黒船の如く現れたブッダブランド!名曲『人間発電所』は日本語ラップのクラシックに!
2016年9月5日 更新

黒船の如く現れたブッダブランド!名曲『人間発電所』は日本語ラップのクラシックに!

無敵の3本マイクを擁し、DJ MASTERKEYを加えた4人組ヒップホップグループだった「ブッダブランド(BUDDHA BRAND)」。アクの強い油断ならないメンバー達が作り出した名曲『人間発電所』は影響力が大きく、90年代中盤以降に日本語ラップが盛り上がっていく原動力となった。

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黒船・BUDDHA BRAND(ブッダブランド)

95年、まだアンダーグラウンドな存在で、ヒットチャートやメジャーフィールドとは全く無縁なものと思われた日本におけるヒップホップシーン。

そこに正に黒船とも呼べるような革命的なグループがNYクィーンズより確信的に帰国した。それが、DEV LARGE、CQ、MASTERKEY、そしてNIPPSによるBUDDHA BRAND(ブッダ・ブランド)である

彼らはまず、自主制作にて1枚のアナログシングルをリリースした。噂は瞬く間に広がり、ありとあらゆるクラブのターンテーブルに彼らのレコードが乗り出した。

また、彼らのスタイルは、それまで日本語でラップする事の難しさや滑稽さとの葛藤を軽く飛び越え、有無を言わさぬ格好良さを見せつけた。それは本当に衝撃的な出来事で、一気にジャパニーズヒップホップシーンに勢いをつけた。
BUDDHA BRAND(ブッダブランド)

BUDDHA BRAND(ブッダブランド)

"スタートから他を寄せ付けず
圧勝 走り抜けてく猛スピード"

たとえ黒でも白と言い切るイルマティックMC'S!
ILLMATIC BUDDHA MC’S / 人間発電...

ILLMATIC BUDDHA MC’S / 人間発電所 [USED 12"]

デビュー曲「人間発電所」。
ALL代表曲のブッダブランドでも、頭一つ抜けた一曲。
今や日本語ラップのクラシックとされている。

≪グループ 概要≫

【結成】 1989年

【デビュー】 1996年(cutting edgeより)

【メンバー】
・『DEV LARGE』(MC)デヴラージ
リーダー。プロデュース及びトラックメイキングも担当。別称(a.k.a)はD.L、BOBO JAMES、大峠雷音、千目多移嘆、SON GOD 1など。

1969年、東京都渋谷区代々木生まれ。小学4年生の時に親の転勤に伴い、中学卒業までニューヨークで暮らす。

・『CQ』(MC)シーキュー
別称(a.k.a)は赤目のダルマのおじき、クーリーシャンなど。
1998年以降は、Maki(マキ)と共に結成した『キエるマキュウ』のメンバーとして活動。

・『NIPPS』(MC)ニップス
東京都台東区出身。別称(a.k.a)は飛葉飛火、緑の5本指、パピー飛葉など。
2007年以降は、TETRAD THE GANG OF FOUR、The Sexorcistのメンバーとして活動。

・『DJ MASTERKEY』(DJ)ディージェイ・マスターキー
東京都大田区蒲田出身。 別称(a.k.a)はROCKSMITH。「MASTERKEY」の由来は、本名の「まさき」の発音を文字ったもの。

自身のソロ作品や他アーティストのリミックス・プロデュースも手がける。
渋谷のクラブHARLEMのDJとしてイベント「DADDY'S HOUSE」を主催。
アクの強い油断ならないメンバー達

アクの強い油断ならないメンバー達

左からDEV LARGE、NIPPS、CQ、DJ MASTERKEY

BUDDHA BRAND(ブッダブランド) 来歴

1988年にCQ、DJ MASTERKEYがニューヨークに渡り、1989年にDEV LARGE、NIPPSと出会い、前身グループ「うわさのチャンネル」を結成。

1990年にグループ名をBUDDHA BRANDに改名し、本格的に活動を開始。

1995年に日本に帰国し、翌1996年5月22日、シングル「人間発電所」でcutting edgeよりデビュー。
同年7月7日に開催されたヒップホップイベント「さんピンCAMP」に出演。SHAKKAZOMBIEとのユニット大神としての出演や、DEV LARGEはLAMP EYEの「証言」のMCとしても出演した。

1996年12月4日、シングル「黒船」を発売。

翌1997年4月23日にシングル「ブッダの休日」を発売し、同年11月12日にもシングル「天運我に有り(撃つ用意)」を発売。

Amazon.co.jp: 「さんぴんCAMP」

1,535
日本のヒップホップにおいて伝説的イベントと語り継がれる「さんピンCAMP」。
中でもブッダブランド×シャカゾンビという二大グループによるユニット大神の『大怪我』は秀逸!

用意はいいかい?買う準備はいいかい?(笑)

※価格変動あり

Amazon.co.jp: 「ブッダの休日」 - BUDDHA BRAND

305
コアな部分を保ちつつ、さらに広い層の人間の耳を引き付けようとするブッダの意欲作。選び抜かれたループが次々と現れては消えていく、ひたすら気持ちいいトラックがとにかく秀逸。

※価格変動あり

Amazon.co.jp: 「天運我に有り(撃つ用意)」 - BUDDHA BRAND

2,824
97年のシングル「天運我に有り(撃つ用意)」に数曲を合わせ、ミニ・アルバムとして復刻。

※価格変動あり
1998年にDEV LARGEがレコードレーベル「EL DORADO RECORDS」を設立。

2000年1月26日、ミニアルバム『DON'T TEST DA MASTER』を発売し、同年3月15日にはベストアルバム『病める無限のブッダの世界 〜BEST OF THE BEST(金字塔)〜』を発売。
同年7月28日のフジロックフェスティバルに「BUDDHA BRAND & EL DORADO ALL STARS」としてEL DORADO RECORDS所属のLUNCH TIME SPEAX、SUIKENらと共に出演。

以降はBUDDHA BRANDとしての活動は休止状態となり、メンバーはそれぞれソロ活動や客演等で活動。

Amazon.co.jp: 「病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)」 - BUDDHA BRAND

1,100
BUDDHA BRANDのこれまでのベスト・トラックと新曲からなるCD2枚組・31曲を収録した作品。
まさに金字塔!!

発売当時、クラブで流れまくった『人間発電所』

90年代中盤にクラブ通いをしていた者にとっては、ブッダブランドの『人間発電所』を耳にする機会も多かっただろう。日本語を使ったかっこいいラップの曲がある!と衝撃を受けた名曲だった。

ラッパーのサイプレス上野がTBSラジオ『ザ・トップ5』に出演し、レコードが即完売した当時の状況を振り返っていた。

"「最初のファーストプレス。いわゆる1回目に刷ったのは青いステッカー。で、2回目は緑のステッカーで。それが『お前、そっちの色かよ?』ってバカにする対象になるぐらい、いきなり売れたやつで。」"とコメント。

また、彼の周りにいるヒップホップ好き「以外」の人にも、ブッダブランドは認められていたそうだ。当時高校生だった彼の思春期に強い影響を与えていると予想される。

BUDDHA BRAND 人間発電所

『人間発電所』はヒップホップの本場であるアメリカの影響が強く感じられる。

冒頭でCQが「病んでる BUDDHA 」とラップしている。
これは彼等が「病んでる」=「ILL」というスラングを用いて、自分達の独自性を示した点に由来している。

本来「病気」や「邪悪」、「不快」といった意味合いを持った「ILL」という英単語を、リリックに取り込むことで、「病んでる BUDDHA」≒「やばい BUDDHA」という意味に変化させ、リスナーに提示している。
それはアメリカ帰りで、得体のしれない存在感(いかれた言語感覚とも言われた)をまとった自分達をアピールするのに機能していた。

この曲では、CQだけでなく、DEV LARGEも自身のパートで繰り返し「ILL」をリリックに使用している。
CQは計4回、DEV LARGEは計6回。
ちなみにNIPPSは0回だった。それも自由奔放な彼らしい(笑)

『人間発電所』に関するエピソードでは、ジャケット撮影は同じく日本語ラップのクラシックとされる大神の『大怪我』と抱き合わせて行われたそう。
DEV LARGEが『ブッダだから浅草方面でいっぱい写真を撮りたいんですよ』と希望し、浅草周辺で撮ったそう。
当然、シャカゾンビのメンバーも呼んでいるのだが、彼らは待ち時間が多かったそう(笑)
『人間発電所』のジャケット写真

『人間発電所』のジャケット写真

右下のシール部分。実はCQが台に乗って背を高く見せている。
大神の『大怪我』ジャケット写真

大神の『大怪我』ジャケット写真

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