俺たちの旅
俺たちの旅 作品情報
放送期間:1975年10月5日 - 1976年10月10日
放送時間:日曜日20:00 - 20:54
放送チャンネル:日本テレビ系
出演者:中村雅俊 津坂まさあき 田中健 森川正太 岡田奈々 金沢碧 上村香子 瑳川哲朗 小林千登勢 北村和夫 津島恵子 岡田英次 八千草薫
別の視点から見ると、その日が楽しければ良いというお気楽なカースケに思いを寄せるバスケ部のマネージャー洋子との果てしない旅でもありました。
大学生はテレビドラマなんて観ていなかった時代「大学生を主役にしても当たらない」と言われ、それなら「10年後も見られる番組を作ろう」が合言葉だったそうです。
主役に”中村雅俊”さんが決まると、オメダとグズ六に”水谷豊”さんと”村野武範”さんがキャスティングされたのですが、主題歌を中村さんが歌うと聞いてお2人は降りられたという事です。
すると今度は中村さんが、「こんな女好きの役やって大丈夫なんですか?」と不安を口にされたそうで、脚本家”鎌田敏夫”氏がお酒を飲みながら説得され、あの自由奔放なカースケというキャラが見事に開花。
放映期間は2クール(半年)の予定でしたが、放送されるやいなや若者たちから圧倒的に支持され高視聴率を獲得したため、4クール(1年)に放映期間が延長されました。
放送日 | サブタイトル | |
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1 | 1975年10月5日 | 男はみんな淋しいのです |
2 | 10月12日 | 男はどこか馬鹿なのです |
3 | 10月19日 | 男はいつか歩き出すのです |
4 | 10月26日 | 男の友情は哀しいのです |
5 | 11月2日 | 女もなぜか淋しいのです |
6 | 11月9日 | 男の人生には色んな事があるのです |
7 | 11月16日 | 人はみなひとりでは生きてゆけないのです |
8 | 11月23日 | 男の胸には哀しさがあるのです |
9 | 11月30日 | 男はいつか愛を知るのです |
10 | 12月7日 | おふくろさんも女なのです |
11 | 12月14日 | 男はみんなロマンチストなのです |
12 | 12月21日 | 妹はちょっと甘えてみたいのです |
13 | 12月28日 | 男は自立したがるものなのです |
14 | 1976年1月11日 | 馬鹿がひとりで死んだのです |
15 | 1月18日 | 男の心はかよいあうのです |
16 | 1月25日 | 男には女の淋しさが胸にしみるのです |
17 | 2月1日 | 父親は淋しい生き物なのです |
18 | 2月8日 | 結婚するのも大変なのです |
19 | 2月15日 | 新婚旅行がまた大変です |
20 | 2月22日 | 本気になって生きていますか? |
21 | 2月29日 | 親父さんも男なのです |
22 | 3月7日 | 少女はせつなく恋を知るのです |
23 | 3月14日 | ついに東大に入りました!? |
24 | 3月21日 | 男の道はきびしいのです |
25 | 3月28日 | やっと卒業いたしました |
26 | 4月4日 | 男は力いっぱい生きるのです |
27 | 4月11日 | うちの嫁さんチョコちゃんなのです |
28 | 4月18日 | 木もれ陽の中に想い出が消えたのです |
29 | 4月25日 | 生きるのがへたな男もいるのです |
30 | 5月2日 | ふられ男が旅に出ました |
31 | 5月9日 | 大嫌いがやってきました |
32 | 5月16日 | 愛するってどういうことですか? |
33 | 5月23日 | 妹の涙をある日見たのです |
34 | 5月30日 | 気楽に生きればなんとかなります |
35 | 6月6日 | 一緒に仕事をはじめました |
36 | 6月13日 | 男には美しさがあるのです |
37 | 6月20日 | お兄ちゃんはお母さんの恋人です |
38 | 7月4日 | 哀しい愛もあるのです |
39 | 7月11日 | ニッポンの将来はどうなりますか? |
40 | 7月25日 | やさしさだってあるのです |
41 | 8月1日 | 生きてる限りせつないのです |
42 | 8月29日 | 男は生きがいをもとめるものです |
43 | 9月12日 | 愛しているから別れるのです |
44 | 9月26日 | 友情ってなんでしょう? |
45 | 10月3日 | 愛しているから哀しいのです |
