常にケガと闘い続けた遅咲きの桜、サクラローレル
2016年11月25日 更新

常にケガと闘い続けた遅咲きの桜、サクラローレル

サクラ軍団、最強にして最後の将、サクラローレル。遅咲きの桜は一気に頂点を駆け上がり年度代表馬にも輝いた。 しかしながら、栄光の裏側には常に脚部不安という爆弾を抱えていた。そんなガラスの名馬サクラローレルの軌跡を追っていきたい。

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サクラローレル

サクラローレル

サクラローレルは父レインボウクエスト、母ローラローラという血統の持ち込み馬、主な勝鞍は1996年の春の天皇賞と有馬記念。
1996年は年度代表馬にも選ばれた。

デビューと同期の華

サクラローレルのデビュー戦は1994年1月、年明けデビューという
遅めのデビューだった。勝ち上がりに3戦を要し、その後、ダービートライアルの
青葉賞で3着に好走するが、脚元の不安でダービーには出れず
秋の菊花賞にも出れず、サクラローレルの3歳は暮れに条件戦を連勝する
ものの、結果重賞は未勝利に終わる。
一方、同期のナリタブライアンが史上5頭目の
三冠馬となり、さらに有馬記念も優勝し、世間をおおいに賑わせた。
この時、まだ、サクラローレルの名を知るものは世間では
ほとんどいなかった。

重賞初制覇と故障との闘い

年が明けて、1995年、サクラローレルは中山金杯から
始動し、見事人気に応え、初重賞制覇を飾る
続くG2目黒記念も1番人気に支持されるが
後の春の天皇賞3着のハギノリアルキングに敗れ2着
その後、春の天皇賞を目標にするが、調教中に故障してしまい
一時は安楽死処分になってしまうのではないかという
くらいの重症であったが、関係者の努力もあり
最悪の事態はまぬがれる。
しかし、1年以上の休養を余儀なくされてしまい
桜はまだ咲くのを待っている状態であった。

古馬の頂点と新たなパートナー

サクラローレルの復帰戦は
翌年の3月の中山記念、1年以上の休み明けということも
あって、9番人気という低評価であったが
前年の皐月賞馬ジェニュインを差しきり、優勝
なお、このレースから前年に引退した主戦の小島太に代わり
横山典弘が手綱を握ることととなる。
そしてむかえた、春の天皇賞、人気は同期のナリタブライアンと
前年の年度代表馬マヤノトップガンに集中し
サクラローレルは離れた3番人気だった。
誰もがナリタブライアンとマヤノトップガンの
阪神大賞典のようなマッチレースを期待する中
最後の直線でマヤノトップガンが早々と脱落
抜け出したナリタブライアンが勝利するかに見えたが
そこに強襲をかけたのがサクラローレル
ようやくたどり着いたG1の舞台でサクラローレルは勝利を収めた。
京都競馬場がまた、桜で満開になったのであった。

1996年 4月21日(日) 3回京都2日 天候: 晴 馬場状態: 良 10R 第113回 天皇賞春 サクラローレル 4歳以上・オープン・G1(定量) (牡・牝)(指定) 芝・外 3200m 16頭立 1 サクラローレル 2 ナリタブライアン 3 ホッカイルソー 4 ハギノリアルキング 5 マヤノトップガン 6 ...

真の古馬の頂点へ

春の天皇賞を勝利したサクラローレルは秋に備え休養に入る
復帰戦のオールカマーもマヤノトップガンを破り優勝
続く秋の天皇賞は1番人気でむかえることとなるが
鞍上の横山典も最高に下手に乗ったというくらい
前が詰まり、思ったような競馬ができず、3着敗退
ジャパンカップは回避し、グランプリの有馬記念に出走する
ここでも1番人気に支持され、今度は見事に勝利を収める。
調教師の境勝太郎は翌年の引退が決まっており
引退のはなむけになると同時に初の有馬記念制覇
また、サクラの冠を持つ馬も初制覇となった。
この年のサクラローレルは5戦4勝、うちG1が2勝と
文句の無い成績をあげ、年度代表馬に選ばれたのであった。

1996年12月22日(日) 6回中山8日 第41回 有馬記念(GI) サラ系4歳以上 2500m 芝・右 (混合)(指定) オープン 馬齢 天候:晴 芝:良 1番人気 6番サクラローレル(横山典弘) 2番人気 3番マヤノトップガン(田原成貴) 3番人気 11番マーベラスサンデー(武豊) レース結果 着差 人気 ...
サクラローレル(1996年) / JRA賞 年度代表馬ランキング (1555941)

有馬記念の勝利は雪辱を晴らすとともに
サクラローレルが最強ということを示した一戦だった。

名勝負

翌年も現役を続行
凱旋門賞を最大の目標においたサクラローレルは
休み明けで春の天皇賞に挑むことになる。
この春の天皇賞はマヤノトップガン、マーベラスサンデーとともに
3強対決という前評判であった。
休み明けでも人気はサクラローレル
最後の直線、迫るマーベラスサンデーを振り落とし
ゴールへ駆け抜けようとしたその時、外から強襲する馬がいた。
マヤノトップガンである。まるで前年のサクラローレルを見ているかのような
レース振りでマヤノトップガンが最後にサクラローレルを差しきり
優勝、敗れはしたもののサクラローレルも堂々とした競馬だった。
1997年の春の天皇賞は名勝負として語り継がれるレースとなった。

遠征、そして引退

敗れはしたもののサクラローレルは予定通り
凱旋門賞へ挑むため、遠征を決行する。
前哨戦のフォア賞から始動
しかし、レース中に故障を発生し、8着惨敗
元々脚元が良くなかったサクラローレルにとって
ヨーロッパの硬い馬場もあわなかったのだろうか
結局、このケガで引退を余儀なくされる。

不屈の魂

思えば、サクラローレルは常にケガとの闘いだった。
最初に故障をした時は競走能力喪失とまで言われる重症であった。
普通の馬なら、ここで引退なのだが、サクラローレルの
能力を惜しんだ関係者の尽力と何よりサクラローレル自身が
ケガに打ち勝ったということが大きかっただろう。
目黒記念から中山記念の1年1ヶ月は長いように見えて
実は短い復帰だったのである。
フォア賞後も予後不良になってもおかしくないくらいの
ケガであった。あやうく処分されかけたサクラローレルを厩舎スタッフが
止めたというのは有名な話である。
常に脚元の不安がありながら、それでも1996年は一年間きっちりと
結果を出したサクラローレルはまさに不屈の魂と言えるだろう。

種牡馬として

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