ピンク・フロイドの素晴らしすぎるジャケット・デザイン
2016年10月23日 更新

ピンク・フロイドの素晴らしすぎるジャケット・デザイン

ロック界での名声を欲しいままにしているピンク・フロイド。毎回爆発的なセールスを記録したアルバムですが、音楽同様に話題となったアルバム・デザインは、ヒプノシスというデザイン集団が制作したものです。

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プログレの巨星、ピンク・フロイド

オリジナル・メンバー

オリジナル・メンバー

シド・バレット Syd Barrett (ギター、ボーカル)
1946年1月6日生まれ 2006年7月7日没 ケンブリッジ出身

ロジャー・ウォーターズ Roger Waters (ベース、ボーカル)
1943年9月6日生まれ ケンブリッジ出身

リチャード・ライト Richard Wright (キーボード、ボーカル)
1943年7月28日生まれ 2008年9月15日没 ロンドン出身

ニック・メイスン Nick Mason (ドラムス、パーカッション)
1944年1月27日生まれ バーミンガム出身
プログレことプログレッシブ・ロックを代表するバンド「ピンク・フロイド」。彼らが作り出した音楽は勿論すばらしいのですが、アートワークも最高です。

アルバム・ジャケットを手掛けているのはデザイン集団「ヒプノシス」で、バンドのロジャー・ウォーターズとシド・バレットの高校時代からの友人であり、ヒプノシスのリーダーであるストーム・ソーガソンです。
ピンク・フロイドの成功と比例してヒプノシスもまた名声を高めていくことになります。

では、ピンク・フロイドのアルバムと併せてアルバム・ジャケットも見ていきましょう。

The Piper At The Gates Of Dawn

夜明けの口笛吹き

夜明けの口笛吹き

1967年発売
売上枚数:-
ロジャーは「シド以外のメンバーは誰でもよかった」とまで言っていたようだが、それも納得。
たとえば画家のV・ゴッホなんかが音楽をやったら、こんな極彩色の孤独な世界を描いたのではないだろうか。
ドラッグの高揚感ではなく、内気なメルヘン作家が自ら暗黒メルヘンワールドの住人になってしまっているような、奇妙な違和感のある世界。

サイケと一言で片付けるには、あまりに異色。
不安感を強調するような不協和音、唐突な展開、暴力的なインプロビゼーション、明らかに「ラブ・アンド・ピースのヒッピー的サイケ文化」ではない。
時代は1967年、フリー・ジャズから影響を受けたというより、むしろ影響を与えた側だろう。
マイルス・デイビスの「ビッチェズ・ブリュー」には、このアルバムにインスパイアされたとしか思えない部分が見受けられる。
後のソニック・ユースに通ずるような殺伐とした歪なアンサンブルが、67年にして既に垣間見える。
後にAORのルーツになる成熟した大人のロックを奏でるメンバーが、前衛音楽をやってしまっている。

当時の演奏動画を見ると、シド本人は淡々とピロピロやっていて、周りのメンバーは高揚感に取り憑かれ妙なテンション。
ロジャーも薄気味の悪い笑顔を浮かべ、殆どノイズみたいな音を出し続けてたり。
シド自身が、メンバーにとっての麻薬みたいな存在だったのかもしれない。
【アルバム・デザインのこと】
サイケデリックというのを人物を使って表現するとこんな感じになるんでしょうかね。
日本のバンド「ミッシェル・ガン・エレファント」がシングルのジャケットでパロディをやっています。
ミッシェル・ガン・エレファント/ベイビー・スターダスト

ミッシェル・ガン・エレファント/ベイビー・スターダスト

A Saucerful Of Secrets

神秘

神秘

1968年発売
売上枚数:-
前作「夜明けの口笛吹き」と「神秘」のリリースの間にバンドメインライターのシドバレットはツアーによる過労とドラックの副作用で病気になり、代わりのギタリストにデイブギルモアが加入、一時期にはシドとデイブを合わせた5人編成で活動していたという過渡期の作品、メインのソングライターがロジャーに代わり、前作に見られた独特なトリップ感覚や危ない陽気さは薄くなった印象がある。しかし、つまらない先九品ではなく、4曲目なんかは前作をポップなイメージを引き継いでいるし、(間奏の「プーププープップップーププー」の部分のベースラインやリズムはビートルズの「フールオンザヒル」に似ている」 5の「神秘」は前作の「星空のドライブ」の世界をさらに発展させている。

