以降28年、ロックに人生を捧げ続けて、近年では世界的ロックイベント「OZZFEST JAPAN」に出演、筋肉少女帯とのコラボシングルを出すなど益々精力的に活動している。
その人間椅子でギターとヴォーカルをつとめ、今年の2月1日には自伝「屈折くん」を刊行し類稀なる文才を発揮した和嶋慎治氏に、オカルトやミステリーに惹かれたきっかけ、「イカ天」時代の想い出、バンド名の由来にもなった江戸川乱歩作品について、さらに若いミュージシャンや他アーティストのカバーについて想うことまで、とことん語って頂いた。
オカルト・ミステリーについて
月刊『ムー』を愛読されており、オカルトやスピリチュアルの分野へ強い関心を示されている和嶋さんにオカルトについてお伺いします。
編集部
オカルト的なものに惹かれたのは何がきっかけでしたか?
もともとポー(エドガー・アラン・ポー)などの怪奇小説が好きだったこともありますが、直接的には、矢追純一さん制作の「木曜スペシャル」。
ユリ・ゲラーとUFOにノックアウトされました。
編集部
80~90年代は数多くのオカルト的な児童向け書籍やテレビ番組がありましたが、よくご覧になられていたのですか?
好きな本や番組があったら教えてください。
怪奇・探偵小説は、「シャーロック・ホームズ・シリーズ(偕成社版)」と「少年探偵団シリーズ(ポプラ社版)」で入り、後にポーやラヴクラフトを知りました。
特に好きだった本は、少年少女講談社文庫の『怪談』1~3巻。
第2巻の辰巳四郎のイラストが秀逸。
編集部
数多くあるミステリーで、どれか一つだけ真相を知ることができるとしたら、何が知りたいですか?
地球空洞説。地球の内部はどうなっているのか。
江戸川乱歩について
バンド名を『人間椅子』にしたり、アルバム名を『怪人二十面相』としたり、
江戸川乱歩と切っても切れない関係である和嶋さんに江戸川乱歩作品についてお尋ねします。
編集部
江戸川乱歩と人間椅子の作品に共通するおどろおどろしい雰囲気は、都会化・近代化された東京ではなかなか感じにくいと思いますが、青森県から上京された和嶋さんはどのように感じられていますか?
乱歩作品には、大正~昭和初期の上野・浅草あたりのモダンな都会の空気が流れているように思います。
もちろん、過去も現在も青森にはないものです。
僕はそこに、おどろおどろしさというより、きっとロマンを感じているのだと思います。
編集部
和嶋さんが選ぶ江戸川乱歩作品(書籍)のベスト5を教えてください。
「二銭銅貨」 「屋根裏の散歩者」 「鏡地獄」 「押絵と旅する男」 「蟲」 (発表年順)
編集部
2時間ドラマで放送されていた江戸川乱歩作品ではヌードの登場も多く、子供では堂々とエロに触れることができる数少ない楽しみでした。
人間椅子もミステリーと共にエロスをテーマにしたものが多いですが、やはりミステリーとエロスは切っても切れない関係なのでしょうか?
ミステリーとエロスというより、死とエロスが切っても切れない関係にあると思います。生を際立たせるために、死とエロスは両輪のように作用するのではないでしょうか。
純然たるミステリーには、むしろエロスは不要であるように思います(例:ポーの「黄金虫」)。
編集部
江戸川乱歩の作品は映画やドラマ、アニメなど長年に渡って映像化もされています。
お好みの作品はございますか?
また、もし和嶋さんが映像化を手掛けるとしたら、明智小五郎と怪人二十面相役の俳優は誰を選びますか?
すみません、個人的に乱歩のよさは短編小説(散文)にこそあると思っているので、映像化作品にはあまり興味がありません…。
対し、横溝正史は視覚化しやすいといいますか、優れた映像作品がたくさんあるように思います。
したがいまして、自ら小説のイメージを壊すような作業はしたくないのでした。
青森県弘前市出身。
大学時代、高校の同級生であった鈴木研一とハードロックバンド「人間椅子」を結成。
ギターとヴォーカルを担当。
手にしているのは、兵庫のエレキギター工房・Sago New Material Guitarsとの綿密な打ち合わせを経て生まれたシグネイチャーモデルギター「冥王~Pluto~」。