【空手家】八巻建志(前編) ~それはふざけた兄が入れたソリコミから始まった~
2018年3月5日 更新

【空手家】八巻建志(前編) ~それはふざけた兄が入れたソリコミから始まった~

その肉体、その身体能力、その空手は圧倒的。極真空手の全日本大会と世界大会で優勝。100人組手という荒行も達成した。しかしその格闘技を始めたきっかけは、兄がふざけて入れた剃り込み、そしてイジメに対する報復だった。

57,102 view
準決勝は、過去に2回も1本負けをした増田章だった。
試合開始早々、増田章は正拳を連打しラッシュ。
八巻建志は腰をしっかり落とし下段回し蹴りで内足を蹴って突進を止め、逆に正拳を打ち込んだ。
中央でもつれ合い主審が分けると両者は激しく睨みあった。
2分、増田章は体を密着させ接近戦で拳をボディに叩き込む。
この時、少し下がった増田の頭部を八巻建志が右膝で突き上げ顎を打ち抜いた。
増田章はガクッとのけぞったが、しかしそのまま体をあびせて一緒に倒れこんでダメージを覆い隠した。
延長戦で八巻建志は下段回し蹴りから右ボディフックをいれ前屈みにさせ、膝蹴りを連打。
増田章は防戦一方となってずるずる下がり判定勝ち。

Kyokushin Karate 極真空手 第21回全日本決勝 八巻VS田村

決勝戦の相手は、田村悦宏だった。
田村悦宏は元ラグビー選手。
体重110kgの体で重い突きと下段回し蹴りで相手を圧倒するスタイル。
試合は壮絶な打撃戦となった。
2人は試合場の中央で足を止めて突き合い蹴り合った。
本戦、延長戦ともに両者1歩も引かず再延長戦へ。
八巻建志が後ろ回し蹴りから踵を落とすと田村悦宏は重い拳の突きから右の下段回し蹴り。
再延長戦でも決着はつかず、体重判定でも110kgと103kgで規定に足らず。
延長2回を戦い決着がつかず、体重判定も10Kg以上の差がなかったため試割り判定となるはずだった。
それだと田村が勝っていた。
しかし
「これは決勝戦なので完全決着しなければならない」
という大山倍達総裁のツルの一声で3度目の延長戦へ突入。
重戦車のごとく突進する田村悦宏に、八巻建志は突きを連打し膝蹴りをボディに突き刺した。
これで勝負が決まった。
八巻建志は、ついに日本一になった。

極真会館 第21回全日本空手道選手権大会(1989年)

124 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

石井和義の流儀 月給11万円の指導員は突如クーデターを起こした

石井和義の流儀 月給11万円の指導員は突如クーデターを起こした

「アマチュアは勝利にこだわる。当たり前の事です。アマチュア競技は参加料を払って、競技大会に加わり、勝ち負けを競い、栄光の証としてトロフィーや賞状を授与される。勝利のために努力精進する過程において肉体と精神を鍛える それがオリンピック精神であります。しかし、プロ精神は違います。お客様を感動させ満足させて、いかに勝つか、いかに負けるかです。それが銭が稼げるプロ、プロは稼いでなんぼです」
RAOH | 50,466 view
【空手家】八巻建志(後編) ~俺の前に立ったら30秒と立たせておかない~

【空手家】八巻建志(後編) ~俺の前に立ったら30秒と立たせておかない~

極真空手の全日本大会で初優勝した八巻建志 は、自分は日本一、世界一強いと思った。 しかしその後、バイク事故で彼女に大ケガを負わせてしまう。 以後、5年間、地獄をさまよった後、復活し、2度目の全日本大会優勝、100人組手達成、世界大会優勝。 最強の空手家となった。
RAOH | 118,491 view
松井章圭 極真の継承者

松井章圭 極真の継承者

世界大会でアンディ・フグに勝って優勝した後、選手を引退。 やがて大山倍達とケンカ別れして極真を飛び出した。 ‘‘イトマン事件‘‘を起こした許永中、``政界最後のフィクサー``と呼ばれた福本邦雄のもとで働き、3年後、復帰。 大山倍達の死後、極真会館の2代目館長に指名されるも、先輩や後輩である支部長たちと内紛が起こり、極真は分裂した。 一見、クールだが1番ガンコな松井章圭館長は、自らの信じる方向に進み、道を拓いていった。
RAOH | 52,673 view
松井章圭  華麗な技と不屈と精神を併せ持った天才空手家

松井章圭 華麗な技と不屈と精神を併せ持った天才空手家

「一撃必殺」 数ある格闘技・武道団体の中でも超硬派に最強を追求し続ける極真空手。 独特の厳しい稽古により数々の猛者が排出されたが、中でも松井章圭は異色の存在。 突き(パンチ)と下段回し蹴り(ローキック)だけでなく、上段回し蹴り、中段回し蹴り、後ろ回し蹴りを多用する華麗な組手。 無表情な中にも、内に秘めた激情。 黒澤浩樹など科学的なトレーニングによるアスリート型の空手家が台頭していく中で、武道的、武術的な空手の強さを追求し体現した。 最年少黒帯。 最年少全日本大会出場。 全日本大会連覇。 100人組手完遂。 世界大会優勝。
RAOH | 24,538 view
黒澤浩樹  圧倒的な空手家  驚異の下段回し蹴り 格闘マシン  ニホンオオカミ 反骨の戦士

黒澤浩樹 圧倒的な空手家 驚異の下段回し蹴り 格闘マシン ニホンオオカミ 反骨の戦士

他の一切を拒否し「最強」を目指すことのみに生きた男。 敵の脚と心をへし折る下段回し蹴り(ローキック)。 ルール化された極真空手の試合においても、ポイント稼ぎや体重判定、試割判定で無視し、倒すこと、大きなダメージを与えることを目指す姿は、まさに孤高のニホンオオカミ。 また指が脱臼し,皮だけでぶら下がっている状態になったり、膝の靱帯が断裂しグラグラになっても、絶対に自ら戦いをやめない格闘マシン。 総合格闘技やキックボクシング(K-1)への挑戦し戦い続けた反骨の戦士。 黒澤浩紀は、最期まで退くことを知らず死んでいった。
RAOH | 50,874 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト