“カルト映画の神様”と呼ばれた鈴木清順監督の浪漫三部作の1本「ツィゴイネルワイゼン」
2018年2月13日 更新

“カルト映画の神様”と呼ばれた鈴木清順監督の浪漫三部作の1本「ツィゴイネルワイゼン」

「生きているひとは死んでいて、死んだひとこそ生きている」いかにもカルト映画という印象的なセリフですね。あの世とこの世の狭間の世界を圧倒的な演出で描いた「ツィゴイネルワイゼン」。妖しく怖くもあり、たまらなくエロチックでもあるこの映画。独特な映像美の世界に足を踏み入れてみてください!

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浪漫三部作

日本を代表する映画監督の一人である鈴木清順。「清順美学」と呼ばれる独特の映像美は、クエンティン・タランティーノ、デヴィッド・リンチ、ジム・ジャームッシュなど多くの映画監督に影響を与えています。
鈴木清順

鈴木清順

本名:鈴木 清太郎
生年月日:1923年5月24日
没年月日:2017年2月13日(93歳没)
出生地:東京府東京市日本橋区
職業:映画監督、俳優
活動期間:1956年~2017年
その「清順美学」の到達点とも言える作品が「浪漫三部作」と呼ばれている3本です。

鈴木清順「浪漫三部作」

「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」「夢二」。この3本は時代設定が同じ大正時代いうだけで連作ではなく、独立した作品です。

どれも甲乙つけがたいほど素晴らしい作品ですが、浪漫三部作の1本目で、カルト映画の大傑作として今なお多くの人たちを魅了し続けている1980年の「ツィゴイネルワイゼン」をご紹介します。

ツィゴイネルワイゼン

「ツィゴイネルワイゼン」とはスペイン生まれの ヴァイオリニスト:サラサーテが作った曲です。サラサーテ自身が1904年に録音したレコードが残されているのですが、この録音には、途中に呟き声が入っていることで知られています。

内田百閒がこのレコードの呟き声を題材にして「サラサーテの盤」という小説を書いており、これが映画の原作となっています。
加えて「ツィゴイネルワイゼン」は、「サラサーテの盤」以外にも「山高帽子」「花火」「東京日記」などからも題材をとっており、更にそこにオリジナルエピソードを加えてあります。

「ツィゴイネルワイゼン」予告編

鈴木清順としか言いようのない映像美!その素晴らしさが予告編からもうかがい知れますが、あの世とこの世の狭間の世界を圧倒的な演出で描いています。

そして登場人物が、個性的で素晴らしいのです。
ツィゴイネルワイゼン

ツィゴイネルワイゼン

左から
藤田敏八、大谷直子、原田芳雄、大楠道代
主な登場人物は4人。
原田芳雄が演じる全国を旅する自由人「中砂糺(なかさご ただし)」、その妻の「中砂園(なかさご その)」と芸者「小稲(こいね)」の二役を大谷直子。
中砂の友人で翻弄されまくる「青地豊二郎(あおち とよじろう)」を映画監督の藤田敏八が演じ、その妻の「青地周子(あおち しゅうこ)」が大楠道代です。

あらすじ

難解と評される「ツィゴイネルワイゼン」ですが、一言でいうと中砂(原田芳雄)と青地(藤田敏八)という親友二人のドイツ語学者をめぐる怪奇談です。

物語はサラサーテの名曲「ツィゴイネルワイゼン」が流れる中、中砂と青地の声がカットインしてくるところから始まります。「何て言ったんだろ」「君にもわからないか」。映画は冒頭から、聞き取れない言葉という“謎”が提示されるのです。

そして場面はかわり、中砂の元へ向かう車中の青地が映し出されます。

ツィゴイネルワイゼン

ドイツ語学者、青地豊二郎と友人の中砂糺の二人が海辺の町を旅していた。二人の周囲を、老人と若い男女二人の盲目の乞食が通り過ぎる。老人と若い女は夫婦で、若い男は弟子だそうだ。
中砂園(なかさご その)、小稲(こいね):大谷直子(二役)

中砂園(なかさご その)、小稲(こいね):大谷直子(二役)

旅に出た、士官学校教授の青地豊二郎(藤田敏八)と友人の中砂糺(原田芳雄)。その途中、彼らは弟の葬式に出席してきたという芸者の小稲(大谷直子)と出会う。
中砂糺(なかさご ただし):原田芳雄、小稲(こいね):...

中砂糺(なかさご ただし):原田芳雄、小稲(こいね):大谷直子

それから1年、中砂から結婚の報を受けた青地は、彼の家を訪ねることに。だが、妻だという園(大谷直子)が小稲とうり二つであることに驚かされる。
やがて、園は生まれたばかりの娘を残して逝去。
中砂の様子を見に行く青地だが、今度は小稲が乳母として娘を抱いていることに驚く。
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