70年代に英国ツアーもやった『サディスティック・ミカ・バンド』
2017年10月27日 更新

70年代に英国ツアーもやった『サディスティック・ミカ・バンド』

1972年にデビューした『サディスティック・ミカ・バンド』。前衛的な音づくりと新感覚なステージパフォーマンスで、日本よりも先にイギリスで評価された同グループは、加藤和彦、高橋幸宏、つのだ☆ひろ、後藤次利らも所属した気鋭の音楽家たちの集まりでもありました。本稿では、そんな彼らの軌跡を振り返りたいと思います。

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2006年のテレビCMで話題になった『タイムマシンにおねがい』

「タイムマ~シンに お~ねがい~♪」

今から11年前となる2006年、キリンラガービールのテレビCMでよく流れていた『タイムマシンにおねがい』。筆者含め、このCMきっかけで同曲を知ったという人は、多いのではないでしょうか?
歌い手は、当時代表曲の『リルラ リルハ』などがヒットし、ノリにノッていた頃の木村カエラ。彼女の歌声と曲調が絶妙にマッチし、カエラのオリジナル楽曲だとたくさんの人が勘違いしていたものです。

カエラ版『タイムマシンにおねがい』

『タイムマシンにおねがい』を発表したのは、『サディスティック・ミカ・バンド』。活動を開始したのは1972年で、今から45年も前にさかのぼります。『タイムマシン~』のように、何十年経っても錆びつかず、歌い継がれる楽曲を作り出すだけあって、バンドメンバーはかなり豪華。そのメンバーの変遷をバンドの歴史と共に振り返っていきたいと思います。
サディスティック・ミカ・バンド

サディスティック・ミカ・バンド

加藤和彦と福井ミカの出会いがすべての始まり

サディスティック・ミカ・バンドの結成は、当時ザ・フォーク・クルセダーズのメンバーだった加藤和彦と、京都の平安女学院に通う高校生・福井ミカの出会いがきっかけ。
ミカは、同級生とフォークデュオを組むにあたり、かねてより大ファンだった加藤の楽屋へおしかけて「加藤さん、ギターを教えてください!」と依頼します。加藤は快くOKをし、そこから2人は親密になり、やがて恋愛関係へと発展していくのでした。
加藤和彦

加藤和彦

福井ミカ

福井ミカ

初代ドラマーとして、つのだ☆ひろが参加

1967年の秋以降、『帰って来たヨッパライ』『悲しくてやりきれない』などのヒットで、フォーク・クルセダーズは一躍、人気フォークグループとなります。それまで関西に住んでいた加藤は、仕事のために東京住まいに。それでも、忙しさの合間を縫って、ミカに会うため京都へ通い詰めたそうです。
加藤は大学生になっていたミカにプロポーズし、1970年7月に結婚式を挙げます。そして、1971年11月、サディスティック・ミカ・バンドを結成。初期メンバーは3人であり、加藤とミカの他には、当時、パワフルなドラミングと傑出したテクニックで数多の有名ミュージシャンから引っ張りだこだった、ドラマー時代のつのだ☆ひろが加わりました。
つのだ☆ひろ

つのだ☆ひろ

つのだの脱退後、当時20歳の高橋幸宏が加わる

この3人の正式メンバーに、高中正義(リードギター)と小原礼(ベース)を加えて制作したシングル『サイクリングブギ』でサディスティック・ミカ・バンドはデビュー。しかしその直後、人気ドラマーのつのだが自身のバンド活動を優先して脱退。代わりのドラマーとして、加藤はスタジオミュージシャンとして活躍していた当時20歳の高橋幸宏を迎え入れ、また、高中・小原を正式メンバーに加えて再出発を果たします。
高橋幸宏

高橋幸宏

世界的プロデューサーがアルバム制作に携わる

1973年、5人体制で発表したファーストアルバム『サディスティック・ミカ・バンド』は、日本において数千枚しか売れませんでした。しかし、輸入盤が出回っていたイギリスでは、一部音楽ファンの間でひそかな話題となり、同年7月21日付の英国の音楽新聞『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』では、大々的かつ好意的に取り上げられていたといいます。

その後、加藤の友人づてに、ピンク・フロイドを手掛けた名音楽プロデューサー、クリス・トーマスに渡りがついて、彼のほうから「ぜひプロデュースしたい」と連絡が入り、セカンドアルバム『黒船』を制作。レコーディングに約450時間かけた同作は、1974年11月に発表され、日本はもとよりイギリス、アメリカでもリリースされました。
黒船 サディスティック・ミカ・バンド

黒船 サディスティック・ミカ・バンド

世界進出の機運高まる中、ベーシストの小原が脱退。そのため、1975年7月からスタートした『ホット!メニュー』のレコーディングには、高橋幸宏の勧誘で、当時23歳の後藤次利が参加。この時の働きぶりが評価され、後に、正ベーシストに迎えられています。
後藤次利

後藤次利

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