ゲームの世界観を広げてくれるBGM、ゲームサウンド(音源)の歴史と代表的なゲームを振り返る。
2016年9月29日 更新

ゲームの世界観を広げてくれるBGM、ゲームサウンド(音源)の歴史と代表的なゲームを振り返る。

ファミコンなら”ブピブピ”、FM音源なら”ギュイーン”。ゲームサウンドには音源ごとの特徴や代表的なゲームがあり、私たちはいまでもそれらのBGMを憶えていたりするものです。そんなゲームサウンドの歴史、名曲と呼ばれたゲームを振り返っていきましょう。

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Senjo no Ookami

1980年代後半~1990年代前半のゲームサウンド

FM音源やPCMなど、様々な音源が登場

技術の発展に伴って様々な音声処理系が登場した時期で、なかでも正弦波を基に乗算を含めた複雑な演算で波形を合成するFM音源や、任意の波形を使用できるPCMが主役を担っていました。

FM音源は1984年から1985年にかけてNECの8ビットパソコン(SRシリーズ)で採用され、家庭用ゲーム機ではセガ・マスターシステムで初めて標準搭載(セガ・マークIIIでも別売りのFMサウンドユニットを装備することでFM音源を鳴らす事が可能)。

以降、多岐にわたるパソコン・家庭用ゲーム機の主流音源となりました。

PC-88&98 FM音源 ファルコム テンションが上がる音楽集 (Falcom Tension rises FM Music Collection)

ファミコンのディスクシステムにはPWM音源、MSX向けにコナミが開発したSCC音源

ゼルダの伝説 オープニング比較

音源性能やサウンドプログラマの技量がサウンドの質に反映される時代

PCM音源は記憶容量・処理速度的に本格的な実用段階に達したのがこの時代でした。
同時発音数も増加し、こうした高性能な音源によって音の自由度が格段に向上、ピアノやトランペット等実際の楽器に近い音を出すことも可能になりました。

とは言え、当時はまだ発展途上の部分も多く、そのためこれら新音源と従来のPSGの組み合わせで各々の弱点をカバーし合う処理系なども多く見られることに。
この頃の楽曲の特徴としては、音声処理系の向上によって得られた新しい音色やアンサンブル方法に主眼が置かれていることが多いという点が挙げられる。いかにサウンドを豪華にしようとしても限界があった1980年代前半とも、誰でも簡単に高音質を手に入れられる現在とも異なり、この時期は音源性能やサウンドプログラマの技量が大いにサウンドの質に反映され得る状況にあり、そのためサウンドにこだわりのある制作者達がより高品質なミックスを目指してしのぎを削っていったのである。その結果、1980年代前半と大差ないサウンドのゲームもあった一方で、優れたサウンドプログラミングによってオーケストラに迫る様な曲も作り出された。例えば古代祐三は『イース』の頃よりFM音源を駆使しその性能を余すことなく使ったBGMを作成した。また後年古代によるスーパーファミコンで発売された『アクトレイザー』はオーケストラを髣髴とさせる高品質なもので、その当時の水準とは比べものにならないレベルの高さに『ファイナルファンタジーIV』の開発スタッフは衝撃を受けたという。

いまでも非常に評価の高いスーパーファミコン「アクトレイザー」

【SFC】アクトレイザー(ActRaiser)を普通に攻略 part1/7

音源構成はゲームセンターで聴き取れる音にも大きく変化を与えます。

FM音源は金属的な音を発音可能ですが多用すると曲全体の中域が薄くなること。
またPCMで人声を発音させる使い方も増え、「人声を目立たせBGMは脇役に回る」音響手法がカプコン「ストリートファイターII」の大ヒット以降対戦格闘ゲームを中心に多用され、それとともに業務用ゲームでのBGMの多くは影が薄れていくことに。

1990年代後半~2000年代のゲームサウンド

セガサターン、プレイステーションの頃から、次第にディスクメディアが主流に。
メディアの大容量化、ハードの高性能化により、「限られた音色で多くの曲を鳴らす」という制約が大幅に緩和され、さまざまなジャンルの音楽がBGMとして取り入れられるようになりました。

また、録音済みの音楽をストリーミングで流すという方法もしばしば登場するようになり、ゲームBGMは鑑賞用に販売されている通常の音楽CDと同等の品質を獲得するに至り、21世紀初頭現在の主なゲーム機の音声処理系はPCM系の録音済み波形を用いる方式が主流になっています。
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