ジオン公国軍の宇宙用量産型モビルアーマー (MA) である。機体色は緑を基調とする。
宇宙戦用に最初に実用化されたMA。
推進器に2基の熱核ロケットエンジンを用いたことで機動性が非常に高くなり、Gに耐性のある者でなければパイロットになれないほどの高速を発揮する。この機体特性のため、一撃離脱戦法を得意とする。また、武装も充実しており、幅広の本体に接近戦用のクローアーム2基を装備している。このクローはモビルスーツ (MS) を捕らえる事ができるほど大きく、Gファイター(Gブルイージー)をつかんだ時は同機のガンダムシールドに穴があいた。またビグロ後期型をそのまま流用したビグ・ラングでは、ボールを捕まえて投擲した事もある。そのほか、計8基のミサイルランチャーやメガ粒子砲を装備し、火力は高い。メガ粒子砲はクチバシ状の装甲で保護され、発射時のみ露出する。後期型は出力と推力が向上した他、ガトリング砲の追加やクローを大型多目的マニピュレーター換装した上、腕の関節を増やすなど若干の改修がなされている。。
膠着した戦局の打開と拠点防衛という観点から、単独での攻撃力の大きさと、防衛戦兵器としての効力が見込まれ生産、実戦配備された。しかし、MAの常として死角が多いため白兵戦に持ち込まれると意外に弱く(しかし、高速で移動する本機をMSで捕捉し、白兵戦に持ち込むことはきわめて困難である)、また生産コストも高価であり、対艦戦用に少数が生産されたに留まっている。
MA-08 ビグ・ザム(モビルアーマー)
対要塞戦用試作型重モビルアーマー MA-08 ビグ・ザム
ジオン公国軍の試作型モビルアーマー(MA)。
一年戦争終盤、ジオン公国軍は圧倒的な攻撃力と防御力を兼ね備えた機体を求めた結果、本機は全高60mにも及ぶ巨大MAとして完成した。機体色は緑。巨大な楕円状・円盤型の胴体と、2本の脚部を持つ。外見のデザインはジオン公国章をモデルにしているという説がある。乗員は3人であるが、操縦系の切り替えにより1人でも操作が可能である。
機体中央部には大型メガ粒子砲を装備しており、一撃で戦艦を沈めるほどの破壊力を有する。また、胴体部には水平360度全方位に計26基のメガ粒子砲が張り巡らされ、敵地にて一斉掃射することで壊滅的なダメージを与える。脚部には設置された片足3本のクローは、射出することで対空防御兵器として機能する。
防御用にIフィールドジェネレーターを搭載しており、中長距離からのビーム兵器を完全に無効化する。一方で肉薄攻撃でのビーム攻撃や実体弾兵器の攻撃に対しては特別な防御手段は持たないが、装甲も分厚いため、劇中では至近距離からボール部隊の180mmキャノン砲で集中攻撃されてもまったくダメージを受けなかった。
起死回生の一撃としてドズルら4人(操縦1、火器管制1、航法1、機長(ドズル)1)が搭乗し、先陣を切って残存兵力を糾合して出撃するも、ソーラ・システム第二照射を受けて全艦隊の1/4に相当するソロモン残存艦隊を損失。急遽作戦変更してソロモンから撤退するジオン公国軍艦艇の時間稼ぎ役となった。要塞内部に侵入したジムやボール部隊などの連邦軍ソロモン侵攻部隊を殲滅するほか、ビーム砲による長距離攻撃で連邦軍宇宙艦隊のマゼラン級宇宙戦艦やサラミス級巡洋艦を多数撃沈した。その中には、ティアンム艦隊旗艦「タイタン」も含まれる。以上の戦果から、ドズルは「ビグ・ザムが量産の暁には連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ」と嘯くが、既に資源、運用人材両面でジオンにはビグ・ザムを量産する余力など残っていないと考えられた。
MAM-07 (MAN-07) グラブロ(モビルアーマー)
全長 40.2m[10]/40m
本体重量 324.1t
全備重量 739.7t[10]/200t
装甲材質 超硬スチール合金
推進機関 熱核水流ジェットエンジン×6基
出力 11,000kw[10](100,000馬力)
最高速度 30k
武装 7連装噴進魚雷発射管×2
対空ミサイルランチャー×2
グラブロクロー×2
ジオン公国軍の水中用MA。
MIP社により水陸両用MSと同時期に開発され、初めて実戦投入された水中用MAである。ジオン公国軍ではコストの問題から特定の運用に限定した複数のMA開発計画が同時に進行しており、その中で本機が最も早く完成する。開発は先行していた同じMIP社製のビグロをベースに行われ、開発着手から1か月半という短期間で完成している。
推進には水陸両用MSと同様に熱核水流ジェットエンジンを用い、単独で地球一周するほどの航続距離を備えているとも言われている。
武装は魚雷および対空ミサイルを装備し、水中・水上の敵どちらにも攻撃可能である。この対空ミサイルはブーメラン状の整流板が設置されているため、ブーメランミサイルとも呼ばれる。また機体左右にフレキシブルアームを介して装備されている鉤爪“グラブロクロー”は直接敵機や敵艦船の装甲を破壊でき、航行時には機体後方に折り畳むことにより抵抗を軽減する。視覚センサーとしてモノアイを備えるが、機首にソナーも内蔵しておりこれらを併用して行動する。また量産機ではこの機首部分にメガ粒子砲を搭載することが計画されていたが、量産化は実現せず計画のみにとどまっている。
