【プロ野球】OPSって何?シーズン記録は、セ・リーグは王貞治、パ・リーグは落合博満
2023年8月5日 更新

【プロ野球】OPSって何?シーズン記録は、セ・リーグは王貞治、パ・リーグは落合博満

「OPS」は、打者の評価指標の一つで、打撃成績の一覧などでよく目にする数値です。得点との相関が高い重要な指標と言われていますが、その中身は意外と知られていません。シーズン記録は、セ・リーグは王貞治選手、パ・リーグは落合博満選手。歴代ランキングや王選手の達成の状況など、OPSについて詳しく見ていきます。

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OPSって何?

OPS(読み:オプス、オーピーエス)は、On-base Plus Slugging の略で、打者を評価する重要指標の一つです。和訳されずに、英語の略称がそのまま使われています。

具体的には、

出塁率On-base percentage=OBP)
Plus)
長打率Slugging percentage=SLG)

を単純に足し合わせた数値です。

出塁すると得点のチャンスが増し、長打は得点になりやすいことから、得点との相関が高い重要な指標として打者の評価に使用されています。

最近では、MLB大谷翔平選手が好例で、2023年7月22日現在、OPSの両リーグトップ 1.076 を記録しています。

大谷翔平選手の34号本塁打(2023年)

Shohei Ohtani blasts his 34th homer of the season!
では、OPSを構成する「出塁率」「長打率」とは何でしょうか?

出塁率って何?

出塁率とは、安打だけでなく四死球まで含めて、出塁した割合を表す指標です。

計算式は次の通りです。

出塁率 = (安打 + 四球 + 死球) ÷ (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)

打率との主な違いは、以下の2点。

四死球を出塁としてカウントしていること
犠飛を分母に含めていること

特に後者は重要で、犠飛を記録した場合、打率には影響はありませんが、出塁率は下がるという複雑な傾向があります。

また、打率は高くても四死球が少ない選手は出塁率は低めになり、反対に打率は低くても四死球が多い選手は出塁率が高めになる傾向があります。

典型例として、"無冠の帝王"と呼ばれた清原和博選手は、1990年と1992年にパ・リーグの最高出塁率のタイトルを獲得しています。打率は3割前後ながら、四死球が非常に多かったためです。

長打率って何?

長打率とは、平均して何塁打を記録したかを表す指標です。

計算式は次の通りです。

長打率 = 塁打 ÷ 打数 = (単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4) ÷ 打数

打率との違いは、打率は安打数を見るのに対し、長打率は安打の種類によって点数をつけていることです。(単打は1点、二塁打は2点、三塁打は3点、本塁打は4点)

打率は高くても本塁打が少ない選手は低めになり、反対に打率は低くても本塁打が多い選手は高めになる傾向があります。

典型例として、通算打率は.260と平凡な田淵幸一選手ですが、通算の長打率は.535で、あの首位打者の常連、張本勲選手より上です。

OPSのシーズン記録

では、OPSのシーズン記録のランキングを見てみましょう。
順位 選手名 所属 OPS 達成年
1 王貞治 巨人 1.293 1974年
2 ランディ・バース 阪神 1.258 1986年
3 王貞治 巨人 1.255 1973年
4 落合博満 ロッテ 1.244 1985年
5 ウラディミール・バレンティン ヤクルト 1.234 2013年
6 落合博満 ロッテ 1.232 1986年
7 アレックス・カブレラ 西武 1.223 2002年
8 王貞治 巨人 1.211 1967年
9 王貞治 巨人 1.210 1966年
10 王貞治 巨人 1.204 1976年
1位の王貞治選手セ・リーグ記録4位の落合博満選手パ・リーグ記録です。王貞治選手は、トップ10に5度も登場しています。

トップ10の記録に共通することは、全員が本塁打王のタイトルを獲得していることです。特に上位である、1位の王、2位のバース、3位の王、4位の落合、6位の落合の各選手はすべて三冠王のタイトルを獲得しています。5位のバレンティン選手は三冠王は逃していますが、NPB歴代最高の60本塁打、長打率.779を記録しており、三冠王に匹敵する活躍を見せています。

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王貞治選手の史上最高のシーズン記録

王貞治選手が、NPB史上最高記録を達成した1974年のこと。正に、2年連続の三冠王を達成した年です。

しかし、意外なことに、打率は.332、ホームランは49本と、前年の三冠王の記録を下回っています。巨人もV10を逃しており、感覚的には、前年の方が史上最高記録じゃないのかと錯覚してしまうところです。

ところが1974年で凄かったのが、四球の数130試合で158四球というとんでもない記録で、なんと安打数(128安打)をも上回っています。もちろん、この四球数は、NPBシーズン記録です。

では、なぜ158もの四球を選んだのか。それもまた、NPBシーズン記録の45敬遠が最大の要因です。1974年といえば、ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄選手が引退した年。長嶋選手が往年の成績が残せなくなったことで、王選手一人がマークされるようになり、四球にされるケースが増えたと見られています。

その結果、553回打席に立って294回も出塁!

出塁率は.532で、これまたNPBシーズン記録となりました。

OPSは、出塁率が過小評価されていると見る人もいますが、この時の王選手の記録は、四球が多かった故に出塁率が高くなり、また四球が多かった故に本塁打率が高くなった、その結果の史上最高記録だったと言えるでしょう。

以下は、王選手の出塁率、長打率、OPSの内訳です。
打席数 553 犠打は0
出塁数 294 安打128 + 四球158 + 死球8
出塁率 .532 出塁数294 / 打席数553
打数 385
単打 61 61 × 1 = 61
二塁打 18 18 × 2 = 36
三塁打 0 0 × 3 = 0
本塁打 49 49 × 4 = 196
塁打数 293 61 + 36 + 0 + 196 = 293
長打率 .761 塁打数293 / 打数385
出塁率 .532
長打率 .761
OPS 1.293 出塁率.532 + 長打率.761

長嶋茂雄&王貞治 最後のアベックホームラン (1974.10.14)

長嶋茂雄&王貞治 最後のアベックホームラン (1974.10.14)
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