【空手家】八巻建志(後編) ~俺の前に立ったら30秒と立たせておかない~
2018年3月12日 更新

【空手家】八巻建志(後編) ~俺の前に立ったら30秒と立たせておかない~

極真空手の全日本大会で初優勝した八巻建志 は、自分は日本一、世界一強いと思った。 しかしその後、バイク事故で彼女に大ケガを負わせてしまう。 以後、5年間、地獄をさまよった後、復活し、2度目の全日本大会優勝、100人組手達成、世界大会優勝。 最強の空手家となった。

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Masato Ikeda vs Francisco A Filho

5回戦の相手は杉村多一郎だったが、杉村が前戦で左目の上を13針縫う大ケガを負って棄権し八巻建志は不戦勝となった。
田村悦宏がブラジルのルシアーノ・バジレに破れ、岩崎達也はギャリー・オニールに破れ、池田政人はフィリョの重い突きを胸をボディに叩き込まれ右下段回し蹴りで1本負けし、高久昌義はニコラス・ペタスに技ありを取られて負け、市村直樹はグラウベ・フェイトーザに顎に高角度の蹴りを何発も食らい判定負けした。
5回戦を終えベスト8が決まった。
その中で日本人選手は3人。
ブラジル選手も3人。
しかしブラジルは代表枠4人中3人が生き残っていた。

Yamaki Kenji vs Hiroki Kurosawa 1995

準々決勝の第1試合は、八巻建志 vs 黒澤浩樹。
前回の世界大会では、体重判定で黒澤浩樹が勝った。
またここまで4試合、黒澤浩樹は延長戦は1つもなく本戦で決め、技ありを2つとっての1本勝ちが2つある。
「はじめ」
「ドンッ!」
審判の声と太鼓がほぼ同時に鳴った。
黒澤浩樹は両腕で顔面をガードしながら小刻みなリズムを刻みながら接近。
八巻建志は懐に入られるのを嫌って左上段前蹴りをフェイントに出して左下段回し蹴り。
近づきたい黒澤浩樹は強引に突っ込んだ。
八巻建志はそれに左上段前蹴りを合わせた。
黒澤浩樹は構わず前に出て右下段回し蹴り。
八巻建志はバックステップでかわした。
上段への警戒を強めて両腕を高く構える黒澤浩樹のボディに八巻建志が前蹴りを入れるとバランスを崩しスリップダウン。
顔を強張らせた黒澤浩樹が渾身の力を込めた右下段回し蹴りを狙うが、八巻建志は打ち合わずスッと引いてかわす。
黒澤浩樹は構わず左下段回し蹴りを狙って踏みこむと、八巻建志は上段前蹴りをカウンターで入れた。
黒澤は再びスリップダウンした。
黒澤浩樹の必殺技は下段回し蹴り。
下段回し蹴りは接近して威力を発揮する技だが、八巻建志の前蹴りは射程距離が長くも短くもなる。
しかも回し蹴りよりも技が速い。
黒澤浩樹は、接近して正拳から左右の下段を決めたい。
八巻建志は前蹴りを放って距離を保ち続けたい。
「バシッ」
黒澤浩樹の下段がいい音で決まる。
その下段は異常に強く、1発で相手を体ごと持っていく。
下手すれば一撃で戦闘不能にしてしまうほど凄まじい破壊力も持っている。
八巻建志は連打を食らってサンドバッグにならないように常に動き黒澤浩樹の攻撃の打点の軸を外しすかし、前蹴りで黒澤の下段の連打を許さなかった。
しかし黒澤浩樹は決してあきらめずに前進し続け、下段蹴りと正拳で攻め続けた。
八巻建志は猪のように突進してくる相手のボディに右膝蹴りを突き上げてから右後ろ回し蹴りを放った。
「ドスン」
と右の踵がボディにめり込んだが、黒澤浩樹は何事もなかったがごとく左下段回し蹴りを蹴った。
両者距離が潰れてもみ合いになった。
一瞬、黒澤浩樹のガードが下がった。
八巻建志は右膝を捻りこむように突き上げた。
「ガシッ」
黒澤浩樹は顎を直撃された。
が、しかし微動だにしなかった。
さすがに強い。
黒澤浩樹は果敢に攻撃を仕掛ける。
黒澤浩樹のほんとうの恐ろしさは執念じみた精神力と化け物のようなタフネスさだろう。
あまりに強い黒澤浩樹の押しと下段回し蹴りに八巻建志はバランスを崩したたらを踏んでバランスを後方に崩した。
黒澤浩樹はそこへ攻撃を叩き込み一気に間合いを詰めようとする。
八巻建志は左脚を跳ね上げた。
「パシィッ」
左上段回し蹴りが黒澤浩樹の右頬を弾いた。
蹴った左足をマットへ接地すると同時に踏み込んで、右前蹴りをのけぞった黒澤のボディへ。
一瞬下がった黒澤浩樹が、すぐに距離を潰して下段回し蹴りを放つ。
八巻建志はそれを前蹴りでストップさせ逆に下段回し蹴りを返した。
「ドンッ」
そこで太鼓が鳴り試合が終わった。
判定は3-0で八巻建志が勝った。
 (1979768)

