森川美穂 5枚目のシングル『姫様ズーム・イン』
抜群の歌唱力を誇り、本格的な歌手志望であったがルックスに恵まれ過ぎたためにアイドル歌手としてデビューさせられてしまった。
キャッチコピーは『多感世代のヴォーカルヒロイン』。
森川美穂がしぶしぶアイドルをやらされセールスも伸び悩んでいた頃に出したのが、この『姫様ズーム・イン』。
タイトルの『姫様』は「ひめさま」ではなく、「ひいさま」と読むとのこと。
姫様(ヒイサマ)とは
《「ひめさま」の音変化》貴人の娘を敬っていう語。お嬢さま。おひいさま。
不良少女ノリ×エロエロな歌詞でブレイクを狙った『姫様ズーム・イン』
気が強く、自分の意見をしっかり主張する森川を、事務所は中森明菜のような『不良少女』のイメージでヒットさせることを模索していたようである。
デビュー曲『教室』では、高校中退という新人アイドルらしからぬテーマを起用している。
セカンドシングルから4曲目のシングルまで全てドラマやCMのタイアップが続いたが、セールス的には成功せず、前作『サーフサイド・ブリーズ 〜真夏の風』のオリコン最高位は自己最低の70位であった。
そこで、危機感を感じたのか従来の『不良少女ノリ』に『エロ』の要素を組み込んだのが『姫様ズーム・イン』である。
ツンデレ過ぎ!ぶっ飛びまくりな歌詞
ムカつくぜ イラつくぜ そのナヨっぽさ
ノーだか イエスか 決めてくれよ今夜…
可愛い顔してアララと驚いてしまう…
何を「決めてくれよ」なのかはこの後、徐々にわかってくる。
海沿いの パーキング 手も出さないで
星座の講義か… メゲてしまいそうさ…
私に手を出せよとイライラ。
この後マザコンとまで彼を罵る。
Shira Yuki姫はじめ
ほらリンゴは食べごろだよ
噛めば 愛の血が満ちる
Shira Yuki姫まじめ
もしオトコを感じたら
心にまで ズーム・イン
自らの体をリンゴに例え、食べごろだよと迫る。
2番の歌詞でエスカレートするテンション
カセットも アイドルじゃ ブチこわしだね
せっかく気分が 乗ってきてる時に…
お隣の ベンベから ハァ~ 息づかい
チャンスさ 一瞬 ヒシと抱いてみろよ
そういえば、昔はBMWをベンベと呼んでいた人も多かった。
現在は英語読みの「ビー・エム・ダブリュー」が一般的だが、昔はドイツ語読みの「ベー・エム・ヴェー」から「ベムヴェー」、そして「ベンベ」と派生した読み方をしていた。
Shira Yuki姫いじめ
もう芯まで熟れてるのに
照れて…てんでいくじなし!
Shira Yuki姫けじめ
キスひとつじゃ帰さない
おまえとイザ…ズーム・イン
「芯まで熟れてるのに」なんて歌でなければドキドキし過ぎるフレーズをサビに放り込んできた。
「姫はじめ」に始まり、「姫まじめ」、「姫いじめ」。
そして「姫けじめ」と繋げていく見事な流れ。
この作詞をした「ちあき哲也」は、五十嵐浩章「ペガサスの朝」、庄野真代「飛んでイスタンブール」、矢沢永吉「止まらないHa〜Ha」、少年隊「仮面舞踏会」などを作詞した人気作詞家である。
歌詞全体はこの後に紹介する森川美穂本人の動画でじっくり聴いて欲しい。
【解説】「姫はじめ」とは?
「秘め始め」→「姫はじめ」というのが語源であると言われており、夫婦やカップルが初めてエッチをする日である。
現在は一般的に、「姫はじめ」とは年が明けてから初めてエッチすることを指すことが多い。
なぜ、「ズーム・イン」なのか?
しかし、この『姫様ズーム・イン』はミノルタカメラ『AFテレ』のCMソングに起用されており、カメラをイメージさせる「ズーム・イン」をタイトルや歌詞に使ったというのが真相らしい。
【CM動画】ミノルタカメラ『AFテレ』のCM
歌詞が字幕で流れたら、きっと驚いた人も多かったのでは。
作詞:ちあき哲也、作曲:小森田実
ミノルタカメラ『AFテレ』のCMソング