バンカラ、この熱さを伝えたいのだ!
2021年9月5日 更新

バンカラ、この熱さを伝えたいのだ!

バンカラ作品は熱い!熱いどころか全ての作品がオーバーヒートしています。なかでも1970年と1975年はバンカラ作品の当たり年でして、熱いにも程があるってな作品ばかり。ちょっと覗いてみませんか?!

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バンカラ

一部を除き死語といっていいほど一般的には使われなくなった言葉「バンカラ」。ですが、この言葉は「熱い」!熱すぎるとも言われていますが、今の時代にこそこの「熱さ」が必要なのではないかと思われる今日この頃です。

そもそも「バンカラ」とは何か?と言えば、明治維新後に欧米化の波が押し寄せてきますが、この欧米化を「ハイカラ」と呼び「バンカラ」は、その対義語です。
反骨精神を表すために使われた言葉とも言われており、ハイカラ同様にバンカラも一世を風靡しました。
「バンカラ」の要素を取り入れた作品は近年でも多々ありますが、特に70年代の作品は「熱い」です。先ず見て頂きたいのは漫画「昭和バンカラ派」。激しく直球で勝負したタイトルにシビレます。
バンカラ(「昭和バンカラ派」より)

バンカラ(「昭和バンカラ派」より)

著者:司敬
「昭和バンカラ派」の内容はこうです。

バンカラの精神を今に伝えるという金沢にある成巽閣高校に、能登の山奥から男を磨くために主人公の南部修作はやってきます。この「男を磨く」というところが重要です!
しかし、あろうことか成巽閣高は全国からの不良たちが集まるワルの巣窟と化していたのです。な、な、なんで名門高校がそのようなことになるのか!オープンキャンパスなどがなかった時代とは言え、そのように重大なことに何故入学するまで気づかなかったのか?!南部修作も呑気といえば呑気。災難と言えば災難です。
そして、南部修作の前に金持のエリートで21世紀のヒットラーとならんとする石動大輝が現れます。石動大輝は文武両道の天才にしてハイカラなのです。こうしてバンカラ対ハイカラの熱く激しい戦いの火ぶたが切って落とされます。

如何です?いかにも面白そうでしょ?更にもう一作見て頂きたい作品「魁!!男塾」。
魁!!男塾

魁!!男塾

著者:宮下あきら
南部修作と「魁!!男塾」の主人公・剣桃太郎(つるぎももたろう)を比べて頂くと分かるように、ファッションがよく似ています。
「バンカラ」は旧制高校や旧制中学の学生服が基本。その上にマントを羽織り、高下駄で闊歩したのが始まりです。そして弊衣破帽と言うのだそうですが、学生服はボロボロを良しとしています。
いえ、良しとするというよりもファッションに無頓着なのですね。実際、ファッションに気を遣う暇がないくらい勉強に専念したそうですよ。

「魁!!男塾」の主人公・剣桃太郎も授業中はよく居眠りをしていますが、ネイティブ並みの英語やフランス語など複数の言語がしゃべれ、数々の秘技・秘拳を体得しています。まさに文武両道。
しかも、男塾卒業後は東京大学に入学しており、続編である「天より高く」ではその後ハーバード大学に進学し、内閣総理大臣にまで上り詰めています。

本物の「バンカラ」は能力が高い!

外見的な特徴となると、学生服(それにマント)、下駄履き、ポケットにしのばせた手拭い、ボサボサの髪の毛ということのようです。

であれば、南部修作や剣桃太郎よりももっと適した人物がいます。「俺の空」の主人公・安田一平です。
俺の空

俺の空

著者:本宮ひろ志
どうです?マントも着てますし、学生帽も敗れています。絵にかいたような(漫画ですが…)見事な「バンカラ」ぶりです。

男一匹ガキ大将

「俺の空」だけではなく、「男樹」「サラリーマン金太郎」などなど、本宮ひろ志の作品は全てといって良いほど根底にバンカラ精神が流れています。その作風を確立したのは「男一匹ガキ大将」でしょう。
男一匹ガキ大将

男一匹ガキ大将

作者:本宮ひろ志
出版社:集英社
掲載誌:週刊少年ジャンプ
発表号:1968年11号~1973年13号
男気のあるガキ大将・戸川万吉(とがわ まんきち)がケンカを通じて次々に子分を増やしていき、ついには日本中の不良を従える総番にまで登りつめ日本を動かす男となる物語。
実は人気絶頂時にも関わらず作者は「男一匹ガキ大将」の掲載を何度も終了しようとしたそうです。「男一匹ガキ大将」は、永井豪の「ハレンチ学園」とともに創刊間もない「週刊少年ジャンプ」を一躍人気少年誌に押し上げた作品ですからね、そう簡単には終了させてもらえず編集者に説得されて無理やり描かされていたのだそうですよ。

我が良き友よ

バンカラのテーマソングといえば、かまやつひろし の「我が良き友よ」でしょう。
「下駄を鳴らしてヤツがくる。腰に手ぬぐいぶら下げて」ですからね。この男、学生服は着ているのですが歌詞からは破れた学生帽をかぶっているのかどうかは分かりません。かぶっててほしいですけどね。作詞・作曲は吉田拓郎です。

かまやつひろし 『我が良き友よ』 1975年

当時人気絶頂だった吉田拓郎がこのような曲を作ったことに多くの人が驚きました!しかし、もっとも驚いたのは かまやつひろし だったようで、最初は歌うのを嫌がったのだとか。
というのも、かまやつひろし はオシャレでしたからね。そう、バンカラどころかハイカラだったのです。イメージじゃないということでしょう。しかし、この歌は かまやつひろし の声によく合ってますよね。累計売上枚数は90万枚という大ヒットを記録しています。

嗚呼!!花の応援団

「我が良き友よ」がリリースされたのは、1975年2月5日。同年の10月からバンカラ漫画の代表作ともいえる「嗚呼!!花の応援団」が掲載開始されています。
「週刊プレイボーイ」で「俺の空」の連載が開始されたのも1975年ですから、この年はバンカラの当たり年といえそうですね。
嗚呼!!花の応援団

嗚呼!!花の応援団

作者:どおくまん
出版社:双葉社
掲載誌:週刊漫画アクション
発表期間:1975年10月16日~1979年
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