【グランプリ連覇】勝っても負けても鮮やかな逃げ馬メジロパーマー
2022年6月20日 更新

【グランプリ連覇】勝っても負けても鮮やかな逃げ馬メジロパーマー

勝つときは鮮やかな逃げ切り勝ち、負けるときは4コーナーで失速して惨敗。どのレースもハラハラドキドキの逃げ馬メジロパーマー。1992年のグランプリレースを連覇するほどの実力馬ですが、実は障害に転向した経験も。そんな個性的逃げ馬の足跡をたどります。

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1992年 有馬記念(GⅠ) | メジロパーマー | JRA公式

最後の一年

ステイヤーとしての力の証明

7歳となった翌1993年。天皇賞・春のステップレース、阪神大賞典(GII)から始動しました。有馬記念の勝利が評価され、2番人気に。このレースでも見事、逃げ切り勝ちを収め、天皇賞・春に駒を進めます。

天皇賞・春は、メジロマックイーン、ライスシャワー、マチカネタンホイザらの強豪が出走。メジロパーマーは4番人気でした。結果は、ライスシャワーがメジロマックイーンの3連覇を阻み勝利。メジロパーマーは、2着のメジロマックイーンに肉薄する3着に逃げ粘りました。負けはしたものの、ステイヤーとしての力を証明した好レースとなりました。

8歳まで活躍

続く宝塚記念(GI)は、メジロマックイーン、メジロパーマーのメジロ二強対決で盛り上がります。しかし、レースは、メジロパーマーが予定通り逃げるも、3コーナーで早々に失速。10着のブービー負けとなりました。以後年内はすべて着外。掲示板に載ることはありませんでした。

明け8歳。もうメジロパーマーは終わった。誰もがそう思っていた頃、ハンデ戦の日経新春杯(GII)に出走します。斤量は、なんとトップハンデの60.5kg。いくらGIを2勝した実績馬とは言え、衰えの見える8歳馬には、あまりにも負担が大きすぎます。

ところが、レースは、好調時のメジロパーマーを思わせるようなリズミカルな逃げ。バテる様子がありません。最後の直線も粘りに粘って、他馬はなかなか追いつけない。最後はムッシュシェクルに交わされますが、堂々2着でのゴールでした。

結局、レース後に右前脚屈腱炎が発覚。引退を余儀なくされますが、見事な有終の美でした。38戦9勝。4年半もの長い競走生活でした。

先頭を走り続けた記憶に残る一頭

引退後は、北海道のアロースタッドで種牡馬として繋養。産駒では、メジロライデンが、2002年の京都ハイジャンプ(J-GII)を勝利しました。2002年に種牡馬を引退した後は功労馬として余生を送り、2012年4月7日にその生涯を閉じました。

重賞5勝、うちGIグランプリレース2勝。これだけの実績がありながら、フロック視が多かったメジロパーマー。鮮やかな逃げ切り勝ちか惨敗か、常にファンをハラハラドキドキさせてくれる、その裏返しだったのかもしれません。確実に言えることは、メジロパーマーが出るレースは、どのレースも例外なく波乱含みでおもしろく、競馬をさらに楽しいものにしてくれたことでしょう。1990年代初頭の中央競馬で、先頭を走り続けた、最も記憶に残る競走馬の一頭です。
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