サンディエゴ基地の潜水艦ドックで計3機が建造され[12]、メキシコ湾を拠点とした大西洋上でテストが行われた。うち1機はマッドアングラー隊に支給され、ホワイトベース隊と交戦し撃破されている。残りは連邦軍の海上艦隊に対しての攻撃に使用され、マダガスカル沖で終戦を迎え、接収されている。
MAN-03 (MAN-X3) ブラウ・ブロ(モビルアーマー)
ニュータイプ専用試作型モビルアーマー MAN-03 ブラウ・ブロ
ジオン公国軍の開発したニュータイプ専用モビルアーマー (MA)。
フラナガン機関で開発されていたニュータイプ専用MAの第1号機である。開発者の1人シムス・アル・バハロフ中尉の発言によれば、0079年12月初旬でようやく実用化にこぎつけた段階であった。本機は機体本体から有線で制御されるメガ粒子砲塔(連装2基と単装2基)を射出して攻撃可能(オールレンジ攻撃)である。また、機体も3つのブロックからなり、それぞれ独立行動も可能。この分離/合体機能は戦闘用ではなく、被弾時の緊急脱出用であった。さらに劇中未使用だが、右ブロックと左ブロックにジョイントしたエンジン部も切り離せるので、設定上は5つのブロックからなる。塗装は灰色と紫色。
サイコミュ搭載機であり、サイコミュを活用できるニュータイプであれば1名でも操縦・戦闘が可能である。非ニュータイプ数名の搭乗による運用も行える。コクピットはモビルスーツ (MS) に比べてかなり広く3人以上の座席が確認でき、複数のクルーによって運用される戦闘艦艇や攻撃ヘリコプターのような通常兵器のコンセプトを延長した機体である。また、本機は『機動戦士ガンダム』に登場する全MS・MAの中で最大の重量を誇る、ヘビー級の機動兵器でもある。
本機は実質的には単なる小型艦艇であったが、機体周囲に機動バーニア(砲口にも見える孔)が配されており、ガンダムのビームライフルを回避する機動性能が確保されていた。また、MSの胴体とほぼ同じサイズの各メガ粒子砲塔は艦載砲並に強力で、戦闘ではガンダムのシールドを一撃で砕き、ガンキャノンの両足をもぎとっている。コントロールとエネルギー伝導ケーブルを兼ねるワイヤーの長さは1km。ワイヤレス型攻撃端末よりも到達範囲は狭いが、砲のエネルギーは本体から直接供給され、かつ主機自体に余裕があるために速射性が高く、立て続けに発砲することが可能。その他にも、有線であることからビットと違って敵ニュータイプに思念波を察知されづらく、端末が狙撃されにくいとの利点もある。
MAN-08 (MA-05H, MAN-X8) エルメス(モビルアーマー)
ニュータイプ専用試作型モビルアーマー MAN-08 エルメス
一年戦争末期、ジオン公国軍によってブラウ・ブロが開発されていたが、ニュータイプ専用機と言いつつも一般のパイロットでも操縦が可能なものだった。本機はその思想を更に押し進め、完全なるニュータイプ専用機としてフラナガン博士らによって開発された。サイコミュシステムを用いて機体本体の制御と機体内部に搭載するビット(初期設定での名称は「ドク」)と呼ばれる小型のビーム砲台の遠隔操作を行う。そのためコクピット内部は必要最低限の操縦機器のみで、そのほとんどはコンソール類となっている。また高Gによるパイロットへの負荷を軽減するため、機体前部に配置されたコクピットには高性能の緩衝装置が設けられている。
機体前面はパイロット保護のため厚い装甲板で覆われている。スラスター類は機体下部の左右エンジンユニットに3基ずつ設けられたバーニア・ノズルが確認できるのみである。これは耐弾性を向上させるためだとも言われ、腕部などのAMBAC作動肢を持たない本機は機体内部にジャイロを有し、これによって機体制御の補助を行う。
本体の武装は長距離射撃用メガ粒子砲が2門のみで、機体自体がビットの運用目的に特化したものとなっている。 ブラウ・ブロやジオングなど同時期のニュータイプ専用機のオールレンジ攻撃が有線誘導式だったのに対し、本機はミノフスキー粒子格子の振動波をサイコミュで制御するミノフスキー通信によりビットを無線誘導し、長距離からの攻撃もしくは攻撃対象に対して予期せぬ方向からの攻撃が可能である。全長8.4mのビットにはビーム砲が装備され、搭載された小型ジェネレーターによりエネルギー供給を行う。1基のメインバーニアと無数に配置された姿勢制御バーニアにより高い機動性を誇る。ビットにはモノアイが設けられ、捉えた敵機の映像をサイコミュを介してパイロットに伝達する。なお、劇中では戦場においてエルメスとビット群が並航するシーンが描かれているが、エルメス本体にはビットを収容・発進させるギミック設定がなく、戦場までビットをどうやって輸送していたのかは不明である。
当初は連邦軍の索敵圏外からビットでの長距離スタンドオフ攻撃を行なって大戦果をあげたが、パイロットに負担がかかり過ぎる事から長距離実戦運用投入は1回のみで終わり、フラナガン博士らの手でビットは短距離用に調整された(以降ガンダムシリーズ全編を通して、サイコミュ兵器によるスタンドオフ攻撃は行われていない)。その結果、本機のビット運用は自ら戦いながら操作に集中する必要が生じ、それはニュータイプパイロットといえども難事であったため、その間敵から本機を守る護衛機が必要となってしまった。
3機が製造されており、1号機はパイロットのニュータイプ能力が不十分だったため暴走したビットの攻撃により爆破されたとされている。2号機はララァ・スン少尉、3号機はクスコ・アル少尉にそれぞれ与えられ、実戦に参加した。