 個人的なベストトラックは脱退したシドバレットが歌うシド作の「ジャグバンドブルース」、先の展開が読めない曲の進行やバンドの中のシドの微妙な立場を陽気に歌った変な歌詞がいかにもシドらしい。(以前ブートでこの曲の67年冬のライブを聴いたことがあり、ほぼ原曲通りに演奏されていて驚いた。) ロジャー主導のフロイドがこのアルバムからスタートした。このアルバムが売れなければ「狂気」や「ウオール」も生まれていなかったかもしれない。
【アルバム・デザインのこと】
これは素晴らしいデザインですね。とても綺麗で深みがあります。
前作に比べると大きく飛躍していると感じます。
但し、まだ技術的にデザインが上手いという領域ではないでしょうか。これ以降どんどん独自の領域というか、追随出来ない世界へと向かう、その扉を開く前の作品といえそうです。

Ummagumma

ウマグマ

ウマグマ

1969年発売
売上枚数:1,000,000枚
このピンク・フロイドの1969年発表のこの作品は最初から普通にライブ盤とスタジオ盤がカップリングされたちょっと変わった2枚組だ。聞く前は完全にライブはおまけでスタジオ盤目当てだったので、このライブ盤を聞いたときは正直ブッ飛んだ。今まで聞いてきたフロイドのサウンドとはちょっと違ってザックリしていてかなりハードな印象。4曲とも非常に緊張感溢れる演奏で、長尺な演奏なのに全くダレない。まさに60年代終盤のイギリスにタイムスリップしてライブ会場にいるような錯覚に陥る。中でも圧巻はCareful With That Axe Eugene。中盤の叫び声(?)からのスリリングな演奏はまったく鳥肌ものだ。一方、スタジオ盤のほうはかなり実験要素が強すぎてあまり魅力を感じない。それでもギルモアのThe Narrow Wayは『Atom Heart Mother』以降のフロイドを予感させる名曲。まさにこれぞ過渡期の作品なんだろうな。
【アルバム・デザインのこと】
小さな写真では分かりにくいですが、左上にある額の中の写真、レイアウトはそのままにメンバーがポジションを入れ替えながら永遠に続いています。
アルバム・ジャケットの中にアルバム・ジャケットがあり、またその中にアルバム・ジャケットが…。
ウマグマというアルバムを、ピンク・フロイドというバンドをなんとも上手に表現してますね。

Atom Heart Mother

原子心母

原子心母

1970年発売
売上枚数:500,000枚
メインは、オーケストラと共演した長尺の組曲。
ロックでも無いしクラシックでもジャズでも無いし、というジャンルレスな珍曲。
迷路に迷い込んだような、起承転結の不明瞭な薄気味の悪いメロディと、変な効果音が不可解さを増している。
中盤の現代音楽/ノイズな部分は混沌状態が徹底しており、異空間へトリップ出来る。
ドイツのバンド、ファウストより更にカオス。

その他の収録曲は、ぼそぼそ呟くフォークの小品や、やけに明るいのが逆に気持ち悪いビートルズ風の2つの楽曲。
ろくにライブでもやらなくなった、数合わせのやっつけ仕事。

そして、終曲の「アランのサイケデリック・ブレックファスト」。
朝食を貪り食う実況録音の上に、やたら牧歌的なインプロ風の演奏が乗るのだが、本気で何がしたいのか理解出来ない。
シド・バレットを狂人とか言ってた残りメンバーが作ったアルバムなのだが、こっちの方が確実に狂っている。
ジャケットのセンスも意味不明。
「レコード契約切って下さい」と言わんばかりの居直り感。
最高。
【アルバム・デザインのこと】
とても印象的なジャケット・デザインですし人気も高いのですが、なぜ牛なのかよく分かりません。
当時話題になっていた、ポップ・アーチストのアンディ・ウォーホルが作成した作品にインスパイアされたとのことです。
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