「∀ガンダム」という作品
『∀ガンダム』(ターンエーガンダム、Turn A Gundam)は、サンライズ製作のテレビアニメで、『ガンダムシリーズ』に属するロボットアニメ作品。1999年(平成11年)4月9日から2000年(平成12年)4月14日までフジテレビ系列(一部を除く)で全50話が放送された。略称は「∀」(ターンエー)。2002年にはアニメーション映画として『∀ガンダムI 地球光』と『∀ガンダムII 月光蝶』が2部作として劇場公開された。
“ヒゲのガンダム”が話題だが、実は「すべてのガンダム」を包括するという必見の作品なのだ。19世紀末のアメリカのように牧歌的にも見えるこの世界は、宇宙世紀よりもはるかな未来、大災害を忘れようとできた擬態世界だった。そこまでして戦争を忘れたはずの人びとが、月の民の来襲に思わず戦端を開いてしまう……主人公ロランは月と地球に引き裂かれて苦しむ。中には肉親の死への憎しみだけで戦う者もいれば、手柄をたてたい者もいて、時代と経済を見すえてコトを有利に運ぼうとする人間もいる。そんな群像の中から「戦争と平和」の本当の像が浮かびあがって来る。現在の目で再見すると、9.11テロ事件以後の世界を予言したかのような部分もあって戦慄を覚える。【アニメ評論家・氷川竜介】
「∀ガンダム」のあらすじ
人類の宇宙移民ではじまった宇宙世紀は、果てなき闘争の時代の幕開けでもありました。人々は思想や立場の違いから戦争に明け暮れ、いくつもの時代が過ぎていったのです。やがて戦争は最終局面を迎えますが、その幕を引き下ろしたのは一体のMSでした。最終兵器「月光蝶」で文明を崩壊させ、地球の時代を過去から再スタートさせたMS、その名は∀ガンダム。そこから時は流れ、正暦2345年の夏から物語ははじまります。
主人公のロラン・セアックは、北アメリア大陸に暮らすハイム家の使用人。しかし、その正体は月面に居住する人類「ムーンレイス」であり、2年前に「地球帰還作戦」の一環として地球へ降下して以来、地球人として暮らしてきました。
ハイム家のお嬢様であるソシエ、キエルら地球人と交流を深め、すっかり地球に馴染むロラン。しかし、地球への入植を目指して月の軍隊「ディアナ・カウンター」が降下し、地球人との対立から武力衝突に陥った時、ロランは不思議な巡りあわせで∀ガンダムに乗り込み、ディアナ・カウンターの戦力を退けます。
平和を求めるロランの願いも空しく、両者の対立は深まり、地球人とムーンレイスの間で揺れ動くロランは、∀ガンダムと共に激動の戦いへと身を投じていくことになるのです。
主人公のロラン・セアックは、北アメリア大陸に暮らすハイム家の使用人。しかし、その正体は月面に居住する人類「ムーンレイス」であり、2年前に「地球帰還作戦」の一環として地球へ降下して以来、地球人として暮らしてきました。
ハイム家のお嬢様であるソシエ、キエルら地球人と交流を深め、すっかり地球に馴染むロラン。しかし、地球への入植を目指して月の軍隊「ディアナ・カウンター」が降下し、地球人との対立から武力衝突に陥った時、ロランは不思議な巡りあわせで∀ガンダムに乗り込み、ディアナ・カウンターの戦力を退けます。
平和を求めるロランの願いも空しく、両者の対立は深まり、地球人とムーンレイスの間で揺れ動くロランは、∀ガンダムと共に激動の戦いへと身を投じていくことになるのです。
登場人物
ロラン・セアック
正暦2328年11月2日生の17歳。ムーンレイスの下層階級出身で、地球降下作戦に参加後は、北アメリア大陸のハイム家に使用人として仕えています。争いを好まない温厚な青年ですが、深まる地球人とムーンレイスの対立を治めるため、復活した∀ガンダムで戦いに身を投じていきます。
via ja.klear.com
via seesaawiki.jp
キエル・ハイム&ディアナ・ソレル