46 | 10月10日 | 男の旅はいつまでも続きます |
1985年9月4日 俺たちの旅 十年目の再会
1995年9月1日 俺たちの旅 二十年目の選択
2003年12月16日 俺たちの旅 30年SP 三十年目の運命
男達の10年後・20年後・約30年後を描いたSP版が放送されました。
又、リメイク版として、
1999年7月3日から9月11日まで「土曜ドラマ」枠で「新・俺たちの旅 Ver.1999」が放送されましたが、こちらは「V6」のカミセン森田剛さん・三宅健さん・岡田准一さんが主演でまったく別の物語として観た方が良いですね。
最終回 男の旅はいつまでも続きます
青春ドラマ…“俺たちの旅”の最終回のエンディングの“ただお前がいい”の曲の最後に映し出された言葉…
— “侍” Suzuki (@SamuraiSuzuki) December 3, 2017
それぞれの人生変われど…
飾る事無く…ただお前がいい~
そんな人間でいい…
何か幸せな時代でした? pic.twitter.com/yZaaCtUrhu
最終回では、カースケにずっと思いを寄せている大学時代の同級生「洋子」が仕事で南米へ行く決断を迫られます。行けば何年も帰ってこれないのでカースケに「行くな!」と止めて欲しいのですが、心とは裏腹にカースケは南米行きを勧めてしまいます。オメダが今も洋子を好きなことを知り悩んでいたからです。
洋子の事が好きなカースケの本心を見抜いているオメダの母から説教され、洋子を引き止める為に鳥取出張中の洋子の元を訊ね「行くな!」と伝えるカースケ。でも、洋子は南米行きを決めてしまいます。
「津村君があんなに悩んでくれて、津村君の気持ちが嬉しかったの。だから行くことにしたの。私、津村君を苦しませたくない。中谷君も苦しませたくない。好きなんだもん。両方とも。」
社会人として自信を持って生きていると思えないカースケには、洋子を強く引き止める事ができませんでした。
お互いの気持ちはわかっているのに交わる事のない人生。
そしてエンディングは、大きなヨットで大海原を行く3人の姿が映し出されます。
六畳一間に3人で住む男達が大きなヨットとは・・・物語の内容と合ってる?とも思いますが、これからも3人で協力して社会の荒波を乗り越えて行くという事を表しているようです。
(ワカメは?…笑)
俺たちの旅 十年目の再会
それもそうです。30代に突入しもがき苦しみながらそれぞれの人生を歩んでいました。
カースケ:独身 実業家として海外を飛び回り仕事は順調で女性にも不自由しない生活を謳歌している。
グズ六:既婚 実家の土地に両親が建てたマンションの一角でNSサービスという会社を設立。
オメダ:既婚 勤めていた会社が倒産し、妻の実家(鳥取県米子市)に身を寄せている。
ワカメ:既婚 農協の貸付係
洋子:地味な生活の中 旦那に浮気され離婚を切り出されている。
本編のエンディングでヨットに乗って大海原へ漕ぎ出した3人の友情は何処へ~熱い青春時代を共に過ごした男達でしたが、意外にも疎遠な関係になっていました。
失踪してしまったオメダを探すためにカースケ、グズ六、洋子が久しぶりに米子で再会し探しに行くというストーリー。
オメダは何をしてもうまくいかず、鳥取に来て妻の実家でますます自分が惨めになっていく中 カースケが世界中を飛び回って活躍していると聞き自己嫌悪におちいり失踪、そして、隠岐の島で旅館をやっている子持ちの女性の家で暮らしていた。
隠岐の島でオメダを探しだし説得する3人。
久しぶりに再会したカースケと洋子は一段落すると二人きりになり、カースケが「俺のところに来いよ」と初めて洋子にプロポーズ。学生時代からずっと思い続けていたカースケからの初めての言葉に旦那と別れる寸前の洋子は「同情」を感じ取ったようで、「津村君に同情されるなんていやよ」と拒否。
米子駅へ向かった洋子を追いかけホームで必死に探すカースケと、物陰に隠れながらカースケの姿を目で追う洋子。
又しても2人の人生が1つになる事なく洋子だけを乗せて走り出す列車。
ラストは、カースケ、オメダ、グズ六の3人が一緒にオメダの奥さんに謝りにいくコミカルなシーンになっていますが、熱い青春も10年経てば生きる為に青くさい事ばかりも言ってられない現実が描かれています。
俺たちの旅 二十年目の選択
カースケ:海外で知り合った女性と結婚し妻の実家の会社の社長に就いている。小学受験を目指す息子が1人。
グズ六:10年前と同じ会社を経営しているが、浮気が原因で家を追い出され一人でアパート暮らしをしている。
オメダ:10年前と変わらず鳥取で生活している。
ワカメ:2度目の結婚をし身延山で温泉旅館を継いでいる。
