鈴木清順監督は、この作品によって日活をクビになり、以降10年間も映画界から干されることになっています。なぜ、そんなことになったのかと言えば、これはもう見て頂くしかないのですが、この作品やたらとシュールです。日活の意向とかけ離れて、やりたいことをやりすぎちゃったのです。当時の日活社長が「わけのわからない映画を作ってもらっては困る」と激怒したというのも頷けます。
もっとも、だからこそ面白い作品が出来たというところが映画の難しいところですね。
現在では日本に限らずクエンティン・タランティーノ監督やジョン・ウー監督などをはじめ、世界中に多くのファンを持つ「殺しの烙印」。鈴木清順監督の独特の世界観は宍戸錠を抜きにしては成り立ちませんよ。
プロの殺し屋NO.3にランクされている花田五郎(宍戸錠)は組織の幹部を護送する途中、NO.2とNO.4たちの一味に襲撃される。危うく危機を脱した花田は、ある日、薮原(玉川伊佐男)から殺しの依頼を受ける。順調に依頼どおり殺していくが、最後のひとりだけ失敗してしまう。失敗を許さない組織は美沙子(真理アンヌ)という女を差し向けてきた…。ナンバーワンの座をめぐって死闘を繰り広げる殺し屋たちの姿をスリリングかつスタイリッシュに描いた異色作。
内容的には前半ギャビン・ライアルの小説「深夜プラス1」を、次いでリチャード・スタークの小説「悪党パーカー/人狩り」をベースにしている感じですね。しかし、それ以降はもう独自の訳の分からない世界に突入していくんです。
それにしても「殺し屋の世界ランキング」というアイディアは秀逸ですよね。
Branded to Kill Original Trailer (Seijun Suzuki, 1967) Arrow Video
70年代に入ると「ハレンチ学園」「谷岡ヤスジのメッタメタガキ道講座」やテレビ「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」などコミカルな役を精力的にこなすようになり、殺し屋役からは離れていくことになります。時代の流れでしょうけど、ちょっと残念ですねぇ。
脚本:具流八郎
出演者:宍戸錠、南原宏治、真理アンヌ
音楽:山本直純
撮影:永塚一栄
編集:丹治睦夫
配給:日活
公開:1967年6月15日
上映時間:91分