なギミックやパーツを今回は一切排除し、むしろ、アニメ劇中で登場したイデオンの要素を余すところなく全て盛り込む勢いで、メインスポンサートミーの合金玩具でさえ中途半端に終わった、イデオンの3段変形3機合体を、差し替え、余剰パーツの嵐といえども、各形態に最大限共通のパーツを用いて、二次元の嘘の塊だった、イデオンの変形と合体の再現に突き進んだ金字塔のような商品に仕上がったのである。
驚くなかれ。これらが80年代のアオシマから、現代のバン...

驚くなかれ。これらが80年代のアオシマから、現代のバンダイまでを含めて、集めまくったイデプラコレクションの集大成である。今回の特集では、これらの全てのキットの全貌を明らかにしていく!

これはある意味、1/420 イデオンのリメイク、今でいうVer.2.0とも言えて、実はここでアオシマが拘りぬいた変形やディテールの一部は、時代を越えて技術論的に全てを凌駕しているはずの、2017年バンダイスーパーミニプラ版イデオンよりも、設定に忠実な部分も少なくない。

無論、元から物理的、三次元的に無理がある変形や合体なのだから(現代で、完全変形を謳った、超合金魂版のイデオンですら、様々な変形プロセスがアニメ版とは異なっている)、この時代、この時期のアオシマが、まがりなりにも3機のメカの3段変形と、3機合体を成し遂げられた脅威は、実はこれは同時期のガンプラにおいても類を見ない快挙であった(こういった、個々のイデオンプラモの評価や紹介は、今回の番外編連載でじっくり展開していく)。

3機3段変形合体1/600 イデオンを成功させた(と言いきっていいだろう)アオシマは、『イデオン』の劇場版へ向けて、良い意味で暴走を初めて止まらなくなっていく。
それら、イデプラ(一部完成品フィギュア含む)の箱の山。...

それら、イデプラ(一部完成品フィギュア含む)の箱の山。イデオン、イデオン、イデオン、イデオン! どんだけイデオンが好きなんだ俺は!

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