2021年6月22日 更新
『ガンプラり歩き旅』その53 ~イデオン編・1 バンダイ ガンダムVSアオシマ イデオン~
ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。今回から8回 にわたって、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアの流れを、駆け足で追いかけてみたいと思います!
1/600シリーズは、アニメスケールへのモデラーファンからの批判を倍返しする勢いで、どんな巨大な重機動メカも、どんな小さな戦闘機メカも、意地でも1/600でキット化し続け、例えば小型重機動メカ・アディゴが2個セットで300円だったかと思えば、劇場版が公開された1982年7月には、ザンザ・ルブ1500円、ギド・マック1000円、ガルボ・ジック1300円、アブゾノール1000円と、大型キットが集中して発売されたりした。
そして、ロボットアニメとプラモデルの連動ブームがピークを迎えた1982年9月には、アリイ、今井の『超時空要塞マクロス』(1982年)、バンダイの『戦闘メカ ザブングル』(1982年)、タカラの『太陽の牙ダグラム』(1981年)などの群雄割拠の真っただ中で、アオシマは「1/600 イデオン プロポーションタイプ」という、いわゆる「大型イデオンキットVer.3.0」を送り出した。
イデオン集合写真を俯瞰角度から。今回からしばらく、ガンプラと並行宇宙のように展開された、イデオンのプラモ、通称“イデプラ”の魅力を伝えていきたいと思っている
この、1/600 イデオンプロポーションタイプは、既存の1/600 イデオンが、合体と変形のために犠牲にしていたポーズアクションをメインのコンセプトとして再現するモデルとして、無変形合体の仕様で設計、生産された商品である。
皮肉にも、商品名でアピールしているプロポーションそのものは実は向上しておらず、むしろ旧1/600の方が劇中イメージに近いとはいえ、このVer.3.0の、フルアクション可動への拘りは職人的で、首や腰の可動、腕の絞り可動、前腕ロールの追加など、バンダイが同様のコンセプトで1/100 ガンダムを事実上リファインした、1/100 パーフェクトガンダム(1400円)の発売が1984年12月であることを考えれば、どれだけアオシマの先進性がバンダイに勝るとも劣らないものであったかが分かるだろう。
結果、ガンダムブームの影響で、ガンダムの柳の下のドジョウをとばかりに、兵器メカが敵味方乱舞するメカロボットアニメは、この時期大量に制作放映されたが、統一スケールで、登場メカの殆どをプラモデルで商品化できるまでにビジネスが展開した事例は、バンダイのガンダムの1/144 1/100と、タカラのダグラムの1/72の他は、アオシマのイデオンの1/600ぐらいしかなかったのが、80年代ティーンズ向けロボットアニメブームの現実であった。
1/144 ガンダムと1/810 イデオン。あの狂乱のロボットプラモブームは、この両雄が突破口を開いて、初動を牽引していった時代であったということを、覚えている者は幸せである。心豊かであろうから……
なので今回の『ガンプラり歩き旅』番外編イデオンシリーズは、この時期アオシマが発売した「イデオンそのもののプラモデル」を中心に、特に1/600にスポットを当てて、現代でもそのスケールで発売されたイデオンたちと、時空を超えた競演を記してみたいと思う。
アオシマのイデオンプラモデル商品群は、児童層向けからティーンズ向けへと、突然シフトしたわけではなく、徐々にスライドしていった歴史があるだけに、なかなか興味深い旅になるのではないだろうか?
今後の展開を乞うご期待!
(取材協力 青島文化教材社)
-
コメントはまだありません
コメントを書く
※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。