準々決勝第2試合は、ギャリー・オニール vs ルシアーノ・バジレ。
試合は体重判定までもつれて、85kgのバジレが72kgのギャリーに敗れた。
準々決勝第3試合は、フランシスコ・フィリョ vs ニコラス・ペタス。
フランシスコ・フィリョの左上段回し蹴りがニコラス・ペタスの顔を切り裂き、5-0の判定で勝った。

Kyokushin Karate 極真空手 第6回全世界 数見VSグラウベ・フェイトーザ


最後の準々決勝は、グラウベ・フェイトーザ vs 数見肇。
試合開始と共にグラウベ・フェイトーザは長い腕と脚を振り回して数見肇を追い詰める。
遠い間合いで勝ち目のない数見肇は間合いに入り突きと下段回し蹴りを狙っていく。
するとグラウベ・フェイトーザは数見の顎を狙って高角度の膝蹴りを突き上げる。
数見肇は膝蹴りをかわしたが、グラウベは振り子のように大きくバックスウィングした正拳をラッシュし、飛び込むように渾身の中段回し蹴りを放った。
「ドカンッ」
凄まじい音が響いた。
数見はズルズル後退した。
前半はグラウベ・フェイトーザが台風のような猛攻で数見肇を圧倒した。
しかし後半に入って数見がコツコツ当てていた下段回し蹴りがグラウベ・フェイトーザの脚を蝕み始めた。
195cmの巨体がみるみる失速。
上体は左右に揺れた。
数見肇は確実に相手の攻撃を捌き自分の攻撃をヒットさせていった。
グラウベ・フェイトーザはベタ足になりながらも懸命に攻撃を仕掛けていくが、数見肇は冷静沈着な外科医がメスを振るうように相手の嫌がるところに嫌がる攻撃をした。
本戦では決着がつかず延長に入り、明らかにダメージがあるグラウベ・フェイトーザの脚を数見は情け容赦なく蹴った。
グラウベ・フェイトーザは必死に踏ん張り1発逆転を狙った左膝を突き上げる。
数見肇はそれを見切り、軸足を蹴った。
そして左下段回蹴りを連打。
グラウベ・フェイトーザはマットに両手をついた。
「技あり!」
立ち上がり脚を引きずるグラウベ・フェイトーザに数見肇はとどめのラッシュ。
戦意を失ったグラウベ・フェイトーザは敵に背中を向けた。
「一本」
数見肇の見事な一本勝ちとなった。