ハイム家の長女キエルと月の女王ディアナは、血縁こそありませんが、その外見は驚くほど似ています。地球に降りたディアナとキエルは親交を深め、悪戯心で入れ替わるですが、状況の変化から入れ替わったまま過ごすことを余儀なくされます。
グエンサード・ラインフォード
ロランやソシエらが属するイングレッサ・ミリシャの中心人物、グエンサード・ラインフォードは、イングレッサ領主メッサーの孫という裕福な家柄の出身です。先進的なムーンレイスの技術を取り込み、産業革命を起こそうと熱心になっているグエンは、当初からムーンレイスとの関わりに積極的でした。対外的なアピールとして、ガンダムを操るロランを女装させて女性パイロットに仕立て上げるなど、少し変わった考えの持ち主です。
via hayabusafj.com
ハリー・オード
ガンダムシリーズおなじみの「仮面の人」です。量産型MS「スモー」に搭乗していますが、その機体カラーは金色という特別モデル。余裕を崩さないクールな大人といったキャラクターですが、主であるディアナを侮辱するものを許さないなど、激高すると態度が一変します。
via seesaawiki.jp
ギム・ギンガナム
月の武人ギム・ギンガナムは、月面の軍事を担う武門ギンガナム家の出身です。戦いに狂った戦闘狂で、∀ガンダムに匹敵する性能を誇るMS、ターンXを操り、人類に再び闘争の時代をもたらそうとします。
via seesaawiki.jp
黒歴史
via gundamlog.com
アニメ「∀ガンダム」を語る上で、絶対に欠かせないのが「黒歴史」という設定です。今やネットスラングとしての認知度が完全に勝っていますが、その由来は実は本作のこの設定なのです。作中では第1作「機動戦士ガンダム」にはじまる宇宙世紀が舞台の作品群はもちろんのこと、未来世紀を舞台にした「機動武闘伝Gガンダム」やアフターコロニーが舞台の「新機動戦記ガンダムW」、アフターウォーが舞台の「機動新世紀ガンダムX」といった作品も含めた過去のガンダムの歴史そのものという意味付けで、それらに関連する技術的、文化的な遺産の総称でもあります。これらは∀ガンダムによって文明が崩壊したことで封印されましたが、地球、月面ではその一端が発掘という形で復活し、MSやMAなどの兵器群は軍隊の戦力拡充に利用され、歴史書など文化的に価値のあるものは学者の歴史研究に活用されたりしています。なお、正暦世界の地球は文明が大きく後退していることはすでに述べましたが、水素や太陽電池など、環境に害を及ぼさないクリーン技術については、民間で使われていたりするので、完全に後退したというわけではないようです。
本作より後に製作されたガンダム作品についても、一部の例外を除いて黒歴史に含まれるとされており、2002年の「機動戦士ガンダムSEED」や2007年の「機動戦士ガンダムOO」、2011年の「機動戦士ガンダムAGE」などが該当します。今後もガンダムシリーズが続く限り、黒歴史に含まれる作品は無限に増えていくはずです。「∀」劇中で黒歴史との関連が見いだせなかった物事についても、その中で答えが示されていく可能性もあるかもしれませんね。
本作より後に製作されたガンダム作品についても、一部の例外を除いて黒歴史に含まれるとされており、2002年の「機動戦士ガンダムSEED」や2007年の「機動戦士ガンダムOO」、2011年の「機動戦士ガンダムAGE」などが該当します。今後もガンダムシリーズが続く限り、黒歴史に含まれる作品は無限に増えていくはずです。「∀」劇中で黒歴史との関連が見いだせなかった物事についても、その中で答えが示されていく可能性もあるかもしれませんね。
最終回:黄金の秋
ついに∀ガンダムとターンXの最終決戦の時がやって来ました。最終兵器である月光蝶の激突に、人類文明は黒歴史と同様の埋葬の危機を迎えます。ロラン、ソシエ、キエル、ディアナ、ハリー、ギンガナム・・・戦いに関わる人々は、それぞれが目の前の現実に向き合い、大きな決断を下します。そして、長い戦いの季節を終えた地球と宇宙には、黄金の秋がやって来るのです。