洋子:離婚後、新たなパートナーと生活している。
「~十年目の再会」からの10年の間にカースケが結婚し妻の実家の社長となっていたが、豪邸で仕事熱心な良きパパとして生活していると思いきや、妻は嫉妬心が強く常にお供の運転手に見張られている状態。おまけに教育熱心な妻に反発しながらも尻に敷かれている事を嘆いている。
「お前、変わったな」と慰めるグズ六。
そのグズ六は、知り合いからスペイン・マジョリカ島のホテルの支配人の仕事を打診され、浮気相手と残りの人生をマジョリカ島で暮らそうと本気になり、家を追い出されていた。
実家のある身延で温泉旅館を継いだワカメが、久々に皆に会いたいと「カースケ、オメダ、グズ六、真弓、洋子、紀子」招待する。
10年ぶりのカースケと洋子の再会。思い出話をしながら素直な気持ちを吐露する2人。
「私、あの頃、苦しかった。あんなに一生懸命、人を好きになれることって、もうないと思う。あんなに人を好きになれて、本当によかったって、今思ってる。」
「いいことなんて、なかったろ?」
「そんなことない。あんなに好きになれたんだもの」
その後、会食のシーンは一変して修羅場。
グズ六の妻・紀子さん、おまけに何故かカースケの妻まで押しかけてきて女性や洋子がいることを知り険悪なムードに。泣きながら出て行った妻をうろたえながら追いかけて行くカースケ。
妻をなだめて戻ってきたカースケに洋子が
「津村君にはそんなにうろたえてほしくない。津村君。もっと堂々としていた。勝手でいい加減で、もっと堂々とした。そんな津村君が好きだったの。奥さんのやきもちでおろおろする津村君、わたし見たくない。
私の中の津村君は、そんな人じゃない」
洋子の強烈な言葉に呆然とするカースケ。
自分が一番嫌っていた自分らしさのない人生に甘んじていた事に気づき、残りの人生を自分らしく生きようと、グズ六が言っていたマジョリカ島へ行くことを決意。
妻にマジョリカ島行きの話をするが、子育ての方針でも対立。「子供を大きな空の下でのびのびと育てたい」というカースケの思いは妻には響かない。
逆に妻からは「あなたは洋子さんに会ってから変わった」となじられる始末。
洋子に背中を押してもらいたいカースケは洋子に2度会いに行く。
1度目は、会社を辞めてマジョリカ島に行くと告げ「今の人生を変えたいんだ」と伝える。洋子から「昔の津村君に戻ったね。」と言ってもらえると思っていたカースケだったが、
「奥さんも一緒に?」
「簡単に拒否された」
「駄目よ、津村君」
「一人じゃないんだから。もう」
そして言い出しっぺのグズ六はマジョリカ島に「行かない」と言い妻の元へ戻ると言う。
グズ六のアパートでオメダと3人で集まる。
オメダは市長に立候補することになり張り切っている。グズ六は妻に許してもらい家に戻る。
2人は年相応の人生を選択しているが、カースケは社長の地位も家族も捨ててマジョリカ島へ行く決意をしている。
グズ六「お前はお前らしい生き方をすればいいんだ。いつかきっと女房と子供もわかってくれるよ。お前にとっては大事なことだったんだということが。行ってこい、好きなところへ。これが俺がしたかった生き方だ。それを見せるのも女房や子供への責任だ。俺はお前たちのために人生を我慢して生きてきたんだ!そんなものは責任でもなんでもない。」
オメダ「カースケ、お前は昔よくいってたじゃないか?人生をそまつにするなって。人間ってもっと自由なんだって。生きていくことは楽しいことなんだって。」
この言葉で3人が熱く過ごした青春時代が蘇り、カースケの背中を強く押してくれたのだった。
「俺は洋子に言われて自分の人生を大事にしたいと思ったんだ」と訴える。
思いとどまる様に説得する洋子。
「行けって言ってくれよ。洋子」
「あなたはカースケじゃないの、って言ってくれよ」
「勝手で、いい加減で、でも、もっと堂々としてたって。 そう言ってくれよ、洋子」
しばらくの沈黙の後、
「これが津村君らしい生き方よ。」
「それでいいのよ」
一番背中を押して欲しかった、救いを求めた洋子の言葉に安心したカースケは「じゃあ行くよ」と決意を決め歩き出していく。
「津村君」と大声で呼び止める洋子の口から出言葉は、
「子供が。生まれるの」
「あたし、一生懸命幸せになったの。」
「10年前、津村君と別れてから、一生懸命幸せになろうと思ったの」
「だから津村君も幸せになってほしい」
カースケの顔をまっすぐ見ながら涙を流し、絞り出すように話す洋子。
又ここでも結ばれる事のない2人、それは敢えて洋子がカースケの為にカースケがカースケらしく生きられるように選んだ選択なのではないでしょうか。