手に負えないほどの暴れん坊
しかし、厩舎にに入厩したレガシーワールドは気性の悪さを見せます。厩舎スタッフの指示には全く従わない、更には人間や馬を威嚇するなど暴れ放題。元々父・モガミの産駒には気性難の馬が多く、レガシーワールドもその例にもれず気性の悪さを受け継いでしまったのです。
それでも何とかデビューまでこぎ着けたレガシーワールド。3歳の8月・函館の芝・1200m戦でデビューします。単勝人気は13.5倍の4番人気に支持されたレガシーワールドでしたが、気性難に加えゲートの出が悪く、スタートで出遅れてしまいます。結局スタートでのロスを取り返すことは出来ず4着に敗れます。
治らぬ出遅れ、ついに去勢することに
なかなか改善されない気性難に調教師の戸山はある決断を下します。このままでは能力を発揮することなく終わってしまうと考えた戸山は、この休養期間中に去勢することにしたのです。骨折も癒え、迎えた復帰戦は、6月の福島、芝・1800mのレースでした。しかし、レガシーワールドは発走前に騎手を振り落としてしまい、競走除外となってしまいます。
素質開花、快進撃開始
去勢手術により癖になっていたスタートでの出遅れも改善され、レガシーワールドはレースでも先行することができるようになりました。これで成績も安定、その素質が一気に開花します。続く新潟での1戦、芝・2200mの三面川特別は3着に敗れてしまいましたが、舞台を函館に移し、ここからレガシーワールドの快進撃が始まります。
重賞・セントライト記念制覇
1992 セントライト記念 レガシーワールド
レースは単勝7.3倍の4番人気に支持されたレガシーワールドが逃げる展開に。最後の直線、ダービー2着のライスシャワーに一度交わされますが、もう一度差し返す勝負根性を見せアタマ差をつけての勝利。ついに重賞を制覇します。しかしレガシーワールドは騙馬であったため、菊花賞トライアルを勝利しても本番の菊花賞には出走することができませんでした。
同期・同厩にはあのミホノブルボンが
その後菊花賞に出走したミホノブルボンはライスシャワーと対戦しますが、ライスシャワーの力は戸山が考えていた以上のものだったのです。3冠がかかっていたこのレースでミホノブルボンはゴール手前でライスシャワーに交わされてしまいます。ミホノブルボンの3冠はあとわずかのところでするりとその手をすり抜けていきました。
ミホノブルボン 第8戦菊花賞 G1 芝3000(良)
いよいよGI挑戦
レースはレガシーワールドが同期のミホノブルボンのように逃げる展開に。ミホノブルボンのような逃げ切りとはいきませんでしたが、10番人気ながら4着と頑張り健闘を見せます。陣営はレガシーワールドがGIでも十分勝負になると自信を深めました。
続いて挑んだのは年末のグランプリ・有馬記念。前走ジャパンカップの好走でこの日のレガシーワールドは単勝13.4倍の5番人気。レースは単勝15番人気のメジロパーマーが逃げる展開。誰もがゴールまでには捕まるだろうと思っていたメジロパーマーはあれよあれよという間に2500mを逃げ切ってしまいます。レガシーワールドはゴール前猛然とメジロパーマーに襲いかかりましたが、ハナ差届かず無念の2着。負けはしましたが、GI勝利はもう手の届くところまできていました。
待望のGI勝利
1993 ジャパンカップ レガシーワールド
骨折休養明け初戦は、10月の京都競馬場、芝・2400mの京都大賞典。レースは圧倒的1番人気のメジロマックイーンが快勝し、2番人気だったレガシーワールドは完敗の2着でした。この後レガシーワールドはGI・ジャパンカップに挑みます。本来ならここには大本命の主役として京都大賞典を快勝したメジロマックイーンがいるはずでした。しかしそのメジロマックイーンは天皇賞(秋)の4日前に左前脚を故障しそのまま引退してしまったのです。
迎えたジャパンカップでは大将格を失った日本勢に対し、コタシャーンを筆頭格とした外国勢は強力でした。上位人気は外国勢が独占し、日本勢の最上位人気は4番人気のダービー馬・ウイニングチケット。レガシーワールドは単勝12.5倍の6番人気。レースは前年の両グランプリを制したメジロパーマーが逃げる展開でレガシーワールドはその直後の2番手。直線で早々に逃げるメジロパーマーを競り落とし、先頭に立つとそのままゴール。猛烈に追い込んできた1番人気のコタシャーンはジョッキーがゴール板を誤認し直線途中で追うのを止めてしまい前を行くレガシーワールドを捉えきれませんでした。
とにかく遂に待望のGI制覇を成し遂げたレガシーワールド。この勝利でレガシーワールドは日本競馬史上初めてGIを勝った騙馬となったのです。しかしこの勝利がレガシーワールドにとって生涯最後の勝利となります。
今も元気に
レガシーと長年同居していたハニーちゃんが、先日亡くなったそう。8月の終わりにへいはたさんとこに行ったときはのんびり居眠りしていたハニーちゃん…安らかに。そして天国からレガシーを見守ってね。
— まきば (@310Yuuko) September 26, 2019
寂しがるレガシーが心配。
レガシーもハニーちゃんの分まで長生きしておくれ。#レガシーワールド pic.twitter.com/uokDTGspjg