【ジョージ・フォアマン】45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のボクサー
2020年2月7日 更新

【ジョージ・フォアマン】45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のボクサー

象をも倒すといわれたパンチ力で最強と呼ばれながら『キンシャサの奇跡』でモハメド・アリに敗れたジョージ・フォアマン。 一度は引退するもカムバックを果たし、20年ぶり45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のボクシング王者について栄光から挫折そして復活の経歴、モハメド・アリやマイク・タイソンとの比較、ヘビー級最強説を紹介。

69,110 view

『象をも倒す』と称された世界ヘビー級王者、ジョージ・フォアマン

1973年、ボクシング統一世界ヘビー級王座を獲得。
『キンシャサの奇跡』でモハメド・アリに敗れ、その後28歳の若さで引退。
1987年に突如復帰し、45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のチャンピオン、ジョージ・フォアマン。
ジョージ・フォアマン(George Foreman)

ジョージ・フォアマン(George Foreman)

本名:George Edward Foreman
1949年1月10日生まれ
アメリカ合衆国テキサス州マーシャル出身。
身長:192cm
リーチ:208cm
通称:ビッグ(BIG)

貧しい家庭に育ち、手の付けられない不良だった少年時代のフォアマン

ジョージ・フォアマンは母、継父と6人の兄弟姉妹の家庭で育った。
ガス代や電気代にも困るような貧しい家庭で、一つのハンバーガーを8つに分けて食べることことがご馳走であった。

そうした環境下でフォアマンは手の付けられない不良少年になっていく。
近所の人を恐喝して金を巻き上げるような有様で、中学校すら卒業しなかった。

だが、偶然テレビで目にした『君にもセカンドチャンスがある!』という職業訓練への呼びかけに参加することにした。
1度目の参加では誰とでも喧嘩ばかりしていたフォアマンだったが、2度目の参加でボクシングと出会い更生していった。

1968年、メキシコオリンピックでボクシング金メダルを獲得。

ボクシングと出会ったフォアマンは才能を開花。
身長192cm・リーチ202cmの当時としては恵まれた体格と圧倒的なパンチ力を武器に対戦相手を次々と破り、メキシコオリンピックで金メダルを獲得。
当時19歳、ボクシングをはじめてたった2年足らずでの出来事だった。

※五輪ボクシングは1984年のロサンゼルス大会からヘッドギア着用を開始しており、それまではパンチ力のある選手に有利に働いていた。
2016年リオデジャネイロ五輪の男子ボクシングは32年ぶりにヘッドギアなしで行うことが決定している。

【動画】メキシコ五輪決勝のジョージ・フォアマン

破壊力抜群のパンチで相手は流血。
復帰後の印象から『鈍重』なイメージのあるフォアマンだが、この時期はきっちりフットワークも使っている。
スピードある左ジャブの破壊力に注目。

プロ転向後、破竹の勢いでKOの山を築く。

オリンピック金メダリストとなったフォアマンは、即プロに転向。
1969年13連勝(11KO)、1970年12連勝(11KO)
1971年5月10日、NABF北米ヘビー級王座を獲得。
1972年5月11日、パンアメリカンヘビー級王座を獲得。
※どちらものちに返上

一度も負けることなく、世界王座へ挑戦することになった。
ここまで37戦全勝(33KO)
しかも、3ラウンド以内のKOが27回もある。

後に『フォアマン方式』と呼ばれる格下相手のブッキング

フォアマンのマネージャー兼トレーナーであるディック・サドラーは、神経質でメンタルに弱さを抱えるフォアマンの気質を熟知していた。
そこで、ジョージ・フォアマンが必ず勝てる相手を捜してはマッチメークし、後にフォアマン方式といわれたマネージメントでフォマンに強固な自信を付けさせていった。
(日本では亀田三兄弟が同様のマッチメークをしたことで亀田方式とも言われている。)

オリンピック金メダリストの実力と、プロでの自信を兼ね備えたフォアマンは遂に統一世界王座に挑戦する。
若き日のジョージ・フォアマン

若き日のジョージ・フォアマン

カムバック後の柔和な印象とは異なり、殺気と狂気を体から発していたフォアマンは撮影などにおいても苛立ちを隠さず不愛想に睨み付けるような写真が多かった。

一方で稼いだファイトマネーから恵まれない子ども達や施設に多額の寄付をする優しさも、この頃から持ち合わせていた。

ジョー・フレージャーを2RKOで倒し、統一世界ヘビー級王座を獲得。

1973年1月22日、統一世界ヘビー級王者ジョー・フレージャーに挑戦。
フレージャーはこの時点で29戦全勝(25KO)、モハメド・アリを判定で倒すなど4度の王座防衛に成功しており当時最強と呼ばれたチャンピオンであった。
(NYSAC世界ヘビー級5回防衛を合わせると9度の防衛全てに成功)
ジョー・フレージャー(Joe Frazier)

