「ヘタレって何処?」その土地にはヘタレどころか熱い戦いの歴史があるのです。
2017年7月12日 更新

「ヘタレって何処?」その土地にはヘタレどころか熱い戦いの歴史があるのです。

「ヘタレ」。一度は言ったり使ったりしたことがあるかと思いますが、実は地名にもこの読みがあります。しかも結構ヘタレていない歴史があるんです。

692 view
「ヘタレ」。一度は言ったり使ったりしたことがあるかと思います。ヘタレとは
臆病で情けない様子、能力がなく物事がまるでできない様子、またはそうした人などを意味する表現
・・・と、『Weblio 辞書』には書かれています。また、ウィキペディアによると、
人を指す意味では、関西の方言が主にテレビの松竹新喜劇や吉本新喜劇などの喜劇番組、バラエティ番組、お笑い番組などを通じ、全国に広まった。この他、人を指す意味での類義語に「へちょい」、「へなちょこ」、「へっぽこ」、「屁たれ」などがある。
…とのこと。

さておき、「ヘタレ」。実は地名にもこの読みがあります。しかも結構ヘタレていない歴史があります。

「部垂(ヘタレ)」の地

平成27年10月21日、茨城県常陸大宮市と秋田県大館市は友好都市協定を締結しました。『広報 常陸大宮』平成28年2月号によると、この締結のきっかけは平成8年、当時大館市立城南小学校3年生だった吉田菜見さんが当時の大宮町長に送った一通の手紙だったそうです。

そこにはこう書かれてありました。
私が住んでいる部垂(ヘダレ)町の名前は、大宮町とどんな関係があるのですか
吉田さんは他の子どもたちから「へったれまち」と悪口を言われる町名「部垂町」の由来が気になり、図書館などで調べたそうです。すると、茨城県の大宮町と関係があるらしいことが分かりました。

常陸大宮・・・その昔は「部垂(ヘタレ)村」

実は常陸大宮・・・その昔は「部垂(ヘタレ)村」。時代を遡ること戦国時代・・・この地域には部垂(ヘタレ)城という城がありました。ついでに言うと、そのヘタレ城すぐそばにあった神社も「部垂大宮大明神甲宮(へたれおおみやだいみょうじんかぶとみや)」という名称でした。

当時このあたりを支配していたのは16代当主佐竹義篤(さたけよしあつ)で、その弟の部垂義元(へたれよしもと)がヘタレ城の城主でした。そして両者による一族内紛がおこります。これを「部垂(ヘタレ)の乱」あるいは「ヘタレ十二年の乱」と言います。元々兄弟仲が宜しくない兄・義篤vs弟・義元による12年に及ぶ壮大な兄弟喧嘩です。天文9年(1540)にヘタレ城落城・弟の負けで幕を閉じます。この喧嘩の終結=宗家争い決着→茨城といえば佐竹だよね、の流れができます。

ヘタレ城落城、その家来たちが後に「部垂(ヘタレ)衆」と呼ばれる

弟が負けてヘタレ城も落城、その家来たちが後に「部垂(ヘタレ)衆」と呼ばれるようになりました。そして16代当主の子で17代当主である佐竹義昭(さたけよしあき)が、江戸時代に徳川家康の命令で茨城から移動して秋田を治めることになった際、一緒に秋田へ移動しまして、そんな彼らが暮らした一帯を「部垂町(ヘダレマチ)」と呼ぶようになったのです。現在、大館市市内には部垂町の地名が残っています。さらに隣の桜町には義元を祭神とした部垂八幡神社があったりして、現在もヘタレの歴史を伝えています。
あれ、じゃあなんで、今はヘタレといわずに大宮(常陸大宮)と言うの?
そう、茨城には地名が残って居ません。

江戸時代末期、「ヘタレ」という語呂合わせが悪いという理由で、なんと、現地村民から改名願いが出されましてね(汗)。そして、天保14年(1843)にその願いが受理されて「大宮村」に改名されたのです。この大宮は、最初に書いた「「部垂大宮大明神甲宮」にちなんでいます。この神社も現在は「甲神社」と呼ばれていて、ヘタレ部分は消えちゃいました(涙)。ちなみにヘタレ城があった場所は、現在、私立大宮小学校が建っております。

まあ、でも、そんなヘタレていない熱い戦いが茨城にはあったのです。茨城の歴史に関わる壮大な兄弟喧嘩が。もうちょっと有名になっても良い様な気がする自分です。
15 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

北海道の地名の由来をご存知ですか?キーワードは「海」と「道」でした。

北海道の地名の由来をご存知ですか?キーワードは「海」と「道」でした。

ミドルエッジ世代ですとお子さんたちがいらっしゃる方も多いかと思います。そうしますと、きっと今頃、お子さんたちは夏休み。ああ夏休み。夏休みに家族でどこかに行かれた方も多いかもしれません。私が国内旅行先としてあこがれたのは北海道でした。ふと、思いませんか?「北海道」。なんでホッカイドウと言うのだろうか?と。
山崎敬子 | 970 view
各地に存在する蛇をモチーフに使う祭礼、なかでも世界一にもなった長い蛇を使った祭礼が新潟にあります。

各地に存在する蛇をモチーフに使う祭礼、なかでも世界一にもなった長い蛇を使った祭礼が新潟にあります。

春になりました。そろそろ路上に色々な生物が姿を現します。冬眠から目覚めた生物たちが。例えば、蛇。そういえばこのコラム連載の第1回で、地名と蛇について取り上げました。今回は、目線を変えて・・・同じ理由だけども知名ではなく祭礼で表現された蛇についてご紹介します。
山崎敬子 | 227 view
日本の国土はスサノオの体毛に覆われているってどういうこと??

日本の国土はスサノオの体毛に覆われているってどういうこと??

秋になりました。「読書の秋」「食欲の秋」。夏の暑さで心身ともにウンザリしていたところに涼しい風が流れて動きやすくなり、色々な意欲が湧く季節。そんな秋に、日本神話的コネタをば。
山崎敬子 | 290 view
「イロモノ」の由来をご存知ですか?

「イロモノ」の由来をご存知ですか?

9月に入り、秋を意識しだすこの頃。夏の風物詩のひとつ「ビアガーデン」が姿を消してしまう…そんなこの頃。先月、横浜市の「餃子の酔葉」さんで開催されていたビアガーデンに伺いました。このビアガーデンは何と、ビートきよしさんが企画されたものです。
山崎敬子 | 530 view
神様に性交渉のノウハウを教えた鳥が私たちの身近に今もいます。それは…?

神様に性交渉のノウハウを教えた鳥が私たちの身近に今もいます。それは…?

夏といえば思い出すテレビCMがあります。“キンチョーの夏、日本の夏”そう、“金鳥”こと大日本除虫菊株式会社さんのCMです。ミドルエッジ世代にはお馴染みだと思います。今回は、その金鳥さんの商標「鶏」を思い出し、日本神話の鳥のコネタです。
山崎敬子 | 1,903 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト