編集部
それと和嶋さんのギターにステッカーとサインのようなものが書かれているようなのですが、これは?
よく見てますね(笑)
私の吸っている煙草「ゴールデンバット」の自作ステッカーと、私の大好きなバンド「ブラックサバス」のギタリスト、トニー・アイオミのサインなんです。
今でも大事にしてますよ!
編集部
凄い!お宝ですね!(驚)
次に気になるMVが「怪人二十面相」(2000)ですが、ここではメンバーが演技もなさっていて非常に作りこまれた作品となっていますね?
この頃からメジャーに復活しまして、MVにも監督さんが付き凝った作りになりました。
「幽霊列車」(1999)から「品川心中」(2006)あたりまでがそうでしたね。
「怪人二十面相」については「人間椅子」の原点回帰ということで作りました。何といってもバンド名を江戸川乱歩の小説からもらっているわけですから。
「怪人二十面相」は誰でも知っている作品ですし、イメージしてもらいやすいかなとも思い。
MVですが、監督さんがノリノリで、じゃあ少年探偵団風に皆さん演技をしましょうとなりました。
二十面相はもちろん鈴木君ですよ(笑)。
私が明智小五郎で、マスヒロ君が小林少年という設定。あの頃は衣装も準備してもらったりしてましたね。
洋館を軸に撮ろうということになり、撮影は横浜市で行われました。
ロケ車で横浜のあちこちに移動しながら、坂を駆け上がったり住宅街を走り回ったり…。なにせ犯人を追っているわけですから、私とマスヒロ君はやたらに走らされた記憶があります。太陽にほえろ!か(笑)。それで終わりかと思ったら、夜はスタジオでバンド撮影。
深夜にヘトヘトになりながら終えました。あんなに疲れたMV撮影は、後にも先にも「怪人二十面相」だけです。
でもその甲斐あって、見どころ満載のMVですよね!
編集部
やはり「人間椅子」には「二十面相」がとっても似合っていますね!
CDジャケットもとても素敵でした。
そして、どうしても気になるのが「見知らぬ世界」MVでの和嶋さんはなぜ宇宙人姿なんですが?
(大笑)そうなんですよね。
鈴木君は白塗りでキャラ設定がしっかりしていたのですが、まだ私は鈴木君のようにしっかりとしたキャラ設定が無く、迷走していたんだろうと思います(笑)
その結果があの「宇宙人」だったのだと思います(笑)
あと、あのロケ場所は「青木ヶ原」の樹海なのですが撮影中から独特の雰囲気があって、袖を引っ張られたりしたり心霊現象が多々あったのを覚えています。
編集部
これも違った意味で貴重なMVですね!(笑)
そして「洗礼」(2004)も非常に凝ったおどろおどろしいMVですよね!?
はい。私はこの「洗礼」は個人的に良くできたMVだと思っています。
東海道五十三次をベースに魑魅魍魎が暴れまくるという図式が、まさに人間椅子的地獄絵図を描けていると思います。
私たちのMVはタブーぎりぎりのモノが多いですよね(笑)
あと、三人の股旅姿も貴重だと思いますよ(笑)
編集部
とても印象に残るMVですね!
そして、私が個人的に大好きなMV「品川心中」(2006)についてお聞きしたいのですが?
アルバム『瘋痴狂』(ふーちーくー)
タイトルは英語圏の俗語“hoochie koo”(淫靡な踊り、酔っぱらい)、“hoochie coochie”(絶倫)をもじり、また漢字を当てたもの。
はい、この曲は落語の「品川心中」を題材にしているわけですが、まさに先ほどのテーマ「怪談・死・エロス」の要素が詰まっている曲なのではないでしょうか。
MV中では、私が落語をさせていただいたりしています。
「心中」は色恋沙汰で軽々しく命を落としてしまうものなのですが、ある意味「死」をかけてまでしてしまうものが「恋」なのかも知れません。
「生と死」は正に表裏一体ですね。
編集部
ここでは和嶋さんの大好きなカラーである「緑」の着物が鮮やかで印象的です。
そうですね。
でもこの頃はまだ衣装にお金をかけることが出来なかったので「化繊」の着物なんですよ。
編集部
「浪漫派宣言」(2009)のMVで私が個人的に気になったところがありまして、それはMVの演奏中にチラッと映る「ミラーボール」なんです。
失礼ですが、人間椅子はあまりミラーボールが似合うバンドではないのでどこで撮影されたのかが気になっていました(笑)
(笑)これは、ファンクラブの集いがあった高円寺のライブハウスで撮影しました。
ライブのついでと言ってはなんですが…(笑)
ですから、あのような大きなミラーボールがステージ上にあったんです。
このMVも正直忘れていたかもしれません(笑)
当時バンドとして露出が少なく、なかなか発表する機会がなかったんです。
とはいえ、2009年制作のこのMVを抜かしてしまうと「品川心中」(2006)から「なまはげ」(2014)まで8年も間が空くことになり、人間椅子の歴史を追っていくには欠かせないと思い、収録することにしました。
この10年間の中では一番苦しかった時代かも知れませんね。
デビュー作をはじめ全11枚のアルバムから厳選し、すべてDGリマスタリングを施した必聴のアルバム。