『ガンプラり歩き旅』その84 ~ハイなザクですハイザック。アイあるザクですアイザック!~
2021年6月21日 更新

『ガンプラり歩き旅』その84 ~ハイなザクですハイザック。アイあるザクですアイザック!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。 新展開では『機動戦士Zガンダム』(1985年)『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)まで、旧キットから最新のHGUCまで、商品の発売順に、再現画像と共に網羅紹介していこうという趣向になっております!

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『Zガンダム』放映当時のハイザックの設定画。上腕部パイ...

『Zガンダム』放映当時のハイザックの設定画。上腕部パイプの立体構造に注目

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『Zガンダム』モビル・スーツ辺りから、ガンプラでは「アニメ設定を馬鹿正直に立体化すると、可動軸が仕込まれているのに可動しない現象が起きる」ことは、旧キットのZガンダムや百式の回でも説明したが、ハイザックの場合はとにかく「上腕パイプが腕のロールと前方回転を妨げる」に集約されており、旧キットの1/100等ではパイプに軟質素材を採用したが、それでも上腕の可動範囲は「ひねる」程度が限界であった。
コロンブスの卵的発想で処理された上腕パイプ

コロンブスの卵的発想で処理された上腕パイプ

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かねてから「HGUCは、可動のために元デザインを変更することもある」と解説してきたが、このハイザックの上腕パイプも、HGUC版ではパイプの装着場所を、上腕ブロック真下にずらすことで、まずは腕全体の回転可動が確保され、その上で、肘関節ロールを前腕側に設けることで、肘がどの方向でも曲げられる自由さを持つようになった。
これは称賛されるべきデザイン改善であり、そう考えるとつくづく『逆襲のシャア』の旧キットヤクト・ドーガなどは(略)
その上で、色分けもそこそこ、可動もそこそこな時代なりのHGUC版である。
肩の開き角度と、首の上下可動

肩の開き角度と、首の上下可動

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可動領域と色分けに関しては、勝負すべき当時キットはむしろ1/100版であり、この2点においては、実はHGUC版は、地味に当時1/100キット版に負けている。
HGUCでは、肩は60度ほどしか開かず、首の上下可動も当時1/100とは引き分け。
肘の曲がり角度

肘の曲がり角度

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肘も90度いかず、ここも当時1/100版とは引き分け。色分けや「パイプは軟質素材」も、どちらもほぼ引き分けで、むしろ手首などは、旧1/100だと5本指すべてが独立可動する仕様になっていたりなど、当時の初動の気合の入り方が伺える。
脚部の前後開脚

脚部の前後開脚

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脚部の左右開脚

脚部の左右開脚

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下半身の方も、HGUCもまだスタートして2年目なので、それなりといったところか。
特に膝は、二重関節構造になっているので、作るときに期待はしたのだが、いざ完成してみると凡庸な可動範囲で終わっていた。
もっとも、ハイザック自体が、それほど派手なヒロイズム的ポージングをするメカではないので、大河さん自身はこの程度の可動範囲で充分だと思っている。

付属オプションは、ザクマシンガンとシールドだけ。
ヒート・ホークとかビーム・サーベルといった格闘戦用武装はついてないので要注意。というか、徹底的にローコストに走り過ぎなキットではある(笑)
付属シールも、モノアイ関係しかフォローしていないので、シールドの連邦紋章十字マークは、モデラーが塗装するか無視するかになっている。
シールドは基部で回転できるが、少しサイズが小さい……?

シールドは基部で回転できるが、少しサイズが小さい……?

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今回は、再現画像に出演させるに当たって、バックパックの2枚のウィング(?)先端を、量産型ザクカラーの薄いグリーンで、また『ガンダム』時代のザクマシンガンとの一番の変更点であるスコープ周り部分をモンザレッドで、それぞれ部分塗装したのみ。
ザクマシンガンを両手持ちで構えるハイザック!

ザクマシンガンを両手持ちで構えるハイザック!