ジョー・フレージャー(Joe Frazier)

1964年、東京オリンピックで金メダルを獲得。
プロに転向し、1970年にヘビー級の世界統一チャンピオンとなる。
蒸気機関車のような突進力で「スモーキン・ジョー(Smokin' Joe)」と呼ばれた。
モハメド・アリをプロキャリアで初めて敗北させたボクサーでもあった。
身長:182cm
リーチ:187cm

『キングストンの惨劇』と名付けられた戦慄のKO

卓越したディフェンスでフォアマンの強打を巧みに躱すフレージャーであったが、リーチの長いフォアマンに突き放され、パンチを掻い潜り中に入るとショートアッパーが待ち受けていた。
なすすべもなく一度目のダウンを奪われ足が止まったフレージャーは、フォアマンの容赦ない豪打を浴び続け2Rで計6度のダウンを喫し、王座を奪われた。

モハメド・アリにも勝利し絶対王者と言われていたフレージャーが6度もキャンバスに転がされてしまった試合は会場の地名をとって『キングストンの惨劇』と名付けられた。

ともにオリンピックの金メダリスト、全勝かつ高KO率を誇る両者の戦いは接戦も予想されていたがフォアマンの圧勝に終わった。

【動画】ジョージ・フォアマン vs ジョー・フレージャー

WBA/WBC世界ヘビー級タイトルマッチ
1973年1月22日 
2RTKOで王座獲得

『象をも倒す』と称されたパンチで最強と呼ばれたフォアマン。

135 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

イベンダー・ホリフィールド  戦慄の忍耐力 オリンピック の悲劇  そしてヒーローに

イベンダー・ホリフィールド 戦慄の忍耐力 オリンピック の悲劇 そしてヒーローに

幼き日の聖書的体験。アメリカンフットボールとボクシングに熱中した少年時代。マイク・タイソンとの出会い。そしてオリンピックでの悲劇。
RAOH | 383 view
ジョージ・フォアマン 「老いは恥ではない」45歳で2度目の世界ヘビー級チャンピオンとなった象をも倒すパンチを持つ男

ジョージ・フォアマン 「老いは恥ではない」45歳で2度目の世界ヘビー級チャンピオンとなった象をも倒すパンチを持つ男

1968年、メキシコシティオリンピックで金メダル獲得。 1973年、無敵のジョー・フレージャーを倒し世界ヘビー級チャンピオンになる。 1974年、モハメド・アリにノックアウトされ、やがてリングから消えた。 1994年、マイケル・モーラーを逆転KOで倒して再び世界チャンピオンなる。 アーチ・ムーアやロベルト・デュランなど40歳を超えても戦い続けたチャンピオンはいた。 しかしジョージ・フォアマンは10年間のブランクを経てカムバックし、しかも世界チャンピオンになった。 彼はその間、牧師をしていて、復帰の理由も慈善活動の費用を稼ぐためだった。 少年時代、小学校を留年し中学校を卒業できず犯罪にさえ手を染めた彼が・・・ 圧倒的な強さ、栄光、勝利、すべてを失うような敗北、そして奇跡のカムバック。 まさにアメリカンドリーム。
RAOH | 16,631 view
やっぱりこの人が最強!?全盛期のマイク・タイソンは無敵だった!!

やっぱりこの人が最強!?全盛期のマイク・タイソンは無敵だった!!

マイク・タイソンは1985~88年といわれています。当時小~中学生だった私は、親父の見るテレビを一緒にみながらマイク・タイソンを知ったものです。全盛期から失墜までも早かったですが、その全盛期の試合は「グローブに何か入ってるんじゃないか?」と思うほど、相手とのパンチの威力の違いに驚いたものでした。
青春の握り拳 | 68,644 view
メイウェザーがパッキャオに勝利で再燃!アリ?タイソン?真の最強は誰か

メイウェザーがパッキャオに勝利で再燃!アリ?タイソン?真の最強は誰か

5月2日に行われるボクシングの「世紀の一戦」フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオ戦はメイウェザーの判定勝ちで終結。歴代ボクサーの中で最強はアリかタイソンか。パウンド・フォー・パウンドと呼ばれる男たちを紹介していく。
きちんとチキン | 155,554 view
イベンダー・ホリフィールド  圧倒的!!  無敵のクルーザー級時代。

イベンダー・ホリフィールド 圧倒的!! 無敵のクルーザー級時代。

悲劇のロスアンゼルスオリンピックの後、プロに転向。超タフなドワイト・ムハマド・カウィとの死闘を制しWBA世界クルーザー級チャンピオンとなり、WBA、WBC、IBF、3団体のタイトルの統一にも成功。すぐに「最強」の称号を得るため、マイク・タイソンが君臨するヘビー級への殴りこみを宣言した。
RAOH | 343 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト