エースのジョーと呼ばれた男、宍戸錠の日活時代の代表作品
2022年3月21日 更新

エースのジョーと呼ばれた男、宍戸錠の日活時代の代表作品

殺し屋でありながらユーモアがある。ハードボイルドでありながらもどこかコミカル。エースのジョーはあまりにも粋です。そんな宍戸錠の日活時代の作品にスポットを当ててみました!

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「殺しの烙印」、おそらく宍戸錠主演で最大の問題作はこの作品でしょう。とは言っても、この作品、宍戸錠が問題なのではありません。監督ですね、問題なのは。
鈴木清順監督は、この作品によって日活をクビになり、以降10年間も映画界から干されることになっています。なぜ、そんなことになったのかと言えば、これはもう見て頂くしかないのですが、この作品やたらとシュールです。日活の意向とかけ離れて、やりたいことをやりすぎちゃったのです。当時の日活社長が「わけのわからない映画を作ってもらっては困る」と激怒したというのも頷けます。
もっとも、だからこそ面白い作品が出来たというところが映画の難しいところですね。

現在では日本に限らずクエンティン・タランティーノ監督やジョン・ウー監督などをはじめ、世界中に多くのファンを持つ「殺しの烙印」。鈴木清順監督の独特の世界観は宍戸錠を抜きにしては成り立ちませんよ。

殺しの烙印

殺しの烙印

監督:鈴木清順
脚本:具流八郎
出演者:宍戸錠、南原宏治、真理アンヌ
音楽:山本直純
撮影:永塚一栄
編集:丹治睦夫
配給:日活
公開:1967年6月15日
上映時間:91分
プロの殺し屋NO.3にランクされている花田五郎(宍戸錠)は組織の幹部を護送する途中、NO.2とNO.4たちの一味に襲撃される。危うく危機を脱した花田は、ある日、薮原(玉川伊佐男)から殺しの依頼を受ける。順調に依頼どおり殺していくが、最後のひとりだけ失敗してしまう。失敗を許さない組織は美沙子(真理アンヌ)という女を差し向けてきた…。ナンバーワンの座をめぐって死闘を繰り広げる殺し屋たちの姿をスリリングかつスタイリッシュに描いた異色作。
日活の経営陣が大激怒したとはいえ、「殺しの烙印」は当時の批評家や若い映画ファンには熱狂的に支持されたといいます。ナイス感性。
内容的には前半ギャビン・ライアルの小説「深夜プラス1」を、次いでリチャード・スタークの小説「悪党パーカー/人狩り」をベースにしている感じですね。しかし、それ以降はもう独自の訳の分からない世界に突入していくんです。

それにしても「殺し屋の世界ランキング」というアイディアは秀逸ですよね。

Branded to Kill Original Trailer (Seijun Suzuki, 1967) Arrow Video

宍戸錠は1967年には「殺しの烙印」「拳銃は俺のパスポート」以外に「燃える雲」「七人の野獣」「みな殺しの拳銃」「紅の流れ星」「七人の野獣 血の宣言」「君は恋人」「赤木圭一郎は生きている 激流に生きる男」「東京市街戦」「黄金の野郎ども」に出ているんですよ。なんと11本。エースのジョー八面六臂の大活躍ですねぇ。

70年代に入ると「ハレンチ学園」「谷岡ヤスジのメッタメタガキ道講座」やテレビ「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」などコミカルな役を精力的にこなすようになり、殺し屋役からは離れていくことになります。時代の流れでしょうけど、ちょっと残念ですねぇ。
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  • ろんぐ 2022/3/29 16:36

    さらっと流されてますけど、最高傑作は『危いことなら銭になる』でしょう。
    あんなに大笑いできるコメディが日本で作られていたことに感動しました。
    渡 哲也さんのデビューである『あばれ騎士道』もオモシロい。
    あと、「銀座旋風児」シリーズ。「渡り鳥」よりも荒唐無稽で大好きです。
    『探偵事務所23』は、個人的ににはイマイチでした。笹森礼子さんと北林谷栄さんの存在はデカいけど。

    ライモン 2022/3/21 15:05

    僕世代には、「エースのジョー」と言うと、アニメ「勇者特急マイトガイン」で彼と同じく「エースのジョー」と呼ばれた雷張ジョーの事が思い浮かびますね。彼も宍戸錠さんと同様に主人公のライバルとして立ちはだかるライバルながらも何処か憎めないところもあり、「平成のエースのジョー」と言うべきでしょうか。「令和」となった時代にも宍戸錠さんや雷張ジョーのようなエースのジョーと呼ばれる人物が欲しいですね。

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