Yamaki kenji vs Garry O'Neill

準決勝第1試合は八巻建志 vs ギャリー・オニール。
ギャリー・オニールは、変幻自在なステップワークで相手を幻惑し、スピーディーかつ大胆な攻撃を仕掛けてくる。
その卓越した格闘センスは他を寄せ付けぬものがあった。
ギャリー・オニールは、軽快なステップで八巻の周囲をクルクル回り、八巻建志が下段回し蹴りを放つと、ステップバックでかわし踵落とし、飛び後ろ回し蹴りを繰り出す。
ギャリー・オニールの怖さは蹴りだけでなく突きも強烈で、1発1発が内蔵を突き上げるような威力をもっていた。
ギャリー・オニールは離れては大きな蹴り技、近づけば突きを叩き込んで離れるというヒット&アウェー。
相手がその動きに翻弄され追い回すとギャリー・オニールの攻撃のみがヒットしやすくなる。
八巻建志はギャリー・オニールの攻撃を確実にカットし、すかさず自分の攻撃をヒットさせた。
本戦終盤、八巻建志が左右の下段でギャリー・オニールを追い込んだ。
ギャリー・オニールはそこで踵落としをカウンターで放った。
八巻健志はとっさに顔をねじって芯を外し顔面直撃は免れた。
本戦で決着はつかず延長へ入った。
極真空手のルールでは、再延長で決着がつかない場合、体重判定となり体重差が10kg以上あった場合、軽い者が勝ちとなる。
10㎏以上、差がない場合は試割の枚数で勝敗が決まる。
100kgを超える重量級の選手には体重判定は鬼門となる場合も多かった。
八巻健志は103kg、ギャリー/オニールは73kg。
接戦は八巻健志の負けを意味している。
しかもトップクラスの選手が防御に徹すればたとえ体重差があっても引き分けに持ち込むことは難しくないことだろう。
ギャリー・オニールの踵落としに八巻健志は前蹴りをカウンターを合わせた。
そして下段回し蹴りからボディに突き、さらに左右の下段回し蹴りを入れた。
電光石火のコンビネーションにギャリー・オニールが一瞬、顔をしかめ体が開いた。
八巻建志はそれを見逃さず前蹴り。
だがギャリー・オニールも上段回し蹴り、後ろ回し蹴り、踵落としと失った主導権を取り戻そうと反撃。
八巻建志はそれを冷静に捌き、逆に突きの連打でギャリーを場外まで押し出した。
2分間の延長戦の判定は5-0で八巻に凱歌が上がった。
ギャリー・オニールは苦笑いを浮かべ握手を求めた。
2人はがっちりと握手した。
通路を引き上げているとき、準決勝戦を戦うために後輩の数見が歩いてきた。
「数見、決勝で待っているぞ」
「押忍」

Kyokushin Karate 極真空手 第6回全世界 数見VSフランシスコフィリョ

準決勝第2試合、フランシスコ・フィリョ vs 数見肇。
「バシンッ」
フランシスコ・フィリョの左太腿の内側を数見肇の左足が蹴る。
フランシスコ・フィリョはムッとした表情で猛烈に正拳でラッシュをかけ膝蹴りで数見を場外まで押し出した。
強引な攻撃にも数見は冷静さを失わなかった。
フランシスコ・フィリョは、まるでハリケーンのように、並外れたパワーで中段、上段と容赦なく攻め立てる。
数見はその猛攻を冷静に捌き、ときに受け止める。
フランシスコ・フィリョが上段回し蹴りを放つと数見肇はドンピシャのタイミングで下段回し蹴りを合わせてフィリョをぐらつかせる。
その差は紙一重である。
フランシスコ・フィリョが上段回し蹴り、後ろ回しと蹴りを繰り出すと数見肇は下段回し蹴りで迎え撃った
フランシスコ・フィリョは、本来のスピーディーで爆発的な技のキレがなく、パワーのみで数見肇を押し潰そうとしている。
しかし直線的なパワーは捌きが抜群にうまい数見に受け流されてしまいダメージを与えられない。
逆に数見肇はフランシスコ・フィリョの下半身に的を絞って着実にダメージを蓄積させていった。
本戦が終了し判定は0-0。
延長戦に入っても数見肇は執拗にフィリョの脚を攻めた。
フランシスコ・フィリョの左脚の動きが鈍ってきた。
それでもフランシスコ・フィリョは猛り狂う獣のように正拳を数見肇に叩きつける。
しかしダメージは与えられない。
延長戦も0-0の引き分けになり再延長に入った。
互いに退がらない、倒れない。
フランシスコ・フィリョは左脚をひきずりながら必死に攻撃を繰り出す。
数見肇は下段回し蹴りと正拳突きを情け容赦なく叩き込む。
そして瞬く間に時は過ぎ、両者を分けるときがきた。
熱狂の渦となった会場も、その判定に固唾を呑む。
再延長の判定は数見肇に旗2本が上がったが規定に達せず引き分け。
続く体重判定は、フランシスコ・フィリョが103.5kg、数見肇が97.5kg。
これも有効となる10Kg以上の差はなく引き分け。
決着は試し割り判定に持ち込まれた。
「フランシスコ・フィリオ選手、22枚。
数見 肇選手、24枚」
場内アナウンスが告げられると会場は大歓声に包まれた。
わずか2枚が両者の明暗をわけた。
死闘の末、決勝進出を果たしたのは数見肇であった。
 (1979770)