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マシンガン本体の色も、アニメだともっと濃いグレーなのだが、今回は作業量はほどほどに。
ハイザック好きであれば、ぜひとも一度は旧1/100キットを組んでみることをお勧めする。
「アニメ(当時)用にクリンナップされた高機動型ザクⅡ」への機体が込められた、ガンプラ史でも屈指の名キットと言い切れるからである。


さて、お次は「頭にレドームのっけたハイザック」の、アイザックのHGUCの紹介である。
完成した(脚部に欠損パーツあり)HGUC アイザック

完成した(脚部に欠損パーツあり)HGUC アイザック

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このアイザック、どう見ても「頭に円盤を乗せた、青いハイザック」でしかないのだが、一応こちらは『Zガンダム』の機体ではなく、翌年の続編『ガンダムZZ』の第30話 31話『青の部隊』から登場した、旧ジオン残党みたいな「青の部隊」所属のモビルスーツ。劇中では砂漠戦で、『ガンダムZZ』の主人公・ジュドーのZガンダムと戦った。
頭のレドームがこれみよがしに後方に伸びているサイドビュー

頭のレドームがこれみよがしに後方に伸びているサイドビュー

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実はこのアイザックは、シミルボンの「『機動戦士ガンダム』を読む!」での『ガンダムZZ』再現画像では、当初は出すつもりはなかった。
今から2年ほど前に、とある企画のプレゼン用に、既存のガンプラのパーツの寄せ集めで、オリジナルのロボットの立体見本をでっち上げる必要があって、その時「ハイザックの両脚の脛のスラスター」が欲しくて、ヤフオクで、パチ素組数百円で出品されていたコイツを「あぁ脚のスラスターだけなら同じだし」で手に入れて、脚部スラスターだけ取り外して放置しておいた物だからだ。
ハイザックとは、また違ったデザイン感覚で高機動型ザクっ...

ハイザックとは、また違ったデザイン感覚で高機動型ザクっぽさを狙ったバックパックのバックビュー

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  • 通りすがりinその75 2018/10/14 17:44

    Ζ序盤にしても、前回大河原系と永野系の二極化を強調されておいでですが、なぜガルバルが大河原系、とか、マラサイはどうなの、とか以前に、「Mk-Ⅱ達とディアス達の差異」よりも「『Ζ』以前と『Ζ』の断絶」の方が大きい訳です。
    ハイザック等がより一年戦争寄りというのは後から俯瞰した時に感じる話で、何しろそれまではMS描写の進歩と言えばそれこそMSVや漫画「MS戦記」程度だったのです。
    デザイナー個人云々以前に「ジムⅡ以外徹底的に刷新されてる! 一作品のステージが丸ごと一段上がった! 」という史上空前の事件の衝撃の方が、当時の率直な時代感だった筈です。

    要は、物事の下手な単純化はミスリードを招くのでご注意くださいと申し上げたいのです。
    貴殿は富野フィルムを最重要視する立場の方とお見受けしますが、その視点だけでは特に「Ζ」以降の論評で人の共感を得るのは困難と思います。
    良くご承知されていないであろう事こそ、つぶさに調査分析されるのが肝要かと思います。
    今後更なるご活躍を期待するが故の生意気、何卒ご容赦ください。

    通りすがりinその75 2018/10/14 17:44

    最後という事であえて苦言を呈します。

    その75のコメントの続きですが、ΖΖ中盤の金型改修が台所事情故の窮余の策というのは不見識です。
    お金が無いのなら、当時新製品2種/月の発売ペースの中で、8月単月に新製品3種+金型改修3種発売というのはあり得ない訳です。
    むしろ本来の開発スケジュールを「前後」させて強引に金型改修をねじ込んだと考えるべきです。
    その目的はラインナップから、一年戦争色の濃い商品を短期間に大量に増やすテコ入れと容易に推察されます。
    つまりΖΖ序盤の商業上の課題は一年戦争色の薄さであり、その意味ではガルスやガザも「戦犯」側だったのです。
    それをご理解されていないのは、当時「富野ファンというよりはガンダムファン」という層の台頭と、それを覚悟で新しいフィルムを作っていたスタッフとの確執がより露呈した状況を見落とされているのではないでしょうか。

    市川大河 2018/10/13 18:32

    やのしんさん。ありがとうございました!
    ミドルエッジ事態がリニューアルするようですので、もしどこかのポータルサイト等で出会えることがあれば、その時はよろしくお願いします。

    やのしん 2018/10/13 09:54

    お疲れさまです。楽しかったです。また続きを楽しみに待ってます。

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