そういう意味では、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムはむしろ、小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場したHi-νガンダムやナイチンゲール、小説版『機動戦士Vガンダム』後半の主役機、セカンドVに近い。
やがて、家庭用ゲーム機等で、初期のガンダムの世界観等を舞台にしたゲームが作られるようになった時、半ば敬意を込めたオマージュとして、半ばアルアルネタとして、G3ガンダムやシャア専用リック・ドムが、キャスバル専用ガンダムのような「if枠」として、ユニットとして取り入れられるようになり、若いガンダムファンの間で認知度が上がったのだ。
その上で、僥倖だったのは(ここはキャスバル専用ガンダムもそうだが)G3ガンダムやシャア専用リック・ドムは、基本的には形状やディテールは、通常のガンダムやリック・ドムとなんら変わることはなく、ぶっちゃけ色を変えるだけでアイデンティティとアリバイが成り立つので、ガンプラやフィギュアの世界ではありがちな「色替え仕様水増し商品枠」における、ガンダムとドムの筆頭として脚光を浴びることになったのが、概ね90年代以降の流れである。
前置きはまだ長くなってしまうんだけど。
実はこのG3ガンダム。
バンダイがたまにやらかしてくれる裏技で、設定当初のカラーリングと、現在の公式カラーリングが変えられて今がある。
まずは、80年代当時、大河原邦男氏のデザインイラストを見てみよう。
実はこのG3ガンダム。
バンダイがたまにやらかしてくれる裏技で、設定当初のカラーリングと、現在の公式カラーリングが変えられて今がある。
まずは、80年代当時、大河原邦男氏のデザインイラストを見てみよう。
確かにこれは「灰色のガンダム」としか言えないかっこよさがある。
白とトリコロールカラーで塗られていたアニメのガンダムの、デザイン画をそのままに、そこに複数のグレーと白を配置するだけで、重厚さと兵器としてのリアリズム、小説の内容を象徴するかのような、ヤングアダルト向けのメカニックの雰囲気が見事に調和している。
また、左胸の「G3」と左肩の三本線のマーキングが、当時の風潮だった「リアルマーキング至上主義」とシンプルさとの絶妙な兼ね合いを表現している。
白とトリコロールカラーで塗られていたアニメのガンダムの、デザイン画をそのままに、そこに複数のグレーと白を配置するだけで、重厚さと兵器としてのリアリズム、小説の内容を象徴するかのような、ヤングアダルト向けのメカニックの雰囲気が見事に調和している。
また、左胸の「G3」と左肩の三本線のマーキングが、当時の風潮だった「リアルマーキング至上主義」とシンプルさとの絶妙な兼ね合いを表現している。
しかし、今度はこれを商品化するメーカーサイドの視点に立って考えてみよう。
既存のガンダムを、ただのモノクロにしただけで、そこに本当にバリューはあるのか?
小説版『機動戦士ガンダム』はそんなにメジャーなのか?
商品的には、モノクロという特徴はメインにしつつも、バックアップカラーを設置しておいた方が保険が利くのではないか?
さらに言うなれば。
このカラー設定画の配色では、既存のノーマルガンダムの成型システムとの置き換えが「面倒だ」となるのである。
元のガンダムの、青、赤、黄色、それぞれの部分を、それぞれ同じトーンのグレーに置き換えてもらわなければ、G3ガンダムのプラモやフィギュアを商品化する時に、改めて色分けの金型を変えなければいけなくなる。
なのでバンダイは、基本コンセプトを残したまま、配色や色分けを「作り易く売れ易い設定」に「改変」した。
それがこの、「2018年現在のG3ガンダム公式カラーリング設定」である。
既存のガンダムを、ただのモノクロにしただけで、そこに本当にバリューはあるのか?
小説版『機動戦士ガンダム』はそんなにメジャーなのか?
商品的には、モノクロという特徴はメインにしつつも、バックアップカラーを設置しておいた方が保険が利くのではないか?