試合場では松井館長による試し割と演武が行われていた頃、城南支部の控え室では、決勝戦まで体を休めるために八巻建志と数見肇が並んで寝ていた。
いつもならコメントを競って求めていくマスコミも、この異様な光景を遠巻きにみているだけだった。
「ビリビリしたカミソリが飛び交うような緊張感が漂っていて、とてもコメントなんか取れません。
同門の2人がこれから世界大会の決勝戦を戦うのに同じ控え室でしかも並んで横になっている。
あんな異様な雰囲気は初めてでした」
(その時現場にいた専門誌の記者)
八巻建志は両足首をアイシングしテーピングし直したかったが、数見肇がいるために素知らぬ顔で寝た。
そんな控え室に廣重師範が入ってきた。
師範の柔らかな笑顔は控え室の空気を和ませた。
「これは168名のファイナルマッチなんだ。
彼らの代表と思って戦って欲しい。
先輩後輩の意識は捨てて・・・・
そうだね。
悔いのない戦い、観る者を感動させる戦いを期待しています。
試合が終わったらいつもの2人に戻るんだから・・・
頑張ってください」
試合場では3位決定戦でギャリー・オニールとフランシスコ・フィリョが戦い、フランシスコ・フィリョが下段回蹴りで技ありを奪って判定勝ちした。
「時間です」
係りの者の出番を告げた。
試合場に一歩一歩足を進める。
割れるような歓声が体を包んだ。
世界大会の決勝の舞台が目の前にあった。
15歳で極真に入門して以来、ひたすらその頂点だけを目指してきた。
幾多の試練を乗り越え、数々のタイトルも手にした。
しかしひとつだけ手にしていないものが世界大会の優勝だった。
4年に1度、体重無差別制、3日間にわたる過酷なトーナメント。
極真空手世界チャンピオンの称号。
それは極真空手に人生の全てを懸けてきた男の未果てぬ夢であった。
少年が心奪われた、その山の頂きはあまりに遠いものだった。
幾度となくたたき落されては這い上がり、闇の中 孤独と絶望を背負い歩き続けてきた。
何度も心が折れそうになった。
だが決してその足を止めることはなかった。
それはずっと信じていたから・・・
今このとき 今日という日が必ずやってくることを・・・
(死んでもいい。
ここで完全燃焼する。
すでに覚悟は出来ている。
空手家として男として八巻建志のすべてをみせる)

第6回 極真世界大会 決勝戦「八巻建志 vs 数見肇」 (1995年11月5日)

