情報の発信源としては、今やインターネットは紙媒体、テレビなどよりもはるかに上であるように思います。
何より、自分たちが若い人の耳目に触れるようになったのも、おそらくインターネットからですから。
まだ把握しきれていないところもありますが、上手に付き合っていければと思います。
カバーすること、カバーされることについて
編集部
以前、テレビ番組の企画でブルーハーツ「リンダリンダ」やフィンガー5「恋のダイ
ヤル6700」から、「007」や「燃えよドラゴンのテーマ」まで様々なカバーをされて
いましたね。
カバーする曲の選曲は皆さんが行われたのですか?
印象に残っている曲はどれでしょう?
自分たちが面白いと思うものをカバーしていました。
ジミヘンの「パープル・ヘイズ」は、顔を黒塗りにしたりして、楽しく演奏できました。声も似ましたね。
編集部
自分たちの曲ではなく、カバー曲を演奏することの楽しさやそこから得られる気付きとかはあるのでしょうか?
いわゆる名曲をカバーしていましたから、いい曲ならではの構成、メロディなど、多くを学びました。
編集部
アマチュアによる人間椅子のカバーも動画共有サイトにアップされています。
カバーされる側の心境はどのようなものでしょうか?
素直に嬉しく思います。それは、何かしらの影響と楽しみを皆さんに与えているということですから。
編集部
動画共有サイトのコメントには「カバーアルバム」出してほしいという声もあります。
オリジナル曲だからこその人間椅子であると思う反面、人間椅子ならばどんな人のどんな曲を選び、どんな風にカバーするのにも興味があります。
今後カバーアルバムを出す可能性はありますか?
正直な気持ちをいいますと、カバーには他人の褌で相撲を取っているようなところがあるというか…。
一方、オリジナルは自分を表現することにほかならないと思います。したがって、オリジナル曲の方にはるかに魅力を感じてしまうのです。例えそれがカバーを越えられないとしても。
最新アルバム『異次元からの咆哮』について
「異次元」というフレーズ自体がどことなく昭和っぽいですね、懐かしいです(笑)
編集部
今回のアルバムでも和嶋さんは多くの作詞と作曲を手掛けていますが一番苦労されたところはどんなところでしょうか?
異次元という概念を、変に小難しく──つまり煙に巻くように──表現しないように心掛け、またそこに一番苦労しました。
編集部
今作でも「虚無の声」に般若心経の一節が使われていますね。 和嶋さんは大学で仏教を学ばれていましたが、お経からインスピレーションを受けることもありますか?
インスピレーションというより、そこに書かれていることは真実としか思えない事柄であり、概念であり、教えです。それを現代人に通用するように、しかもカッコよく、何とか伝えられないかと腐心する毎日です。
編集部
アルバム『異次元からの咆哮』のコンセプトについて教えてください。
世界が、我々に見えているものだけでないとしたらどうでしょうか。
動植物は、どうも人間みたいな生活苦を抱えているようには思われませんから、彼らはもしかしたら、極彩色のエネルギーのめくるめく空間に暮らしているのかもしれません。
人間はがんじがらめに条件付けされているゆえ、こう、としか現実を把握できないところがあります。
それがため、さらに世界は単調で苦しみに満ちた景色に見えてきます。
多次元、異次元、という考え方があります。世界は単一のものではなく、無限に折り重なり、そこには多様の存在がひしめいている──想像しただけで、何かわくわくしてきます。
ときに、音楽とは目に見えないものです。
我々が音楽を聴いて感動するのは、それが目に見えない、異世界への扉を開いてくれるからではないでしょうか。
今回のアルバムでは、様々の異次元の住人が登場します。あるいは、異世界の精神を持って現実で暴れまわる男も出て来ます。
まるで世界の閉塞感を、退屈さを嘲笑うかのように。
未知なるものへの対峙は恐怖を伴うものですが、それは自己の変容を促すものでもあります。
さあ、人間椅子と一緒に、怖くて楽しい異次元への旅行に出掛けましょう。
編集部
10月31日から『異次元からの咆哮』リリースを記念した全国ツアーがありますね。 意気込みをお聞かせください。
リリースツアーですから、アルバム収録の全曲を演奏します(一箇所で全部とはいきませんが)。
各曲ライブ仕様に様々の変貌を遂げていくでしょう。今から楽しみです。そして、皆さんを異次元空間にお連れできたら、不思議な世界を共有できたらと思っています。
それが皆さんの明日への元気になれば何よりです。