さらに言うなれば。
このカラー設定画の配色では、既存のノーマルガンダムの成型システムとの置き換えが「面倒だ」となるのである。
元のガンダムの、青、赤、黄色、それぞれの部分を、それぞれ同じトーンのグレーに置き換えてもらわなければ、G3ガンダムのプラモやフィギュアを商品化する時に、改めて色分けの金型を変えなければいけなくなる。
なのでバンダイは、基本コンセプトを残したまま、配色や色分けを「作り易く売れ易い設定」に「改変」した。
それがこの、「2018年現在のG3ガンダム公式カラーリング設定」である。
白は薄いグレーに、青は白と同じ色に、黄色は少し濃いグレーに置き換えて、赤に至っては、黒に近いグレーになるパーツと、「なぜかパープル」に変更されている。
ちなみに、前ふんどしのVの字マークと、シールドの星型マークは「連邦軍の紋章」なので、元のガンダムと同じ黄色というロジックで残されている。
確かに、パープルがバックアップカラーとして挿入されたことで立体化した時の情報量も増えて見栄えは良くなっている。
しかし、断じてこれは「灰色のガンダム」ではない。「灰色と紫のガンダム」である。
このデザイン改変を認めてしまえば、富野監督がアニメ初動でしぶしぶ受け入れた「白一色の主役ロボットになるはずだったが、玩具化のために結局トリコロールカラーを取り入れた」ビジネスライクな大衆迎合的改悪と、同じ轍を踏んでしまうことになる。
ちなみに、前ふんどしのVの字マークと、シールドの星型マークは「連邦軍の紋章」なので、元のガンダムと同じ黄色というロジックで残されている。
確かに、パープルがバックアップカラーとして挿入されたことで立体化した時の情報量も増えて見栄えは良くなっている。
しかし、断じてこれは「灰色のガンダム」ではない。「灰色と紫のガンダム」である。
このデザイン改変を認めてしまえば、富野監督がアニメ初動でしぶしぶ受け入れた「白一色の主役ロボットになるはずだったが、玩具化のために結局トリコロールカラーを取り入れた」ビジネスライクな大衆迎合的改悪と、同じ轍を踏んでしまうことになる。
だが、企業論理というものは厳しいもので。
今やバンダイのグループ企業となったサンライズは、こちらの「灰色と紫版」カラー設定を公式の物として、MGやRG、ROBOT魂など、バンダイが商品化する時のG3ガンダムは、一部の例外を除き概ねこちらの配色で商品が構成されている。
今やバンダイのグループ企業となったサンライズは、こちらの「灰色と紫版」カラー設定を公式の物として、MGやRG、ROBOT魂など、バンダイが商品化する時のG3ガンダムは、一部の例外を除き概ねこちらの配色で商品が構成されている。
筆者としては、しかしそのサンライズ公式ルールに従う義務を負わない。
筆者によるシミルボンの『機動戦士ガンダムを読む!』の再現画像は、あくまで筆者のイマジネーションの発露であって、いわゆる「富野由悠季版」以外の何にも隷属する必要はないのだ。
なので、今回はG3ガンダムの1/144キットを2つ紹介するが、どちらも既出のHGUC ガンダムの021と191 REVIVEの成型色替えキットであるが、G3ガンダムに関しては80年代版のカラーリングに塗装し直した。
筆者によるシミルボンの『機動戦士ガンダムを読む!』の再現画像は、あくまで筆者のイマジネーションの発露であって、いわゆる「富野由悠季版」以外の何にも隷属する必要はないのだ。
なので、今回はG3ガンダムの1/144キットを2つ紹介するが、どちらも既出のHGUC ガンダムの021と191 REVIVEの成型色替えキットであるが、G3ガンダムに関しては80年代版のカラーリングに塗装し直した。
……といっても、元々HGUCは殆どのパーツが色分けされてパーツ分割されているので、赤のパーツでパープルに置き換えられたパーツをはじめ、ベースのグレーだけ活かしながら、手首などは明灰白色、その他のグレーもニュートラルグレーやMSファントムグレーなどで、80年代版設定に沿って塗装し直して組み上げた。
V字マークと星形の黄色はどうすべきか迷ったが、80年代版のカラー設定にはシールドがなく、ふんどしのV字マークは白で塗られているので、シールドの星型も含めてクールホワイトで塗装することにした。
続いて解説するは「シャア専用リック・ドム」である。
上でも書いたように、この機体もまた、小説版『機動戦士ガンダム』が初出で、やはりシャアも、最初の1巻ではシャア専用ザクに乗って登場するのだが、クライマックスにアムロのガンダムに敗れてしまい、この辺りはむしろ、アニメ版だとシャア専用ゲルググの役回りなのだが、なにせ当初は文庫本一冊で、一年間分の全てを凝縮して描かねばならなかったので仕方がないとはいえ、そこでシャア専用ザクは舞台から消え去る。
V字マークと星形の黄色はどうすべきか迷ったが、80年代版のカラー設定にはシールドがなく、ふんどしのV字マークは白で塗られているので、シールドの星型も含めてクールホワイトで塗装することにした。
続いて解説するは「シャア専用リック・ドム」である。
上でも書いたように、この機体もまた、小説版『機動戦士ガンダム』が初出で、やはりシャアも、最初の1巻ではシャア専用ザクに乗って登場するのだが、クライマックスにアムロのガンダムに敗れてしまい、この辺りはむしろ、アニメ版だとシャア専用ゲルググの役回りなのだが、なにせ当初は文庫本一冊で、一年間分の全てを凝縮して描かねばならなかったので仕方がないとはいえ、そこでシャア専用ザクは舞台から消え去る。