場内アナウンスが鳴った。
「ゼッケン21番、八巻建志、ニッポン」
「オッシャ!」
気合を入れて試合場に上った。
拳をグッと握り締めた。
(この試合ですべてが決まる。
ケガを恐れる必要なない。
拳を、蹴りを、力の限り叩きこんでやる)
両者が十字を切って中央へ進み出た。
数見肇は静かな表情でスクッと立った。
八巻健志は数見肇の目を見据え軽く頷いた。
「わかった」
そういうように数見肇も頷いた。
「ドン!!」
決戦の始まりを告げる太鼓が鳴った。
八巻建志、187cm103kg。
数見肇、180cm97kg。
数見肇は体格で劣るが、その肉体は鋼のような筋肉の鎧をまとっている。
そして世界一と称される下段蹴りがある。
八巻健志はこの男の強さは誰よりも知っている。
小手先のテクニックや力任せの攻撃など一切通用しない。
だからこそ真っ向勝負。
全身全霊を懸けて戦うのみ。
数見肇がジリジリとにじり寄る。
隙あらば一気に懐に入り下段蹴りを合わせる。
まともに食らったらその脚を破壊されてしまうだろう。
数見肇が間合いを詰める。
八巻健志は前蹴り、左後ろ回し蹴り。
数見肇はバックステップでかわし左下段回し蹴り。
至近距離となり八巻健志が正拳突きを見舞うと、数見肇はこれもバックステップで急所を外し逆に左右の下段回し蹴りを返す。
八巻建志は今大会に備え、磨いてきた左前蹴りを数見肇のボディに突き刺し場外まで吹っ飛ばした。
数見肇は何ごともなかったかのように、ポーカーフェイスで中央に戻り試合再開。
臨機応変に変化する流水の動きと左右の中段回し蹴り、正拳突きと八巻健志を追いたててゆく。
八巻健志は“あるチャンス”を待っていた。
大会前に何百回となく、その瞬間を頭に描き繰り返し練習してきた攻撃。
その一撃を放つチャンスが一度は必ず訪れるはずだ。
下段蹴り、正拳突きとつなげながら、そのチャンスを待っていた。
次の瞬間、数見肇が左中段前蹴りを放とうと左膝が上げた。
(この瞬間だ!!)
八巻健志はすかさずサイドステップで踏み込み、同時に左腕で蹴り足を払い数見肇の体が開いたところへ渾身の力を込めた右フックをボディ深く打ち込んだ。
その手ごたえは拳から肩に突き抜けた。
「ウッ」
息の詰まる声が聞こえ数見肇の動きがガクッと落ちた。
深いダメージを負った数見肇だが、それでも正拳連打、前蹴りと反撃。
だが明らかにそのスピード・威力は落ちている。
八巻健志は構わず前に出た。
前蹴り、下段回し蹴りとつないでボディに下突きを打ち込む。
数見肇は前蹴りで応戦する。
八巻健志はそれを左腕で払い、再び 数見の左脇腹に全体重を乗せた強烈な右フックを打ち込んだ。
数見肇の動きが止まった。
(効いている!!)
前蹴り、右下段回し蹴り、正拳連打、そして再度、右下段回し蹴りと一気に攻め立てた。
容赦ない連続攻撃を受けた数見肇は苦悶の表情を浮かべ、たまらず後退。
八巻健志は勝利を確信した。
そしてそのとき本戦終了を告げる太鼓が鳴った。
正面を向き、息を整えながら、判定を待った。
まず副審の白い旗が2本上がった。
主審は? 
上がった。
白い旗が3本上がって八巻建志の勝利を示した。
八巻建志がついに辿り着いた世界の頂点だった。
これまでの人生が走馬灯のように脳裏を駆け巡った。
どれほど苦しい道程だったことか。
熱い涙が頬を伝った。
それは空手家として八巻建志がみせた最初で最後の涙だった。
男、八巻建志。 
完全燃焼。

The 6th World Open Karate Tournament 1995

八巻空手

kyokushin karate 笑っていいとも 八巻建志選手出演

2000年、八巻建志は、TVCM 「X Fire」、映画「陰陽師」に出演。
2002年、極真会館を退会し、「八巻空手」を立ち上げた。
「私は空手には無限の可能性があると思っています。
度々、貧血で倒れるぐらいひ弱でいじめられっ子だった私は自信が持てず人の目をみて話すことも出来ませんでした。
それが空手に出会って懸命に稽古を重ねていくうち、10年後に全日本チャンピオンに、15年後には世界チャンピオンになりました。 
その間、100人組手という荒行をも完遂しました。
そして自己の無限の可能性を確信しました。
人の才能は継続することによって磨かれ開きます。
継続的な空手の稽古から得られる自信は人の能力を無限に伸ばします。
そしてそんな人は何事にも自信をもって臨めるようになるのです。
稽古は無駄に長く時間を費やしたり、厳しければいいというものでは決してないのです。
継続するには楽しくなければいけません。
私は楽しい空手を指導していきたいと思っています」
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  • 2020/7/23 22:10

    感動しました。私も極真の道場生でしたが、八巻師範の道のりを知れば知るほど血湧き肉が踊ります。私は、途中で走る格闘技に道を変えましたが、師範のように世界チャンピオンになれる人もいれば、私のように何の注目も受けられずに会社勤めをする人もたくさんいるでしょう。何はともあれ青春をかけて打ち込んだ経験は、人生の宝になり、お金には変えられない自信になります。本当に感動させて頂きました。

    2019/8/27 10:30

    八巻さんに限らす、極真会館の歴代王者は皆、恵まれた才能に胡座をかかず膨大な稽古量をこなしている様に思えます。
    脱帽、の一言です。

    匿名 2019/7/11 05:06

    八巻師範、世界一の先生です。

    2019/6/27 13:31

    不屈の精神で何度も這い上がる八巻さんの姿勢に感動しました

    八巻先生 2018/10/27 00:39

    元溝の口道場生です。
    私の知っている先生はいつも笑顔で優しかった。そんな過去がある事を知らなかった。最高にカッコいい。

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